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Cheery チアリー モヤッとしたらやる気スイッチON!

C006

チアリーは仕事や勉強や家事の途中で気分が煮詰まった時、神経伝達機能を活性化するハーブ達があなたのやる気を応援します。ミント、ローズマリーは香り成分が鼻腔から脳へいち早く刺激を与え、微かな苦味がお口の中に心地よく広がるバコパが思考回路の整理をチャチャっとお手伝いします。さらにブルーライトから目を守るカレンデュラと 疲労回復を助けるレモングラスも配合しました。チアリーのティーブレイクでやる気と元気な笑顔を取り戻しましょう!

 Note

 妊娠中の方にはお勧めしません。(ローズマリー)

 授乳中の多量多飲は減乳の可能性があります(ペパーミント)

 

使用量 1杯分(約180㎖)に対してハーブ茶匙1

抽出時間 1~2分 お好みで

11~3杯を目安にお楽しみ下さい。

  蜂蜜を加えたり冷やしても美味しく召し上がっていただけます。

原材料

ペパーミント  Mentha piperita (認定オーガニック エジプト)

ローズマリー Rosmarinus officinalis  (認定オーガニック エジプト)

レモングラス Cymbopogon citratus (認定オーガニック エジプト)

バコパ Bacopa monniera (認定オーガニック インド)

カレンデュラ  Calendula officinalis (認定オーガニック エジプト)

魅惑の妖精とプルートの格下げ

梅雨明けと共に気温はうなぎ上り、日差しが地面を焼きつけるようです。さあ冷えたクリスピーを差し上げましょう。清涼感のある香りと味は体も気分も涼やかにしてくれます。とにかく暑い時期は水分補給が大事です。どんどん飲んで、どんどん出して、体内の水分代謝をよくしましょう。グラスに注いだらスペアミントの生葉を添えますね。手のひらに挟んでパン!さあ、香りが広がりました。お茶を飲みながらクリスピーの主役、ミントにまつわるお話でもいたしましょう。

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ミントはシソ科ミント属(Mentha ssp.)の多年草で、ユーラシア〜アフリカ大陸の温帯地域が原産です。紀元前20世紀頃に書かれたレシピに既に載っていることから、それ以前に発現していたことわかります。ミント属は周囲の植物の栄養まで吸い取って枯らしてしまうほどの生命力と繁殖力で雑交配を重ねる為、学名Menthaを冠した仲間は約600以上確認されています。数あるミントの中で、初代はスペアミント(ミドリハッカ、 オランダハッカ、チリメンハッカなどなど Mentha spicataまたはM. viridis)で、葉の縁にみられる鋭く尖った切れ込みから槍=スペア。さすが元祖だけあって他の種類のミントと混植栽培しても最後は全てスペアミントになってしまうほど最強なのです。続いて誕生したのがウォーターミント(ミズハッカMentha aquatica)で、沼地など水の近くを好むことからこの名がつきました。そして初代のスペアミントと後発ウォーターミントの雑交配でできたのがペパーミント(コショウハッカ、セイヨウハッカMentha piperita)で、ピリピリっとした刺激的な風味をペパーと表したようです。

この雑草の如く丈夫で魅力的な香りをもつミント属の学名はギリシャ神話の美少女妖精メンテMentheに由来します。どのバージョンにしても相変わらずコンプライアンス違反な神様の事件簿をご紹介します。

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その1、冥界の神ハーデスは地上から略奪してきたペルセポネという妻がいながら、地上で見つけた可憐な妖精メンテに心惹かれ、またもや拉致して来て愛人にします。美少女に嫉妬した妻は「お前なんぞ雑草になっておしまい💢」とメンテに呪いをかけ踏みつけにしました。それからずっとハーデスの宮殿の庭でメンテは存在感のある芳香を放ちつつ生きているのですと。

その2、冥界の神ハーデスは長い関係を続けてきたメンテを裏切ってペルセポネと結婚してしまいます。嫉妬に怒り狂ったメンテは正妻に罵詈雑言を浴びせ激しい修羅場に!そこへ逆上したペルセポネの母デメテルが駆けつけ参戦、元カノのメンテを雑草に変えて一蹴してしまいましたとさ。罪の意識からか…最低男ハーデスは草になったメンテに芳香を与えたのだとか。

その3、本妻ルセポネは自分と同じようにハーデスに目をつけられ拉致されそうになったメンテを憐れみ、雑草の姿に変えて茂みに隠し、後に元の姿に戻せるようにと目印として芳香を与えました…という美談。元の姿には戻されていませんが?

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このような神話からミントには人を魅了する媚薬効果があると信じられており、古代ギリシャの男達はこぞってミントの葉を入浴剤にしたり、体に擦り込んだりして女性にアピールしました。一方、禁欲を強いられていた古代ローマの兵士達はミントの使用や摂取が禁じられていたそうな。ミント属も他の多くのハーブと同様ローマ帝国の拡大と共に広められ、9世紀以降はヨーロッパ中の修道院の庭で栽培されるようになり、やがて新大陸へと渡っていきました。今や地球上の温帯地域どこででも見つけることができます。  

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ちなみにハーデスに拉致された妻の姿は、「プロセルピナ(またはペルセポネ)の略奪」(英語では ズバリ“The Rape of Proserpina” )だとか「ハーデス(またはプルート)とプロセルピナ」といったタイトルの絵画や彫刻に見ることができますが、美術の教科書に載せて大丈夫ですか?着衣がない!どころが拉致、強制わいせつ、強姦はそもそも重要犯罪ですし!

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余談です。ギリシャ神話では冥界の王の名はハーデスと呼ばれますが、後のローマ神話では「プルート」の名で語られます。そして1930年にアリゾナの天文台で発見された太陽系9番目の惑星の名前は、「太陽から最も遠い暗黒の領域にある星に冥界をイメージした」という英国の11歳の少女の発案で「プルート」と名付けられました。命名は一般公募だったのですがが、実はおじいちゃんが天文学者の友人に頼んで天文台に提案し見事採用されたようで…ってコネを使った出来レース?

この惑星の発見にちなんで、同年1930年9月5日にスクリーンデビューしたミッキーマウスのペット犬(公式設定では『ミッキーの陽気な囚人(1930年)』に登場する警察犬)は『プルート』と名づけられました。

ところが20世紀後半から冥王星サイズの天体が次々と発見された為に、2006年、冥王星は惑星から外されて準惑星(dwarf planet)に格下げされてしまいました。この年アメリカでは「plutoed=降格」という造語が流行語大賞を受賞し話題になりました。その一方で、ウォルトディズニーカンパニーは「プルートは七人の小人(dwarf)達と共にこれからも頑張りますっ!」という粋なメッセージを発信しプルートファンは大喝采!さすがファンタジーの王国。

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植物としての歴史が最も長い3種のミント、それぞれの使われ方を見てみましょう。

ミントの初代、スペアミントは主に古代よりクッキングハーブとして使われて来ました。イギリスでは9世紀にローマ帝国が持ち込んだ以来、別名“ラムミント”とも呼ばれるように伝統のラム料理に欠かせないソースが作られたり、茹で野菜やフルールサラダ、夏の飲み物には欠かせないハーブになりました。17世紀、清教徒と共にアメリカ大陸に渡ると南西部で商業栽培が盛んになりケンタッキー州は一大産地となりました。

スペアミントとバーボンウイスキーとガムシロップで作る定番のカクテル「ミントジュレップ」は18世紀後半の南北戦争時から飲まれていた記録があります。現在でも毎年5月の第一土曜に開催されるアメリカンクラシックの1つ「ケンタッキーダービー」観戦の伝統として、出走馬入場の際には「ミントジュレップ」で乾杯し、「ケンタッキーの我が家」(KFCのcmでお馴染みの曲)を合唱するのがお決まり。そして優勝馬にはバラの首飾りがかけられるのでこのレースはRun for the rosesと呼ぶそう。なんだかミントの香りと共に華やかな初夏の祭典が目に浮かびますね。ちなみにスペアミントとラムで作るキューバのカクテルはモヒートです。

薬としても古代ローマの博物学者大プリニウス(A.D.23-79)が『スペアミントは香りを嗅ぐだけで元気が出る』と記した通り、イライラを鎮め、疲労感や鬱気分の解消、脳の活性や気付け薬に使われてきました。また穏やかな風味と作用でお子様用ハーブの代表格。疳の虫、お腹や風邪の薬、しゃっくり止めのお茶として重宝されて来た長い歴史をもっています。近年の研究で刺激の強いメントールは0に近く、乳幼児に禁忌な成分も含まないので安全であること、主成分のカルボンの健胃効果、リモネンのリラックス作用、ロスマリン酸の高い抗酸化作用には脳細胞の修復や活性し認知機能の改善し記憶・注意・集中力を高める効果があることが証明されています。またミネラルやビタミンA, Cを多く含みます。

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次に現れたミントは香りが強いウオーターミントです。中世ヨーロッパでは「ストローイング」といって、ハーブを消臭や芳香、害虫やネズミ避けの目的で床に撒いたりカーペットの下に敷く、といった使い方が流行しました。ウォーターミントはダイニングルームには食欲増進、ベッドルームには安眠目的、とストローイングに最適なハーブとして人気でした。

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三番目は、初代と後続の自然交配で生まれたペパーミントの主成分は刺激的な清涼感のあるメントールで、こちらは飲食物より民間療法で多く利用されてきました。生葉は頭痛の時に直接こめかみに擦り込まれたり、食後にガムのように噛んだり、風邪や頭痛、生理痛、消化不良の症状緩和や吐き気止めのお茶として飲まれてきました。(⚠️比較的安全なハーブですが妊娠中は1日3杯を目安に飲みすぎには注意です)。ただ、日本人は他の国よりもメントールの刺激的な風味を好む傾向があり、料理や飲み物にもスペアミントの代わりにペパーミントを使うことが多いようです。

近年の研究ではペパーミントオイルの有効性も次々と解明され、古来の使用法が証明されています。揮発性の精油成分メントールには殺菌、抗菌、抗ウイルス、発汗、鎮痛、解熱・鎮痒・神経の鎮静・冷却・防腐作用が確認されています。特に胃腸の蠕動運動を抑える効果から粘膜に直接散布できるメントール液製品が開発されており、内視鏡検査の際に副作用が出やすい抗コリン薬の代わりに採用している病院が増えています。またd-メントンの胆汁分泌促進作用が、シネオールの粘液排出促進や免疫アップ作用、アズレンの消化器官消炎作用が確認され、胃薬として有効であることは証明されています。さらにミントポリフェノールには抗アレルギー作用と粘膜保護の働きがあるため、花粉症対策の有効成分として注目されています。

ペパーミントオイル配合の製品は数多くあり、胃薬や風邪薬、外用薬として頭痛、筋肉痛、関節痛・肩こりの塗り薬や湿布、虫忌避剤や痒み止めの軟膏や、鼻詰まりや咳止めの塗剤や舐剤のほか、心地よい清涼感と冷感を与える成分としてマウスウォッシュ、歯磨き粉やシャンプー、化粧品、芳香剤など様々な生活用品にも配合されています。

ただし、毒性は低いですが刺激の強いメントンプレゴンの含有量が低い製品を選ぶのがコツです。また乳幼児の顔(特に鼻)直接るのは絶対に避けてください。またアロマセラピーでも精油を使う場合も同様に注意が必要で、直接肌につける場合はキャリアオイルで正しく希釈されている精油を選んでください。巷にはメンソール(メントール)煙草のED説が都市伝説のように流れ続けていますが、この説に関しては今後も科学的検証を追跡しておきます(2021年夏)。

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ミントといえば板ガムよりタブレットが主流の昨今、『ファーストキスは刺激的なペパーミント味?それとも甘いスペアミント味?』 『水金地火木土天冥海?海冥?どっちで覚えた?』と昭和な会話を交わす大人の皆様、暑い休日は冷えたお部屋でプルートの短編アニメシリーズでも鑑賞してみませんか?ディズニーファミリーで言葉を発さない唯一の動物設定のキャラクターですが、実は子持ちで恋多きオジサン犬は人間臭さを感じさせます。降格された冥王星プルートにも想いを馳せつつ、9月5日はプルートの誕生日のお祝いにディズニーランドへ行ってみましょうか。

 

 

 

下積長子さん、ついにブレイク

さて アジサイのお話の続きにお付き合いくだい。アジサイは日本生まれの花でありながら、なぜつい最近になるまでなかなか人気が出なかったのか?そして今やアジサイがおしゃれな花として人気のスターになったお話しでもいたしましょう。

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アジサイが人気者になれなかった要因はどんなところにあったのでしょう。そこには3つの鍵がありました。

1つ目は10世紀初頭、昌住という僧侶が編纂した『新撰字鏡(しんせんじきょう)』という日本最古の漢和辞典があります。そこは“草冠に便”と書いて「」なる文字が載っており、意味は「安知佐井」「止毛久佐」と記されています。安知佐井つまりアジサイ、では止毛久佐とは何でしょう?ヒントは室町前期に今川了俊というがまとめた『言塵集』という和歌の参考書的な本に「あぢさゐ 別名またぶりぐさ」と!そう、またぶりぐさは股拭り草、止毛久佐はシモクサと読むのでしょう。いくら別の説があろうとこの文字の並びはどう見てもトイレットペーパーですね…なにしろ草冠に便ですもの。

尾籠ついでの余談です。明治4年に日本で郵便制度がはじまると、簡単な木箱に脚をつけて高くした初代のポスト「書状集め箱」が東京12カ所、京都5カ所、大阪に8カ所、東海道の街道筋に62カ所設置され、翌年には全国に設置されることとなります。次世代ポストは黒塗りの大型の木箱に白い文字で大きく「郵便箱」と書かれました。折しも1872年、ちょうど公衆トイレも設置が開始され、おおざとががついた「垂」の文字+「便」の字が続いていたことが災いしてトラブルが多発したのだとか。便の字はどうしてもそちらが連想されがちです。

「籌木」なる木片でお尻の始末をしていた古代から江戸時代、いや山間部や島部では20世紀になるまで、植物の葉も同じ目的で使用されていました。その葉の条件、比較的どこでも大量に入手可能、葉が大きく、干しておくと柔らかくなる、アジサイの葉も重宝されたことは想像に難くないです(「蕗」の語源も「拭き」という説あり)。日本では平安時代から紙を使う文化はありましたが貴重品の紙が庶民に行き渡るのは、浅草紙(江戸)西洞院紙(京都)湊紙(大阪)といったエコな「落とし紙」が流通する18世紀半ば以降です。絵画や庭園にアジサイが多く見られるようになった時期と重なります。それまではアジサイの花を見ても「あ〜あれに使う葉っぱの花ね」が邪魔をして、愛でるには至らなかったのでしょうか。不憫です。

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2つ目は、アジサイは室町時代の頃から仏の供花とされていました。かつて湿気や気温が高くなる梅雨時期には悪い病が流行りやすく、亡くなる人も多かった日本。死者を悼む花として季節の花アジサイが手向けられ、お寺の庭には弔いの意味を込めて多く植えられたそうな。特に疫病が発生した地域では株が増えていきました。それが仇となり、病気を呼び込む縁起の悪い花とされて家の庭に植えることを忌み嫌った家も多くあったそうな。鬱蒼とした庭の薄暗さ、梅雨時期の暗鬱な空気、線香の香り、お寺のアジサイはこんな気配もDNAに取り込んでいたのか、陰気なムードを感じさせる花だったのです。不憫です。

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3つ目、平和な江戸時代の日本では世界でも類を見ないほど園芸文化が花開いていました。特に将軍の花好きに倣って、江戸の町には日本中の植物が集まってきて、殿様から豪商の旦那衆、武士から町民まで、膨大な量の植木鉢を並べて時間と手間を惜しまず葉や花の形や斑の入り方・色などが他に類をみない奇品を育てることに熱中しました。蘭、椿、蓮、南天など様々な植物が対象にされましたが、代表格は花菖蒲・朝顔・菊が江戸園芸三花と言われています。そんな園芸ブームの中でも、陰気なイメージがあり、丈夫で容易に繁殖するアジサイには誰も価値を見出さなかったのです。不憫です。

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こうして不遇の時代を乗り越え、戦後になって昭和の高度成長時代ともに観光ブームが訪れると、原産国である日本でも遂に本格的に人気が出てきました。上記のような事情からアジサイを植えたお寺は各地に多くあり、鬱蒼とした半日陰でもしっかりと育つ上、さらに丈夫で根つきの良いアジサイは斜面の土留めや垣根にも多く利用されてきました。開花を迎えると群生したアジサイが一面埋め尽くして咲く絶景が観光雑誌で紹介されると アジサイは重要な観光資源として一気に注目を集めます。真っ先に話題になった北鎌倉の明月院を皮切りに、全国でこぞって株を増やしたお寺が「あじさい寺」を名乗り、次々と名所ができ「アジサイロード」や「アジサイ列車」などを目当てに観光客が押し寄せ大人気になります。もうアジサイからおシモの紙や病死を連想する時代ではなくなったのです!こうしてアジサイは愛でられる花となり、昭和歌謡から平成、令和のJ-po界でも数多く歌われているのです。

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現在でもアジサイの花をお守りとしてトイレや玄関に吊るす風習が各地に残っています。アジサイの花の形が平安時代から魔除けのために吊るされる薬(くす)玉に似ていることも由来するようで、いろいろな方法やご利益があるようです。そのひとつに、アジサイの歴史全てが詰まったようなお守りを見つけましたのでご紹介します。アジサイが満開の時期(特に6月の6がつく日がよし)花を一朶(いちだ、アジサイのように小さい花が集まって咲く花の数え方だそうな)紙と紐で(できれば半紙と水引がよし)ブーケ状にし、トイレに逆さに吊るしておくと、生涯お下の世話にならないというお守りです。1年間吊るしたアジサイは感謝を込めて海や川へ流し(お清めの塩と共に新しい半紙で包み燃えるゴミにだしても可)その年に咲いたアジサイを新たに吊るしてまた一年。吊るしたまま放置ておくだけで、色は薄く変化しますが姿は原型をよく留め素敵なドライフラワー状になります。悲しい枯死した姿を見せる他の花との大きな違いです。超長寿時代の切実な願い、ご利益を信じて今年から試してみてはいかがでしょう。

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かつて見た映画『ベニスに死す』(1971年・イタリア)で、溢れんばかりのアジサイが華やかに飾られたホテルの場面がとても印象的でした。最近の日本でもアジサイの花はレストランやカフェ、ホテル、もちろん一般家庭の室内や庭をセンス良く飾っています。ガクアジサイも派手やかな手毬咲きともまた異なり、他の花との相性もよく素敵です。もうネガティブな面影はどこにもありません。古代から姿形がそれほど変わったわけではなく、ただ見る人間が持つイメージが変わっただけなのです。今日の主役はまるで下積みの長かった演歌歌手のような「アジサイさん」でしたが、今や大御所スターになれてほんとうによかったです。

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最後にちょっと冠婚葬祭豆知識。

弔事編:色も青や白い花なら派手すぎず、棘も匂いも花粉もなく弔事に最適そうに見えますが、毒があるので供花や仏花に使用するのは避けた方が無難のようです。もちろん故人やご遺族がお好きなことをご存知の場合は構わないそうです。

慶事編:ボリュームをだして豪華にするもよし、清楚で可愛いイメージにするのもよし、様々な飾り方ができて種類が豊富なアジサイは花嫁さんのブーケから髪飾り、教会や披露宴会場の飾りつけにもぴったりです。花言葉も「元気な女性」「寛容」「家族団欒」などブライダルにはピッタリです。ただし、平安時代から続く「移り気」や「不実」のイメージを気にする方もいますので、参加者がアジサイを身につけて行くのは避けたほうが無難のようです。

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こんな梅雨空の今日は、アジサイの葉にアルミホイルを巻いた理科の時間をぼんやり思い出します。さ、冷房が効いた静かな図書館に出かけてみませんか。ぜひ、アジサイ研究の第一人者、日本アジサイ協会初代会長の山本武臣氏の著書『あじさいになった男』(コスモヒルズ,1997) 見つけてみて下さい。アジサイのことがもっと好きになりそうです。

 

意外に複雑だったカタツムリの友

今日は貴重な梅雨の晴れ間、お洗濯日和と思いきや午後は雷になるとか。気圧の変化に体が追いつきませんね。今モーニングを入れましょう。このお茶は朝の1杯なら浄化に、日々ティーブレイクの1杯でバランス調整に一役かいます。お茶を待つ間、ホーチュラスでは扱いませんが生薬の1つともされているアジサイにまつわるお話をいたしましょう。まず今日は子供でも知っているアジサイですが、花の構造や種類が名前がややこしいこと、アジサイの歴史などからはじめましょうか。

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まずご注意から。アジサイの花は生薬「紫陽花(しようか)」として解熱などに使用されますが、毒性のある物質を含むので素人の使用は危険です。アジサイの変種である甘茶Hydrangea macrophylla var. thunbergiiは生薬としても使われていますし、仏教の花まつりに欠かせないお茶です。他の種類のアジサイと間違えたり、濃く煮出しすぎるとやはり中毒のリスクがありますので、特に小さい人が飲むときは注意が必要です。またアジサイという名のついた中国原産ジョウザンアジサイ(Dichroa febrifuga ) は種属は異なりますが、やばり漢方薬として根を「常山」若枝は蜀漆の名で使われています。こちらもやはり毒性物質を含む為、専門家以外の使用は危険です。アジサイはごく身近に在る植物ですが、触ったら必ず手を洗う!間違っても料理に添えない!小さい人が口にしないよう要注意!これはよく覚えておいてください。

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アジサイは日本原産のアジサイ科アジサイ属の落葉低木です。初夏に咲く白や青、紫、ピンク色の花は世界中で庭木、鉢花、公園、アレンジメントの花材として見られます。姿形が異なる多くの種類がありますが、全てたった一つの原種、額(ガク)アジサイ(Hydrangea macrophylla f. normalis )から生まれています。ガクアジサイは花房の縁取りにだけ花(装飾花)をつけます。花弁に見える部分が萼(ガク)で、萼の中芯にある豆粒のような蕾から咲くのが花です。この装飾花には雌蕊がなく装飾花に囲まれた「こんもりツブツブの小花」集団のひとつひとつが真花です。真花は雄蕊と雌蕊が揃った両性花で、花後に水壺の形をした小さな実(蒴果)を結び種が採れます。周囲の装飾花もただのお飾りではなく、早めに開花することで虫を誘い両性花の受粉を促す役目があります。属名Hydrangeaは実の形からラテン語で「水+壺」、種小名のmacrophyllaは「大きな葉」、最後尾のf(品種名)normalisは「正規の」を意味します。後述いたしますが、分家が先に登録を済ませていた所為で本家のこちらが分家の名前の最後に品種名を付け足す羽目になりました。

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清楚な印象のガクアジサイ対し、装飾花だけで花房を埋め尽くすアジサイをホンアジサイ(Hydrangea macrophylla f. macrophyllaと呼びます。原種の栽培種とも言われますが、本来丈夫で野生化や変異、自然交雑を重ねていることから自然発生の可能性も否定できません。装飾花しかない手毬咲きのこちらもDNA的にはガクアジサイと同属同種、花に雌蕊がありません。ただし!数多ある派手なガクを持つ装飾花をよーく見ると、雌蕊雄蕊が揃った両性花が混じっているのです!さらに、密集した装飾花を書き分けると、手毬の中に埋もれて小さな両性花が咲いています!見つけると幸運が🍀、的な話はありませんが、ホンアジサイを見たら是非コソコソっとかき分けて両性花を探してみてください。学名は原種より先にこちらが登録してた為、原種はに一品種名がつけられ登録されました。すると先に登録したこちらには自動的に(命名法の規定に則って)種小名macrophyllaをもう一度繰り返してつけられました。まるで念を押すかのように偉そうに!って、分家が「元祖」とか「総本家」を名乗って本家面するとは、まるで老舗騒動のようですね。

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さて、かなり古い時代(不明)に日本から中国へと渡っていたアジサイは、17世紀頃からグローバルな活躍をみせていた「プラントハンター」なる仕事人達によって欧米に持ち込まれると、目を引く豪華な花房、魅力的なバリエーションの多さから瞬く間に人気が出ました。ヨーロッパの各国から放たれこの業界人たちの話は、例の出島の悲恋の真相も絡めて次回また。

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アジサイは英語でHydrangeaハイドランジアと言います。北米東部には早くからガクアジサイが伝わっていたようで、先住民は自生する帰化種「アメリカノリノキ」の根を利尿薬として使っていました。1739年、この標本を入手したオランダの植物学者ヤン・フレドリック・グロノビウスが、この木にハイドランジアと名を付けました。しかし「植物分類学の祖」であるカールフォンリンネが「属名+種小名」という二部式学名による正式な分類法を確立したので、1753年にリンネ本人がHydrangea arborescenns Linne自分の名前をくっつけて正式登録します。最近人気の種類「アナベル」はアメリカノリノキから作られた園芸種です。白くて大きな花が見事で、この仲間は土壌によって色が変わることはなく、白から緑に変わるくらいです。

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一方、欧州の非英語圏ではアジサイのことをオ(ホ)ルタンスとかオルテンシアと言います。この呼称はフランスのフィルベール コメルソンというプラントハンターが、モーリシャス島(アフリカ)で見つけた手毬咲きのホンアジサイに、Hortanse「オルタンス」という当時比較的多く見られた女性の名をつけたのが発端。彼は1771年(頃)オルタンスの形容詞形オルテンシア、という属名をつけてパリに標本を送り登録を試みますが、手毬咲きするホンアジサイもリンネが登録していたガクアジサイと同属同種と判明した為、あえなく不採用。その代わり西欧に渡って品種改良された全てのアジサイをセイヨウアジサイと呼びその学名(Hydrangea macrophylla f.hortensia)の最後尾で品種名になりました。そして多くの国でアジサイの総称として定着しました。この「Hortansia」の語源には二説あり、一つはコメルソン意中の女性の名が由来。しかしその後の検証でその女性が誰かは特定できず未だ謎。もう一つは、この花がフランス行政長官の庭園で栽培されていたことから、古典ラテン語で「庭園」を意味するhortensiusが由来。我がHortulusと同じ語源ということで、こちらを推しておきます。

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さて、ここからは古来より身近にあったアジサイが、原産国の日本でどのように生きてきたのか辿ってみます。 

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奈良時代末期に編まれた日本最古の歌集「万葉集」には日本古来の草花が多く詠まれていますが、アジサイはたったの二首だけです。藍色の花が集まって咲く、という意味で「あづ」+真藍「さあヰ」訛って「あぢさゐ」と呼ばれた説が有力です。当時の万葉仮名は、漢字の持つ意味とは無関係に音だけで字が当てられていて「味狭藍」「安治佐為」などが見られます。

現在の漢字表記は唐の白居易(白楽天)によって香の良い紫の花を詠った「紫陽花」という漢詩が由来で、平安時代の源順(みなもとのしたごう)なる学者がこの花はアジサイだと思い込み、「倭名類聚抄 わみょうるいじょうしょう(935年)」という漢和辞典に「紫陽花」=「阿豆佐為」と載せてしまったとか。しかしこの「源順さん勘違い犯説」には冤罪疑惑もあり、未解決です。残念ながらアジサイに芳香はなく、白居易が詠った紫陽花はライラックを指すと考えられていますし、中国ではガクアジサイの装飾花8つが並ぶ様子を 道教の八仙(代表的な8人の神様)に擬えて「八仙花」呼んでいたそうな。

平安〜鎌倉時代には、四枚の花弁(にみえる萼)から「四葩(よひら)の花」と呼ばれます。この時代にも詠まれた歌は五つの歌集に一首ずつ確認できる程度で、人気の梅、桜、萩、橘、菊、藤などとは桁違いです。また花の色が変化することから「七変化」とも呼ばれていました。四という数が縁担ぎで嫌われたのか、色の移ろい易さから不実や心変わりを連想させた所為か、貴族にも武士にもあまり好まれる花ではなかったようです。

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ちなみに青や紫、ピンク系のアジサイが含む色素はアントシアニンで、これが土壌のアルミニウムと結合して発色します。 アルミニウムが多く溶ける酸性土壌では青系に、中性~弱アルカリ性の土壌ではピンク花になります。リトマス試験紙と逆ですね。ちなみに白いアジサイは色素をもたないので土壌が変わっても白いままです。さらに、白でも有色でも開花から咲き進むにつれ色が変化するのは、いわゆる老化現象です。

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さて中世と呼ばれる時代、大人気だった物語や日記の類には全く登場しません。絵画でも室町時代(16世紀頃)狩野元信「四季花木図屏風 しきかぼくずびょうぶ 出光美術館蔵」の右隻の左端に夏の花として地味に登場で一枚、安土桃山時代に狩野永徳作(と伝わる)「松紫陽花図 重要文化財 京都南禅寺所蔵」で一枚、なかなか芸術の対象にもなリませんでした。

江戸中期には金満主義の俳壇とは一線を画し、真の美を自然の中に探求したと言われる松尾芭蕉がアジサイを好んで詠みました。琳派の絵師たちに多く描かれるようになり、特に俳人でもあった酒井抱一の「紫陽花の着物の少女」では愛らしい着物の柄にアジサイが描かれている、この辺でアジサイの扱いが一気に変わった気がします。さらに18世紀に入ると葛飾北斎、歌川広重、伊藤若冲ら大御所達がこぞって作品に残しており、幕末から明治の絵画や文芸作品にも登場するようになりました。

大正期に輸入、そう逆輸入された洋花としてのセイヨウアジサイは、当時建てられた数々のハイカラな洋館の庭にもとてもよく似合い、明るく華やかな印象を与えています。そしてついに戦後の日本でアジサイはブレイクの時を迎えます。

あ、お茶が入りました。つづきはお茶を飲みながらにいたしましょう。

名前を覚えてもらえないおしゃれな奴

三寒四温の日々、春の足音はそこまで聞こえてきています。今日は熱々のコージーを淹れましょう。スパイスの香りと焙煎したたんぽぽとチコリーの根が甘く香って、ミネラルたっぷり、身体がシャキッとしますよ。ストレートにしますか?ミルクを入れ?ではアーモンドミルクを試してみませんか?なかなか合いますよ。お茶が入るまで、今日はチコリーのお話でもお付き合いください。

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チコリー(英語名chicory、学名Cichorium intybus )は中央ヨーロッパから西アジアを原産とするキク科キクニガナ属の多年生植物です。高さは1mを越すほどに育つものもあり、直立した花茎にはデイジーに似た青い花を次々に咲かせます。その澄んだ青紫色は青い瞳に例えられたり「聖母のブルー」とも呼ばれます。 チコリーの花は7月ごろから秋にかけて咲きます。決まった時間に咲き、次第に色が薄くなって約5時間後にはしぼんでしまいます。規則正しい一日花なので花時計としても栽培されてきました。

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チコリーにはいくつかの別名があります。「サッカリー」の由来はケルト前史の神話。太陽神は青い瞳のサッカリー(Succory)という美しい女性に恋をし、求婚します。しかしサッカリーは「神と人間では身分が…」と断ります。フラれて激怒した太陽神は彼女をずっと自分だけを見つめる花に変えてしまいました。ルーマニアにもそっくりなお話がフロルリールという名の女性で伝わっています。西欧の神話に登場する神々は、どうも我儘で横暴な神が多いようです…

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もう1つの別名「ウェグワート(道端で待ちわびる人)」の由来はドイツの伝説。戦地に行ってしまった恋人の帰りを毎日街道沿いで待ち続けたていた娘は、戦死の知らせを受けるとその場で泣き崩れ「チコリー」に姿を変えた。娘の目と同じ美しい青色の花が同じ茎でもあっちを向いたりこっちを向いたりして咲くのは、今でも恋人を探し続けているから。だそうな。

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フラワーレメディーでは「献身的な愛情を与える」エッセンスとして使われています。また花言葉は「待ちぼうけ」「乙女の涙」「切ない気持ち」など。これらは恋人を待つ健気な少女の伝説を思わせますが、もう一つ「私だけの為に生きて」というのもあります。逆ギレした太陽神の呪いのようで怖いですね。もしチコリーの花をプレゼントされたら…気をつけてください。

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属名のCichoriumはギリシャ語で『畑』を意味するKichorionが由来で、古代エジプト、ギリシャ、ローマの時代から健康野菜として栽培されていました。葉や花は生または茹でて食べられ、焙煎した根っこはお湯を注いで飲んでいたそうな。ギリシャ人医学者、ガレノス(129ー200年頃)が「チコリーは肝臓の友達」と呼んだように、その薬効も知られていました。 特に最近、この根の健康効果に注目が集まっています。が、根っこのお話は次回までちょっとお待ちください。というのも、ヨーロッパでは古くから馴染み深いこの野菜、日本で正しく覚えてもらうまで難儀した、というかまだまだややこしいままなのです。まずはこの野菜の形と名前を知っていただきたいのです。

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今人気の洗わずに食べられるベビーリーフの袋にもチコリーの葉が入っていますし、美しい青い花もお料理を華やかに彩るエディブルフラワーとして人気です。しかし、チコリーの最も特徴的な部分は、白菜に似た10センチほどの若芽です。この小人の白菜を剥がしていくと、ボート型のしっかりした葉が十枚ほど重なっています。もともと苦味の強い野菜でしたが、18世紀末ごろ、ベルギーで日に当てないように白く柔らかく栽培するようになった事で、生でも美味しく食べられるようになりました。サラダボールの縁に飾られたり、様々な食材を載せやすいので洒落た前菜に使われています。また、スープやグラタンに入れたり、オーブンやフライパンで焼いたり、天ぷらにしたり、熱を加えると甘みが出てまた違った食感と味を楽しめます。

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この小人の白菜をイギリスではチコリー、フランスではアンディーブと呼び、日本では菊苦菜(キクニガナ)という和名がつけられています

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問題なのは同じキク科の一年草エンダイブ(Cichorium endive)という近似種の野菜があることです。こちらはリーフレタス(キク科アキノノゲシ属)や水菜(アブラナ科アブラナ属)に似たヒラヒラの葉野菜で、日本名は菊萵苣(キクチシャ)です。                

このヒラヒラをイギリスではエンダイブ、フランスではチ(シ)コレと呼びます。

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ここから海外の混乱が発生。アメリカでは東海岸と西海岸とでは英と仏の文化の影響が異なり、小人の白菜型とヒラヒラの名前が混同されました。日本にも江戸末期から文明開花とともに様々な品物、植物や食品、様々な外国語が一気に雪崩れ込んできました。こうして物の名前、人名、地名など、現地語読みか英語読みかでごちゃ混ぜになり、これは今も続いているのです。こうしてチコリーとエンダイブは混同されてしまいました。

令和の現在、野菜売り場では英語読みに則って小人の白菜をチコリー、ヒラヒラをエンダイブ、と表示しているところは多いのですが、フレンチレストランはもちろん、しゃれた輸入食材店ではフランス風に小人の白菜をアンディーブ、ヒラヒラをチ(シ)コレという名前で売っています。イタリアンレストランのメニューでは小人の白菜をチコリーア、この変種はラディチオ、ヒラヒラはインディヴィア…あ、やめておきましょう。とにかく様々な近似種や変種も多く、どうにもややこしいのです。                             

この混乱は「美味しんぼ」64巻の第二話(雁屋哲著1997コミックス 小学館)にも登場します。口論になるカップルのお話、是非ご一読してみてください。

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チコリーの栽培はベルギー、オランダ、フランス、ドイツなどが盛んでしたが、現在日本にはアメリカ産やメキシコ産などが多く輸入され、一年中出回っています。さらに日本でも岐阜や埼玉、北海道でも栽培されるようになりました。国産のチコリーは12月から3月までが旬です。どこかで「小人の白菜」を見かけたらこれがあのチコリーね、と認識してやってください。

満月の名前と馬簾ひらひら

さ、ガードが入りました。召し上がってください。北米先住民の万能薬エキナセアが世に知られるようになった道のり、続けましょう。お茶を飲みながらお付き合いください。

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18世紀、北米全体がすっかり欧州各国の植民地になるとますます大量の人間(移民だけでなく更なる労働者としてアフリカ人奴隷の輸入)と、作物と動物などなどが4つの大陸を盛んに往来します。当然、病原体も広範囲に移動して疫病は世界規模で流行しました。コレラ、天然痘、スペイン風邪などの感染爆発が繰り返されていた頃、北米の医療は混迷を極めていました。

まず移民がユーラシア大陸から持ち混んできたのは科学的な近代医療と、様々なタイプの伝統医療。そこに新大陸で新たに北米原産の薬草だけを使うトムソン式植物療法が生まれ、どさくさに紛れて胡散臭いニセ医者もたくさん参入します。徐々に淘汰されながら最も人気を集めたのが近代医療と自然療法を統合した医療を目指す折衷派(エクレクティック)でした。その折中派の一人メイヤー医師が最初にエキナセアに注目た人物です。彼はネブラスカ州の(先述のマーロンブランドの出身地と同じ)パウニーという小さな町のドイツ人医師でした。1870年代、世間の白人が先住民を野蛮で下等な人種と蔑むなか、同じ医療を志す者として先住民の知識を高く評価し、敬意を持って彼らに指南を請うたのです。

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ここでちょっと北米先住民が月毎の満月に付けていた呼び名を紹介します。環境や生活習慣は異なりますが、自然と調和し季節を捉えてきた彼らに同じモンゴロイドの血を感じます。(部族によって呼び方が異なるものもあります)

     1月: Wolf Moon(お腹を空かせた狼が遠吠えする候の月)
     2月: Snow Moon(雪が降り積もって狩猟が難しい候の月)
     3月: Worm Moon(みみずが土から顔を出す候の月)
     4月: Pink Moon(ピンクの花が咲く候の月)
     5月: Flower Moon(花が満開になる候の月)
     6月: Strawberry Moon(イチゴが実る候の月)
     7月: Buck Moon(雄ジカの角がどんどん立派に伸びる候の月)
     8月: Sturgeon Moon(チョウザメの漁をする候の月)
     9月: Corn Moon(とうもろこしを収穫する候の月)
     10月: Hunter’s Moon(狩りをする候の月)
     11月: Beaver Moon(毛皮にするビーバーを捕る候の月)
     12月: Cold Moon(寒さが厳しくなり始める候の月)

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 さて先住民にとってエキナセアは、おでき、腹痛、かぜ、そして大自然の中では命取りになる毒蛇や毒蜘蛛の咬傷に効くという万能薬で、根の搾汁を塗ったり根を噛んだり煎じて飲んでいました。メイヤー医師は自ら毒蛇に足を噛ませてエキナセアを塗り、解毒=浄血作用に確信を得ると「メイヤーの浄血剤」として売り出します。途端に折衷派の医師達が使い始め、白人社会に知れ渡りました。

時を置かずエキナセアは大西洋を渡るとドイツで栽培が始まり、ミュンヘン大学が中心となって研究、臨床試験が進められました。抗ウイルス作用や免疫機能に対する作用の有効性や安全性が確認されるとドイツや英国で認められ広まりました。アメリカでサプリメントが興隆するまでの一時期、抗生物質の登場でエキナセア人気が翳ったのに対し、欧州では根強く人気を保ってきました。

検出されている複数の薬効成分(多糖類、アルキルアミド、フラボノイド、カフェ酸誘導体など)が多様な組み合わせによって抗菌・抗ウイルス・抗バクテリア作用、抗炎症作用を発揮し、マクロファージを刺激しリンパ球の働きや、IL-1とIL-6の産生、T細胞の増殖を促したり、と免疫機能に作用と安全性が確認されていています。しかし作用のメカニズムはまだ全容解明に至っていません。風邪、インフルエンザ、上気道感染症、尿路感染症、ヘルペス、むくみ、鼻粘膜の乾燥、カンジダ症などの感染症に有効と使われています。          キク科アレルギーのある方は十分な注意が必要です。            またドイツのコミッションE(薬用植物評価委員会)では、結核、白血病、多発性硬化症、膠原病、HIVのような進行性疾患のある方の服用は禁忌としています。

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エキナセアが初めて日本に輸入されたのは昭和初期、和名は紫馬簾菊(ムラサキバレンギク)。花が下に向かって広がる様子が馬簾(バレン:火消しが振るまといに下がる革製の短冊状飾り)に似ている所から命名されました。奈良県の「平和園」という種苗店から鑑賞用として発売されたそうですが、当時の日本人の美意識では下向きに広がる花が好まれなかったとかで人気が出ず。それどころか、花を毟った後の花床部だけ(ネギボウズ状態)を活花やドライフラワーに使用していたと!なんとも冷たい扱いのままひっそり下積み生活を送ってきました。

ところが21世紀になると日本人の好みも変わってきたのか、メタリックな質感と存在感のある大きな花が好まれ、ガーデニングでも切り花でも(花を毟らないオリジナル姿)でも人気があります。紫だけでなく黄色、ピンク、白などなど色も豊富に出回り、花季も長くて寒さにも強く丈夫で鉢植えもOK、人気にならない理由がないです。

同時に欧米でのエキナセア人気が注目されるようになり、日本でも薬草として栽培を始めた地域があります。かつて養蚕が盛んだった埼玉県寄居町は桑を無農薬栽培をしていましたが、絹織物業の衰微に伴って桑畑をエキナセアに転用しました。毎年7月にはエキナセア祭りが開催されるなど町興しに一役買っています。また鳥取県大山町でも耕作放棄地対策と景観保全を目的にハーブの栽培が検討されていた当時、豚インフルエンザが流行したことからエキナセアが着目され、栽培が始まったそうです。

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この季節はホームセンターやご近所の庭先にもエキナセアの花が咲いていると思いますが、夏のディズニーシーの花壇は多くのエキナセアで彩られていますのでチャンスがあったらぜひ探してみてください。賑やかなディズニーシーでエキナセアを見つけたら、ちょっと北米先住民に想いを馳せてみてください。

ハリネズミの花と侵略の罪 

梅雨明けが待ち遠しい午後、ちょっと雨が上がりましたね。あなただけの中庭で深呼吸してください。さ、ガードを淹れて差し上げましょうか。キク科の植物にアレルギーはお持ちでないですね。今までなら寒くなる前にお勧めしていたお茶ですが、今は免疫力が一年中試されている時、ガードでバックアップしましょう。ではお茶が入るまで免疫機能を調整してくれる根っこを持つエキナセアのお話でもいたしましょう。

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エキナセア(Echinacea spp.)  は北米大陸の中央部、草原の乾いた地域を原産とするキク科バレンギク属の多年草植物です。草丈は30cmから1m程で夏から秋に掛けて直径8cm前後の大きめの濃いピンク色の花を咲かせます。別名のコーンフラワーは花全体に光沢があり、質感がとうもろこしの芯に似ていることから付けられています。中心の盛り上がった花床部に細かな筒状の花が集まっており、その間に無数の尖った鱗片がチクチク生えています。鱗片は下側の額部分にまで続いていて、その様子から属名はエキノス(Echinosギリシャ語でハリネズミやウニの意)とつけられました。花弁に見える一つ一つの花は放射状に開きますが、満開を迎えると下向きになりフラガールのような姿になるのが特徴です。

近似種は9種類ありますが、薬効が確認されているのは現在3種類だけです。エキナセア・プルプレア(E.purpurea葉に丸みがあり、エキナセア・アングスティフォリア(E.angustifolia草丈が低め、エキナセア・パリダ(E.pallidaは花が一際大きく色の薄いのが特徴です。開花時の地上部(葉と茎)と通年の地下部(根茎と根)が薬用に使われますが、地下部からアルコール抽出した液剤(また液剤を使用した錠剤やカプセル)はアレルギーリスクがより低いので、参考にしてください。

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今や全米サプリメント売り上げNo1、「エキナセアは天然の抗生物質」は常識となり、医学会も注目するエキナセアですが、世に知られるようになったのは20世紀になってからです。きっかけは一人のお医者さんでした。そこに至るまでの時代にちょっと遡ってみましょう。

1万年以上の昔、ベーリング海峡がまだ繋がっていた氷河期末期頃のこと、シベリアに到達していたモンゴロイド系の狩猟民族がアラスカ経由で歩いて北米大陸に渡ってきたそうな。彼らは大陸全体に分散し、一部はカリブ海〜南米大陸まで南下して定住しました。それぞれ気候や地形に合わせて豊かな文化を築き、部族間同士の争いは皆無ではないものの、世界で最も平和な暮らしを営んでいた民族といえます。彼らは狩りの道具は持っていましたが武器は持っていませんでした。「人間は精霊が宿る神羅万象と調和して生かされる」という精霊信仰を持ち、空は父、月は祖母、大地は母、四つ足は人々、植物は兄弟姉妹と尊重します。薬草も多く発見し恩恵を大切に使いながら脈々と命を繋いできたのです。

古代はどこの文明でも「医療」と「神事」の区別がありませんでした。先住民の各部族にも薬草に精通した賢者「メディスンマン」が一人居て、首長として部族を統治し、霊能者として精霊に祈り、病気の治療を司ってきました。例えば「スマッジ」と呼ばれる薬草の束を燻して場所と人々を浄化したり、スエットロッジと呼ばれるサウナ小屋の中で薬草の蒸気、香り、煙とメディスンマンの祈りの歌が全ての苦痛を癒しました。彼らは文字を持たなかったので、薬草の知識や賢者の知恵など全て口伝で継承してきたのでした。

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閑話休題。書店で表紙の絵に惹かれて手に取った本は、題名「古井戸に落ちたロバ」(北山耕平/Eagle Hiro著,2011 じゃこめてい出版)、副題は“インディアンのティーチングストーリー・生きることをおしえるはなし”です。近年、彼らの知恵が詰まった言葉は次々と文字に起こされ、育児や人生を導く本として絶賛されていますが、このお話には明快な格言も教訓もありません。たった数分で読み終わるお話ですが、納得。部屋に置いてあるだけでも感じの良い一冊です。

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コロンブスが北米大陸に上陸して以降、15世紀に本格的な大航海時代を迎えるとヨーロッパ各国から巨大な移民の波が押し寄せます。未知の土地で生き延びようとする白人に対し、先住民は作物の栽培法から命を守る生活の知恵、薬草の知識まで惜しげもなく伝授してやました。こうした無償の好意に応えて先住民族の女性と正式に結婚した心ある白人もいましたが・・・彼らを「言いなりになるプライドのない人種」と見下します。そして…好戦的で土地の所有欲の強い白人は先住民が大切にしてきた大地や川を汚し筆舌に尽くし難い殺戮を始めます。侵略者の攻撃に抵抗したり、侵略者同士の抗争に利用され武器を持たされて殺し合いをさせられた挙句に「攻撃的な野蛮人」と侮蔑されるというなんと理不尽な扱い…

ちなみに白人都合で史実を曲げて作られていた西部劇然り、欧米での非白人に対する差別は合法とばかりに堂々と行われていました。1972年『ゴッドファーザー』でアカデミー主演男優賞に選ばれたマーロンブランド(1924-2004)は白人の身で先住民差別に抗議し受賞拒否します。先住民が多いネブラスカ州出身というこで思うところがあったのでしょう。これは西部劇が衰退する契機になりました。彼はトラブルメーカーだったようですが、人種差別運動に生涯協力し続けたというブレない姿勢に拍手!

コロンブス御一行様以降、北米大陸の侵略は着実に進みました。何よりも侵略者達がヨーロッパから持ち込んだ様々な菌やウイルス(特に天然痘や麻疹)は意図的ではなかったにしても正に生物兵器、免疫を持たない先住民を効果的に激減させました。生き残った者も痩せた土地への強制移住、農場や鉱山での過酷な強制労働、キリスト教の強要ときて奴隷化されました。こうして北米先住民は世界の他の植民地同様、人権を剥奪され差別の下で生きることを強いられました。

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あ、お茶のご用意ができてしまいました!続きはお茶を飲みながらいたしましょうか。お付き合いください。

雷と大正浪漫的美少女に

まだ梅雨前だというのに、もう蒸し暑い日が増えてきました。あれ?お疲れですか?顔色が良くないですね。もしかすると暑さのせいだけでなく貧血気味かもしれませんね。今日は血液を元気にするテンダーを淹れましょう。お茶ができるまでの間、テンダーに入っているネトルのお話でもお付き合いください。

 

ネトルはヨーロッパから西アジア、北アメリカが原産のイラクサ科イラクサ属の多年草で、シソに似たギザギザの葉をつけ、高さは1m近くまで伸びます。世界中どこでも、山裾、空き地、住宅地、ゴミ捨て場、河原、農道、墓地、薄暗い藪、どこにでも生えている野草です。

 

ネトル(nettle)という単語は古語(アングロサクソン語)の「針」が由来ですが、現在の英語では“厄介なこと”“イラっとさせる”の意味で使われます。   北欧神話では雷神に捧げられるハーブと位置付けられていて、稲妻を起こしたり鎮めたりする「雷神」のシンボルです。今でもネトルのことを 「雷神草」と呼び「稲妻もトゲを嫌ってネトルの藪には落ちない」という言い伝えから、ネトルを雷除けのお守りにする風習が残っています。

 

学名Urtica dioicaの属名urticaは、ラテン語で“焼けるような”“痛い”“刺”を意味します。葉と茎に生えている透明で産毛のようなトゲは、構造が皮下注射の針に似ていて、中に炎症を引き起こすヒスタミン、アセチルコリン、セロトニンや蟻酸などを含んでいます。うっかり触れてしまうとチクチクした痛みだけでなく、赤く腫れたり水疱ができてしまうこともあります。これが”英語で発疹”をネトル ラッシュnettle rashと呼ぶ所以です。山の動物や散歩の犬も被害には要注意!山菜採りの人間は厚手の革手袋、長袖長ズボンが必須です。

 

ネトルのトゲは細く透明なのが厄介です。まず毛抜きを使うのは厳禁!微細な針が切れて皮下に残ってしまいます。最適なのは除毛クリームか除毛ワックス(ない場合は木工用ボンドで代用可)。刺さった所に塗り乾いたらトゲごと剥がします。次のお勧めはセロテープがガムテープ。優しく患部に押し当てトゲを除去します。チクチク感がなくなるまで繰り返し、あとは石鹸を使ってぬるま湯でよく洗浄してください。『かぶれた患部に茎の汁を絞って擦り付ける』というワイルドな方法はよほど手慣れた方以外にお勧めできません。茎の汁に解毒成分が含まれているので正解ですがリスクが高すぎます。乾いたら抗生物質か抗菌剤を塗り冷やしておきます。痒みが続くようなら重曹水またはアンモニア水で毒を中和、それでも辛い場合はとげぬき地蔵ではなくお近くのクリニックへ!      

 

学名種小名dioicaはギリシャ語で「二つの家」を意味する造語で、5月半ばからつける花はおしべだけの雄花とめしべだけの雌花(雌蕊だけの花)が別々であることを指しています。

 

ネトルにはタンパク質、ミネラル類、クロロフィル、βカロテン、ビタミン類、 食物繊維などが栄養たっぷりなので春野菜として食べられたり、様々な薬効からお茶として利用されてきた長い歴史があります。痛みや痒みを起こす成分はトゲにだけしか有りません。トゲは乾燥させるか、熱湯にくぐらせれば完全に落ちてしまいますので安全です。今日は血液を元気にする作用にスポットを当てます。

 

まず造血。ネトルには赤血球中のヘモグロビン の産生する為に必要な栄養素、鉄分や鉄の吸収を高めるビタミンC、葉酸やクロロフィル、タンパク質、ビタミン Bを豊富に含みます。特に『緑の血液』とも呼ばれるクロロフィルは分子構造がヘモグロビンと瓜二つで、中心の核がマグネシウムと鉄の違いだけです。クロロフィルと鉄を一緒に摂ると、クロロフィルのマグネシウムがポロッと消化吸収されると、その空席に鉄がポコっとはまってヘモグロビンに変身!即、赤血球に元気注入!というわけで、ネトルは貧血女子必須の最強アイテムなのです。

 

次に浄血。クロロフィルが消化によってマグネシウムと分離した後の周りの構造物は、食物繊維の数千分の1という小さな難消化性成分です。これらが小腸大腸を通過する時、微細なゴミや有害物質を見逃さず吸着して血管には流レ出さないように阻止します。また、カリウムやクエルセチンなどのフラボノイドが利尿、排泄を助けます。というわけでネトルが血液をきれいに保つ「浄血ハーブの代表」と言われる理由、ガッテンして頂けたでしょうか。   

 

さて、ここからちょっとネトルに絡んだ絵画のお話です。ジョン E.ミレイ(John E. Millais 1829~1896)の『オフィーリア』(1852)といえば。川に恍惚とした表情の女性が浮いている絵です。よく「ラファエル前派」の代表作と紹介されますが、この会派は19世紀半ばのイギリスで結成された新進気鋭の若いクリエーター集団で、神童と呼ばれたミレイもその主要メンバーの一人でした。彼らは古典偏重の古参からは批判も受けつつも、当代随一の美術批評家、ジョン・ラスキンの支援のお陰で、欧米の美術界に新たな潮流を生み出しました。

 

シェイクスピアの「ハムレット」に材を取ったこの作品には、数々の植物が緻密に描き込まれています。これは花にメッセージや象徴的な意味を託して仕込むシェイクスピアの趣向の再現です。ネトルもオフィーリアの「痛み」の象徴として柳の木の下に描かれています。見つかりますか?同様にラファエル前派や彼らに影響を受けた多くの画家、作家、詩人達がこの仕掛けを好んで使っています。

 

22歳のミレイ がエネルギーを注いで製作したこの作品は、当時の写真技術を超える精密さが評価されますが、それもそのはず。実際にロンドンの南を流れるホグスミル川で川岸の植物を写しとる為に5ヶ月も費やした後、ロンドンのアトリエで実際にバスタブにモデルを浮かべて、水中のオフィーリアの姿を描いたという念の入れよう。目を凝らすと銀のビーズ刺繍のドレスが見事です。これもミレイ自ら古着屋で見つけたった4ポンドで買ったアンティークだったそうな。とよく聞くエピソードですが レイがバスタブの火が消えたことに気づかなかった為に、冷たい水の中でポーズを取り続けたモデルは肺炎寸前で入院し、モデルの父親から慰謝料と医療費を請求された。の後日談。ミレイは値切った上に示談に持ち込んだのだとか。絵は売却済みだし、しかも資産家のおぼっちゃま君ったら…ちなみにケチなミレイ君は恩人ラスキンの妻ユーフィミア(通称エフィー)と不倫の末に結婚、八人の子供に恵まれます。この略奪婚は当時の社交界のゴシップネタでしたが、映画『エフィー・グレイ』(2014 イギリス)を観る限りは、二人が幸せになってめでたしめでたし。

 

お話戻って『オフィーリア』のモデルは、愛称リジー(Elizabeth Siddal 1829-62) 。奇しくもオフィーリアの生き様をなぞるような哀しい生涯を送りました。18歳のリジーはロンドンの繁華街にある婦人帽子店で働いていました。当時のお針子さん達は事務、雑用、広告塔として店前に立つこともあり、そんな時に画家のウォルター・デヴェレルに見出されスカウトされます。しかし19世紀の英国では絵画モデルといえば娼婦も同然、帽子屋の店主だって、いくら貧しいとはいえ親は大反対。そこでブルジョアの出のデヴェレル氏は信頼を得る為に自分の母親同伴で説得に成功しましたなぜここまでデヴェレルはリジーに拘ったのか?

 

リジーは背が高く細身、肌は抜けるように白く、髪は赤毛でした。それまで世間的に好まれていた女性像、血色が良く豊満なタイプとは全く違います。特に赤毛は古くから偏見や差別の対照にされてきました。赤毛は魔女狩りのターゲットにされ、赤毛のアンも『にんじん』 のフランソワも皇室離脱したヘンリー王子も教室でからかわれました。発端は中世の頃にキリスト教の布教活動に、文盲の庶民にもわかるように利用した絵画にあります。ゲルマン地域で広く信仰されていた土着信仰を邪教と貶める為に、北欧神話の神“トール”や“ロキ”を赤毛に描いたり、キリストを裏切ったユダを赤毛に描いたりして、「赤毛は悪者」のイメージを刷り込んだのです。ここで、先述の通り雷神のシンボルがネトルでしたね!

 

デヴェレルがリジーに拘ったのは、今までの美の基準に一石を投じたかったからではないでしょうか。リジーを画壇に引き入れて4年、彼は26歳で夭折してしましたが、彼の確かな審美眼は現代の世界のアートに脈々と繋がっています。

 

さて、デヴェレルの「十二夜」(シェークスピア 作品より)に男装姿でデビューしたリジーは、瞬く間に人気モデルとなり、同門の画家であり詩人で手の早いD.G.ロセッティ(1828- 1882)と婚約します。しかし彼はなかなか結婚に踏み切らず、ジェインという人気モデルにご執心の上、他の女性達とも関係を持つという最低男。ジェインがお金持ちと結婚してしまうと、長い婚約期間の末にやっとリジーと結婚します。ところが!彼は人妻となったジェインとW不倫関係になります。彼がジェインをモデルにした『プロセルピナ』(1874)を見るに目力の強い黒髪の女性です。生来病弱だったリジーは夫の不倫に悩み体調を崩しつつも、絵画や詩に才能を発揮しますがドラッグに依存し、心も体も壊していきます。遂に流産を機に過剰摂取で自死。結婚後たった2年、32歳の短い人生でした。ちなみにロセッテイが死ぬまでジェインとの不倫は続きましたが、ジェインが玉の輿に乗った相手とは、ロセッティの後輩だったウイリアム・モリス(1834-96)あの人気のモダンデザインの巨匠です。大正浪漫やアール・デコといったアートの世界 + 奇妙な人間関係にご興味のある方は、是非『評伝 ウィリアム・モリス』 (蛭川久康 著2016平凡社)をお勧めします。一読の価値あり!

 

彼らが生きた時代、パリ万博(1867)で日本の陶芸や浮世絵が紹介されると、欧米の芸術界にジャポニズムなる運動が巻き起こります。件の女好きロセッティは熱心な浮世絵の蒐集家だったそうな。女性の日常の姿を細長に誇張して描く(当時の日本人ではありえない8〜9頭身!)画風は、ラファエル前派にも影響を与えたと言われています。そして明治大正期の日本文学や美術が、今度はラファエル前派に大きな影響を受けるのです。これぞ逆輸入!それにしても病弱短命だったリジー、竹久夢二のかよわそうな少女達…どうもロマンの薫り漂う美女達は、ヘモグロビン不足の貧血女子に見えます。 ネトル茶を飲むように勧めたかった…

 

もともと絵画に造詣が深かった夏目漱石も、1900年に留学したロンドンで「ラファエル前派」の思想と絵画に大きく影響されます。ミレイの『オフィーリア』 に着想を得たという『草枕』(1906)をはじめ、『坊ちゃん』『三四郎』『門』『夢十夜』『永日小品』あちこちに西洋絵画のファンタジーが散りばめられています。感想文の宿題のせいで漱石先生への関心を失った方、もう一度チャレンジしてみてはいかがでしょう。

バーバパパも西行さんも

暑くもなく寒くもない、心地よい季節になりました梅雨が来るまでのこの季節、朝早く外に出て思いっきり深呼吸をしておきたいですね。今日は代謝に良し、デトックスに良し、整腸に良し、リラックスにも良し、のコージーを、植物ミルクでカフェインレスチャイに仕上げましょう。お茶を待つ間、コージーにも入っているタンポポのお話にお付き合いください。

     

中国では蒙古タンポポや支那タンポポが漢方薬として使われてきました。古い伝説によると… 裕福な家で育った年頃の娘が、ある日乳房の腫れに気がつきましたが恥ずかしくて誰にも話せませんでした。やがて娘が激しい痛みに耐えていることに気がついた小間使いが、母親に娘の病気のことを告げます。すると母親は激怒し「結婚前の娘が乳房を病むとはふしだらな!」と娘を罵倒しました。娘は身の潔白を証明できず思い悩み、ついに川に身を投げます。ちょうど舟を出していた猟師の父娘が娘を助け、濡れた衣服を着替えさせる時に病に気付来ます。猟師は山で薬草を採って来て煎じて飲ませまると、娘の病は日に日に良くなっていきました。ようやく両親が居所を見つけて迎えに来ます。一緒に家に帰る娘に猟師は残りの薬草を持たせてやりました。家に戻った娘は薬草を庭に植えて蒲公英と名付けました。「蒲」は助けてくれた猟師の名字「公英」は猟師の娘の名前だったそうな。めでたしめでたし。

 

 原名は「蒲公草」で、659年の唐で編纂された「新修本草」という薬草辞典に乳腺炎や化膿性疾患に有効、と最古の表記があります。この辞典8世紀遣唐使によって日本に持ち帰られ、奈良〜平安時代の医薬生の教科書として用いられました。当時の写本は京都の仁和寺に収蔵される「仁和寺本」の一つとして、現在は国宝に指定されています。

 

日本でも健胃・利尿・催乳・解熱、消炎・胆汁促進、肝機能の改善などに処方される生薬とされてきましたが、生薬名は蒲公英かつては香川県や徳島県で採集された関西タンポポが使われていましたが、近年は生育量が増えた外来種の西洋タンポポも薬用に利用されているそうです。

 

 また平安初期に編まれた日本最古の植物辞典「本草和名」918年頃 深江輔仁では「蒲公草」という名前で和名はフヂナ・タナと記されています。江戸時代には飢饉の際の食糧として栽培が奨励されていたり、また春先に野菜の少ない寒い地方では花は三杯酢、葉、茎は茹で菜、和え物、てんぷらに、茎や根はきんぴらなどに調理されていました。                     

現在「蒲公英」とかいて「タンポポ」と読みますが、これは江戸期に“医食同源、食が命を養う” を基本に健康維持と食餌療法に使える植物を集めた『『閲甫食物本草(えつほしょくもつほんぞう)』(1671名古屋玄医著) で、タンポポという振り仮名が添えられたのが初めてです。確かに全草ビタミンA・C・K、鉄分、カルシウム、カリウム、カロテノイドなどを豊富に含んでいます。

 

ただし土壌の成分をふんだんに吸収するので栄養価が高い反面、汚染された土地なら汚染物も吸収しています。野性のタンポポを気軽に食べることはリスクがありますので、安全に栽培されたものをお勧めします。また花部はアレルギーを起こすリスクがあるので生食には注意が必要です。

 

同じ頃、日本最古の農業指導の実用書『農業全書』(宮崎安貞 1697) や、野菜の栽培法を書いた『菜譜』(貝原益軒 1704)に登場していることからも、今は厄介者の雑草を、わざわざ種から栽培していたことがわかります。

 

ちなみにフランス料理でピサンリpissenlit利尿効果からおねしょの意と呼ばれるタンポポの他に、遮光で白く育てたバルバパパBarbe a Papaパパのの意。フランスの絵本「おばけのバーバパパ」も、フランス語の綿菓子も同じ語という品種があります。軟らかい若葉のサラダは春の到来を告げる一品として有名だそうで、日本にもメニューに載せているレストランがあるようです。

 

 様々な文化が花開いた天下泰平な江戸時代「ハマると身代が傾く三大道楽」と言われたのが「骨董」「釣り」に並び「園芸」です新種を作り出して一発大儲けを狙う庶民、それらを高額な値段で売り買いする豪商や殿様がいました。朝顔、桜草、菊、椿、蓮と同様、タンポポの品種改良も盛んに行なわれたようです。熱が高まり、赤、黒、青色の花が咲く種や、筒咲・満月・折鶴・紅筆・吹き詰といった粋な名前の品種が作り出され、天保12年(1841)には多種多様な園芸品種を載せた『蒲公英銘鑑』が出版されるほど大ブームとなっていました

 

その頃は切り花としても愛でられており、当時の生け花『掖入(なげいれ)』『立花(りっか)』の実用本に出ていますが、水揚げの悪さは否めなかったようです。戦前までは 200種もの園芸種が継承されていたそうですが今は途絶えてしまいました。ただ近年、岡山県の総社市内や倉敷市内の関西タンポポの群生地で「筒咲」に似た珍しい品種が確認されたそうです。逞しく生き残った子孫なのか…あなたもどこかで幻の品種を見つけられるかもしれません。

 

 余談ですが、この当時の日本文化の高さを称賛していたイギリスの植物学者がいます。1860年、幕末の日本に初来日したロバート フォーチュンは、日本人の花を愛する国民性を高く評価したのです。荘厳な庭に凝殿様から長屋の軒下に所狭と鉢花並べている庶民まで園芸を楽しんでいることや、鎖国を続けてきた島国でサボテンやアロエ、はたまたイギリス産の苺が売られている光景に驚き、江戸の植木市で珍しい園芸植物を買い求め、さらに各地で庶民の暮らしを体験したことから、リアルに体験した幕末の様々な事件などを自著「Yedo and Peking(1863ロンドン)に細かく綴りました翻訳本幕末日本探訪記江戸と北京』(ロバートフォーチュン著 三宅馨訳2007講談社学術文庫)で読むことができます

 

このフォーチュン氏、実は唯の植物ハンターではありませんでした。彼こそ優雅な紅茶文化と貿易や経済、植民地政策にまつわる黒歴史の中心人物でした。お茶好き、植物好きには興味深い一冊、紅茶スパイ 英国人プラントハンター中国を行く』(サラ ローズ 著、築地誠子 翻訳  2011 原書房)とてもおすすめです。そうそうもう一人、彼よりちょっと早く来日した、やはり東インド会社絡みの植物オタク、否、有名なドイツ人医師がいましたね。この方のお話は、次回にでもいたしましょう。

 

 タンポポという可愛い大和言葉がいつ発生したかは不明ですが、文字として残されているのは室町時代の国語辞典「節用集(せつようしゅう」(1474年頃)が初めてです。語源については諸説あり、①古語の「田菜」+冠毛の「穂穂」が訛った説、②冠毛の乗った穂の様子がたんぽ槍の稽古の時に刃を丸く包んで保護した綿球や、拓本を採るときに墨をつけて叩く道具に似ている③別名の鼓草から鼓を表す幼児語タンポンポンから説などなど。きっとどれも正解。タンポポ が身近な植物として親しまれていたことがわかります。

 

前出の別名「鼓草」もいつから使われていた語なのかは定かでないのですが、江戸時代以前の記述は見当たりません。蕾の形が鼓に見えるとか、蒲公英の茎を千切って両端を裂くとクルクルっと巻き上がって鼓の形になるとか、茎の両端に花を差し込んで鼓に似せたとか言われておりますが、江戸期は子供たちの遊びの発想も豊かだったようです。

 

タンポポと呼ぶよりも「鼓草」のほうが高尚で文学的に聞こえるのか、また五音で使いやすいからか、和歌や俳句でも春の季語として好まれてきました。筆者としては鼓草というと講談や古典落語の演目西行鼓ケ滝」を思い浮かべます。西行さんが詠んだという和歌を題材にした噺です。季語としては既に季節外れですが気象庁の定義ではまだ5月は春。今のうちにぜひYouTubeで楽しんでみてはいかがでしょう。お後がよろしいようで。

湯煎鍋と悪魔くん

雨が早々に開けてしまい連日の30度越え…今朝は顔色がすぐれませんね。猛暑の日や雨の日とサイクルが重なってしまうとPMSが強く起こる方、少なくないです。ご自分の体の声に耳を傾ける時間もなくお忙しく活躍されている40代女性のあなたに、今プレメノを淹れましょう。前の晩に作っておいても良いですので、このお茶は毎朝しばらく続けてみてください。お茶を待つ間、プレメノにも入っているレディースマントルのお話でもおつきあいください。

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レディースマントルはバラ科アルケミラ属(ハゴロモグサ属)の総称で、ヨーロッパ全域からコーカサス地方、北極圏内、またアフリカからインド、スリランカ、インドネシアの高山地帯といった幅広い地域に、約1000種以上も自生している多年草です。日本にも北海道夕張岳や北アルプス白馬辺りにAlchemilla japonica という種が自生していますが、現在は絶滅危惧種。初夏から夏にかけて黄緑色の小花をカスミソウのように密集して咲かせますが、花弁に見えるのは萼片です。シルバーの綿毛が光る葉の風合いと緑系の花が花材としても人気がありますし、這性の宿根草なのでガーデニングでもよく使われている植物です。

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薬効のある種Alchemilla vulgarisは、日本で一般的によく見られるAlchemilla mollis比べると、花が小さくより緑がかっています 葉のお茶は女性の生殖器官全般のトラブルと、お肌の調子を整える効果があると「女性の美と健康の薬」の代表的なハーブとして、古くからヨーロッパやアラブ諸国で安定した人気を誇ってきました。17世紀のイギリスのハーバリストで医師で天文学者で占星術士のニコラス・カルペパーは謂いました、「垂れ下がった乳房を元に戻すにはレディースマントルがいいのだ」と。

工芸品の様に美しく扇のように折り畳まれて芽生える葉は、丸く開くとベルベットのような柔毛に覆われています。その為表面張力の力で朝露や雨粒を美しく輝く粒にして集める様子から”デューカップ(露のカップ)”とか、波型に浅い切れ込みが入った様子から “レオントポディウム(ラテン語でライオンの足)”と呼ばれていました。16世紀になると、ドイツの医師で牧師で植物学者だったヒエロニムス・ボック(Hieronymus Jerome Bock)が、「Our Lady=聖母マリア」のマント、レディースマントルと命名しました。このボック氏は主著『新植物書』(1539)で800種以上の植物を草と木に分け、さらに葉の形態によって種類分けをするという独自の分類法を編み出した植物分類学者として偉大な功績を残しました。またボックさんはワイン界でも有名人。ドイツのライン地方で親しまれていた一地酒を、1552年に自著の中に初めて「Rieslingリースリング」という品種名を正式に記した人なのです。今や世界中のワイン好きが“夏に飲みたいNo.1白ワイン”と認める人気のリースリング、暑い日はキリッキリに冷やしてボックさんにToast!

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さて、13世紀頃から錬金術がかつてないほどのブームを迎えていた中世ヨーロッパで、レディースマントルの葉に溜まる宝石のように輝く露の玉には神秘物質を含まれている、と言われて珍重されていましたが、聖母マリアの名がついた事でさらに神聖味が増し「この露こそ霊薬だ!」とか「賢者の石に必要なマジックポーションだ!」と、錬金術師達が熱狂して群がりました。そこからレディースマントルの属名は錬金術を意味するAlchemyを語源とするアルケミラになったといわれます。(アラビア語のalkemelyeh(絹状の柔毛)説、ギリシャ語のKhumos(植物の汁)説もあり)

ここでちょっと錬金術のお話です。古代ギリシャに端を発した錬金術はヨーロッパで何度も流行を繰り返し、やれ鉛から黄金が作れるだの、やれ石ころが宝石になるだの、やれ魂を高めて神と一体化するだの、やれ不老不死の霊薬を作るだの、と人間の欲望をかきたてました。それは鬱屈した下流民衆から廃頽した上流貴族までもを夢中にさせ、闇の黒魔術や黒ミサなどオカルトの世界から猟奇的なエロ黒犯罪史をも残しました。またフリーメーソンなる謎の秘密結社も結成され、現在も世界中に支部を置いています。(ちなみに日本支部の本拠地は東京タワーの足元にあり。)しかしそんな怪しさと一線を画して見れば、科学技術を探求する錬金術師たちが現代テクノロジーの源を確立し、化学や科学、物理学や医学、天文学など様々な学問を発展させてきました。17世紀に万有引力を発見したアイザック・ニュートンもその一人です。身近なところでは錬金術の実験器具として発明された蒸留器のお陰でウイスキーや焼酎が飲めたり、マイセンをはじめとする美しいヨーロッパ磁器が生まれました。

一方、中国にも不老不死の霊薬「仙丹を作る」を探求する錬金術そっくりの「錬丹術」なる術がありました。この研究も中国医薬や本草学、化学技術に貢献し、火薬の発明に成功したのも錬丹術の成果です。

 

そんな錬金術師達の開祖、師の中の師と云われるのが、2~3世紀ごろエジプトのアレクサンドリアに実在した「ユダヤ人マリア」(別名ヘブライ人マリア、預言者マリア、一説によるとモーセの姉ミリアムと同一人物説もあります)という女性錬金術師だそうな。”錬金術は台所で始まった”といわれるように、実は多くの女性錬金術師達が活躍していたのですが、優秀がゆえに怖れられ、”魔女”として迫害されたケースも少なくなかったのです。

今日の私達が目にできるこのマリアさんの遺したものが2つあります。1つ目は料理用品の湯煎鍋で、バン・マリー(Bain Marieマリアの湯舟の意)と呼ばれています。これはマリアさんが錬金術の実験中に発明した金属を溶かす二重鍋が由来なのだとか。フランス料理では湯煎する事や湯煎して作るソースにもバン・マリーという用語が使われています。

2つ目は古典の名作、ゲーテの戯曲「ファウスト」(1808年)第一部、女の厨の場面。数字の魔法陣を解く時にかけられる呪文「Des Hexeneinmaleins 魔女の九九」です。“汝、一を十となせ、二を去るにまかせよ、三をただちにつくれ、しからば汝は富まん、四は棄てよ、五と六より七と八を生め。かく魔女は説く。かくて成就せん。すなわち九は一にして、十は無なり。これを魔女の九九という”

この文句はマリアさんが残した格言をゲーテがなぞったのだとか。不思議で魅力的な呪文です。魔法陣と共に解読に兆戦してみてください。

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ゲーテは子供の頃に旅回りの人形劇で観た「悪魔に魂を売り渡した錬金術師ファウスト博士」の伝説に深く魅了されます。ドイツに実在した何人かの錬金術師達の逸話を織り交ぜた戯曲「ファウスト」に生涯をかけて取り組み、死の5日前に書き上げました。

ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、ドイツ東部のライプチヒにAuerbachs keller(アウアーバッハス・ケラー)という老舗レストランがあります。ライプチヒ大学の医学部教授だったアウアーバッハ氏が『ワインは正しく飲めば病気予防になる』といって、1525年に自宅のワインセラーに学生の為の酒場として開いた店です。18世紀後半、この大学に遊学していたゲーテが店の娘ケートヒェン目当てにこの店に通い詰め「ファウスト」にも登場させたことから有名店となります。

時は1885年、軍医としてドイツ留学をした森鷗外はライプチヒ大学で学ぶ中、哲学者の井上哲次郎とゲーテゆかりのこの店を訪れ、雑談の中から「ファウスト」翻訳を思いつたのだとか。こうして1913年に日本初の「ファウスト」が本名の森林太郎名義で が出版されました(ちくま文庫・青空文庫)。余談ですが、このレストランはバブル当時に日本人観光客が多く来てくれたことに気を良くしたのか、2009年に羽織袴姿の森とスーツ姿の井上を描き込んだファウストの一場面を大きな壁画にしてしまいました。この壁画は微妙ですが、16世紀そのままのインテリアは一見の価値ありです。

錬金術師ファウストの伝説は世界中の文化にも影響を与え、オペラ、映画、ミュージカル、バレエ、絵画、小説、音楽など様々な分野でモチーフとなってきました。ファウストの漫画化に挑み続け、3度目の「ネオファウスト」が未完の絶筆になってしまった手塚治虫、ゲーテの言葉が自らの思想の背骨と語りファウスト博士へのオマージュ「悪魔くん」を残した水木しげる…日本の漫画界のレジェンド達だけでなく、アニメやゲームといった21世紀現在のポップカルチャーにまで新鮮な影響を与え続けていることこそ、錬金術というファンタジーのなせる業なのでしょうか。

「ファウスト」にご興味もたれた方、是非2011年のヴェネチア映画祭で金獅子賞に輝いたアレクサンドル・ソクーロフ監督の映画『ファウスト』(2011ロシア)の美しい映像で中世の世界に浸ってみてください。もし文字で読むなら『史上最高に面白いファウスト』(中野和朗 2016文芸春秋)絶賛お勧め中です。クスッとしながらスイスイ読破間違いなし。

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猛暑の夏はクーラーの中で読書、これもありですね。そこでもう一冊、先述の湯煎鍋絡みの心地よいエッセイ『バン・マリーへの手紙 』(堀江敏幸 2007岩波書店)。ちょっと難解な部分はスルーしながら読み進めれば、湯煎をするようにゆっくりじんわりくるエッセイです。「思い出が多くなったら、それを忘れることができなければならない」の一行、滲みました。

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読書のお供はもちろんお好みのハーブティーを。そしてBGMにはマーラーの『交響曲第8番』をはじめ、ベルリオーズ、シューマン、リスト、グノーのオペラ…などなどファウスト関連の曲で錬金術感を盛り上げてください。熱中症対策には気を付けて素敵な夏をお過ごしください。

 

農神さんと源内さんと日本一の星空を

 

夏のような日と梅雨寒の日が行ったり来たり…体調管理が難しい時期ですね。今朝はモーニングを淹れましょう。気温や気圧などが忙しく変化しても、生命維持の為に体内の状態を一定に保とうとフル稼働しているのは自律神経さん一人です。この方ワンオペです。長時間労働、残業なしで不調が出ると責められ、バイトも雇えません。まさにブラックです。モーニングで自律神経をちょっとサポートしてあげましょう。お茶を待つ間、モーニングに入っているハーブ、シサンドラのお話でもお付き合いください。

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シサンドラ(Schisandra cinensis)は朝鮮五味子の名で知られる中国の北東部原産、モクレン科の植物です。高さ2mほどになる蔓性植物で雌雄の株が異なり、雄花には雄しべが6本、雌花には雌しべが無数にあります。属名の Schisandra はギリシャ語のschizo(裂ける)+ andron(雄しべ)、種小名の chinensis は「中国の」を意味します。6月頃に芳香を放つクリーム色の小さな花を咲かせ、後に小さいな丸い果実を房状に付けます。ブドウのように花1つ1つから結実するのではなく、1つの花からたくさんの実をつけ、熟すと濃赤色になります。

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「五味子」は古い歴史をもつ生薬で、現存する最古の薬物学書である神農本草経に記されています。、“記された”といってもこの書物は編者や成立年代も不明なほど古く、木片や絹布などに書かれたり口伝で伝わったりした内容を、数世紀かけて何人もの手で加筆や編纂が重ねられたものです。

この書の中には1年の日数と同じ365種類の植物・動物・鉱物が生薬として解説されており、薬の性質により上品(じょうほん・長期連用しても毒性がなく不老長寿をめざす養命薬)、中品(ちゅうほん・毒性はうまく加減して用い、抵抗力を養い、強壮や予防の為の養性薬)、下品(げほん・毒性があるので長期使用はできないが積極的な病気治療の為の治病薬)と分類されています。五味子は上品に堂々のランクイン!いい薬です!

ちなみに神農本草経神農とは、3千年以上昔に実在した皇帝とも、古代中国神話に登場する医療農耕の薬祖神とも言われています。日本に伝わった江戸時代、幕府の薬草園にこの大陸の農神様の像が祀られると、医家や薬種商家にもシンボル的に祀られるようになり、しだいに日本の医薬神である少彦名命(スクナヒコナノミコト)を祀る神社に共祀られることとなり、現在に至るまで医薬関係者と露天商関係者(?)から厚い信仰を集めているという興味深い流れ…神農さんにまつわるお話はまた後日いたしましょう。

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五味子は果皮に「酸」、果肉に「甘」、種に「辛・苦」、全体的に「鹹(しょっぱい)」と五味を含むという意味です。中国伝統医学では人間の味覚で感知できるこれら5つの味には、それぞれに対応する五臓、心・肝・脾・肺・腎に作用すると考えています。ここでいう五臓とは現代使われる解剖学的な臓器名とは異なり、機能で分類した呼び名です。

苦味 血管・心臓機能低下

甘味 脾・膵臓機能低下

酸味 肝機能低下

鹹味 腎臓、生殖機能低下

辛味 肺・皮膚、呼吸器機能低下

五味子は体内を巡る”気”や”精“(エネルギー)の漏れを防ぐ働きで、全身に作用するというのです。唐の薬物書『新脩本草』を編纂した蘇敬曰く、「五味子はその日の体調で強く感じる味が異なる」のだとか。

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1578年、中国は明の後期に編まれた『本草綱目』で、五味子は生息地によって分類されています。黄河より北で採れる北五味子(ほくごみし、朝鮮五味子のこと)の実は黒っぽく強壮効果が高い、黄河の南で採れる南五味子(なんごみしSchisandra sphenanthera)の実は赤く強壮作用は低いが鎮咳薬に適している、と。

紛らわしいことに日本でいう南五味子はさねかずら(Kadsura japonica)を指し、こちらも鎮咳薬に使われてきました。また蔓からとれる粘液はちょんまげメンズのヘアスタイリング剤に使われていたことから、美男蔓(びなんかずら)という粋な別名があります。

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日本には江戸は享保(1716~36年)の頃に渡来します。中国から生薬としてもたらされた事も、朝鮮産の種子を輸入していた事も事実ですが、「朝鮮」とついているのは例によって「舶来品」という意味だったのかも知れません。しかし舶来品という高級感を強調した名前をつけた後で、日本にも自生していた事が判明。当時は種子しか見たことがないので、植物の姿を知る術はなかったのですから無理もなきこと…。

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この日本に自生する北五味子を発見したのはエレキテルで有名な平賀源内でした。マルチな活躍をした源内の本業は本草学、薬物学者だったのです。源内の興味深い生涯については後日またゆっくりお話しいたしましょう。

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朝鮮から輸入した五味子の種子を御薬園で栽培した源内は、駿河国(現在の静岡県東部)に分布している植物とそっくりなことを発見します。その後は北海道や本州の中部以北の山地でも次々と発見されました。その中で特に貴重な朝鮮五味子として幕府へ献上されていたのが富士山の北側の薬園で採れた五味子(地元ではごむしと呼ぶ)でした。これは品質の差ではなく、単に富士山が『蓬莱山』(不老不死の神薬をもった仙人が住むという中国神話の霊山)の最高峰と考えられていたのでプレミアムのついたブランド五味子として扱われたのでしょう。

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当時、軽井沢近辺の朝鮮五味子も有名だったようです。江戸時代末期の医師であり儒学者だった伊沢蘭軒の生涯について森鷗外が綴った史伝小説の中で、朝鮮五味子について蘭軒自身が「碓氷峠の天産植物、肝臓に良い成分とし重宝されていると」と語っているように、山間地の民にとって自家製の五味子酒、五味子茶、五味子味噌、五味子酢は大事な健康食品、民間療法として活用されていたことが解ります。

尚『伊沢蘭軒』(森鷗外 1996 ちくま文庫)は、私のおつむりでは内容が入り辛く…お勧めしかねます。悪しからず。

また長野県阿智村や喬木村周辺にあたりには、五味子の蔓をお風呂に入れて入浴する健康法もあったそうですが、植林による山野の環境変化で採取が難しくなりこうした朝鮮五味子の利用も忘れられた存在になっていったのです。余談ですが、今この阿智村の「日本一美しい星空」は外国人にも知られています。日本人なら是非一度は訪ねておきたいところです。

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現在も北五味子は和漢の生薬として日本薬局方(平成28年17改正)に収録されており、滋養強壮、夏バテ、口渇(いわゆるドライマウス)、疲労、多汗、男女の精力増進(いわゆる妊活)、若返り(いわゆるアンチエイジング)、呼吸器機能の衰え、うつ病や適応障害などの精神疾患の治療を目的に、小青竜湯や清肺湯、人参栄養籐、苓甘姜味辛夏仁湯などの漢方処方に配合されています。

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朝鮮五味子はアジアを西に進み、インド古代医療アーユルベーダの主要ハーブ、シサンドラとして重用されます。中国医療と同様に強壮、強精、鎮咳去痰に使われる他、脳や神経、肝臓の細胞活性といった更なる効果が具体的に加えられました。

転機が訪れたのは1947年、ロシアの科学者ラザレフ氏によって『アダプトゲン』という概念が提唱されてから。アダプトゲンとは精神的、肉体的のストレスに対する抵抗力を高め、全身の機能を活性化させる作用を持つ天然ハーブを意味し、朝鮮人参やウィザニアなどとともにシサンドラも挙げられたことから、世界へ進出することとなりました。

アダプトゲンの条件とは ①毒性(副作用)がない ②心身にかかるストレスへの順応を促進する特性を持つ ③作用が特異な臓器や器官に限定されず生理機能全体を正常化させる、といったことで、これはまさに農神さんの謂う不老長寿の薬「上品」の条件にピタリと一致。

近年の科学的研究で、シサンドラにはタンパク質、カルシウム、リン、鉄、ビタミンB1、C、E、といった栄養素の他に、有機酸(クエン酸、リンゴ酸、酒石酸)、リグナン(シザンドリン、デオキシシザンドリン、ゴミシン、プレゴミシン)アミノ酸(アルギニン)、精油にはセスキテルペン、シトラール、カミグリンといった非常に多くの植物性化学物質が含まれていることが解りました。

さらに1972年以降の臨床試験で肝障害の治療に効果があったという報告から、現在も急性肝炎の治療薬としての研究が続いています。

化学的な研究によって昔から言われている有効性は裏付けられた訳ですが、全貌解明まではまだまだ、今後に期待です。

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さて最近日本の若い女性の間で、韓国女性の美肌の秘密は五味子茶(オミジャチャ)にあり、と朝鮮五味子が知られるようになっています。五味子の砂糖漬けシロップをお水で割ったり、乾燥した実を一晩水に浸して抽出したエキスに蜂蜜やお砂糖を加えて飲む、という冷たいお茶だそうです。現地ではお水を加えるだけの粉末状やジャム状になったオミジャ茶や、ビニールパックにストローを挿してチューチュー飲むオミジャ茶が売られているそうです。韓国旅行にいらした折には是非探してみてください。

こうして韓国のオミジャ茶が話題になったお陰で、北海道の大雪山や羊蹄山のあたり、富士山麓や軽井沢や白馬といった山林に自生し続けてきた朝鮮五味子が再び見直されるようになり、地元で採れた五味子のスイーツやスム―ジー、果実酒が人気になっています。

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上記以外の地域でも、林道など山径の日当たりのよい場所で見つけることもできるようです。この季節なら香りのよい小さな白い花が、秋なら赤い小さな葡萄のような実がみつかるかも知しれません。

山歩きはちょっと…という方、日本全国津々浦々に在る植物園や薬草園(薬学部のある大学にも付属植物園があります)なら名札がありますのでより簡単に朝鮮五味子は見つけられますよ。

さ、梅雨の晴れ間に自律神経をリラックスさせる為にも、ちょっと出かけてみませんか?

 

牛蒡の名前で出ています

さてさて街は早くも桜色から緑色に衣替え、日中は汗ばむような季節になってきました。今日はその陽気を利用して春のデトックスを一気に加速させるピュリファイを差し上げましょう。気持ちの良い汗で心と身体のスッキリをサポートするこのピュリファイにもバードックが入っています。お茶を待つ間、前回のバードックの続きでもお話いたしましょう。

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ユーラシア大陸の西域から逞しい雑草バードックは元気に東へ進み、南はインドから、北はシベリア方面から東アジア全体へと広まり、いよいよ中国で漢語の『牛蒡』という名を賜り、そうです!バードックとは我らが馴染みの牛蒡(牛蒡)のことでした。今日は「牛蒡」の名でお話を進めましょう。

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牛蒡の語源は諸説あります。一説には「牛」が旁(そば)を通ると足や尾にくっついてくる植物なので旁に草冠をつけて「蒡」となり牛蒡となった説。別の説では「蒡」という既存の植物に似ているけど「蒡」よりサイズが大きい、ということで大きい物を意味する「牛」を頭につけ『わっ!この蒡、マジ牛デッカイ!!』的な説。中国の故事「鶏口牛後」の「牛」と同じ意味なのですが、画的にはイソップ物語「牛とカエル」で大きい牛に対抗して膨らみ過ぎて吹っ飛んだ母カエルの姿が浮かびました。因みに日本の動植物名で「大きい」を表す時は「熊」、「小さい」を表す時は「姫」という接頭語がよく使われています。

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中国にも薬としての評判と一緒に伝わったようで、早速漢方でも種子を牛蒡子(牛蒡シ)、別名は悪実(アクジツ)と呼び、排膿、咳止め、解毒、解熱、消炎、利尿剤として処方されてきました。

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そして遂にお話の舞台は日本に移ってまいりました。考古学資料によると、縄文前期の遺跡、福井県若狭周辺の鳥浜貝塚から牛蒡が栽培されていた跡が確認されています。記述はというと8世紀末の漢和辞典、新撰字鏡(898~901)で木の項目に『悪実』アクジツ別名「支太支須乃彌」とあるのが最古です。この6文字の名前、調べてみましたが読み方も意味も不明です。上代日本語というのは現代の日本語とは全く別物、どなたかお分かりになる方がいらしたらご一報ください。

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次に登場するのは平安初期に編まれた日本最古の薬物書『本草和名』(918年)で薬草「悪実一名を牛蒡牛蒡、一名、鼠粘草ソネンソウ(実が鼠にくっつくから)、一名、岐多伊須キタイス、(他説、岐多岐須キタキスの表記もあります)、一名、宇末布々岐ウマフブキ(馬が好んで食べる蕗、または旨い蕗)と称し、根に発汗、利尿作用があり、種子は咽痛緩和や解毒作用があると書いてあります。「牛蒡」という音は中国の呉音から来ているのだそうで、「キタイス」は上代日本語でキタ(固く)+アキツ(細く尖った物)が連音したものだそうですが…古代の日本人が使用していた言語は完全に外国語です。いずれにせよ日本でも別名がいっぱいある、ということは、来日以来あっという間に全国に広がったのだと想像されます。

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平安中期になると、辞書『和名類聚抄(わみょうるいじょうしょう)』(923-931年)に、はじめて野菜として「薬草でいうところの悪実は牛蒡の事。一名を牛房」と載ります。この牛房の語源は、牛蒡の根が牛の尾に似ているからなのだとか。

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食材としては平安後期、朝廷の儀式や行事を詳しく記録した『類聚雑要抄』(るいじょうぞうようしょう1146年)の中で、元永元年(1118年)平等院に行幸した鳥羽天皇ご一行様をもてなす礼式用の料理に登場します。御膳には五種の干物(青・黄・赤・白・黒の5色の食材を削って器に盛ったもの)の一つとして供されています。青は海松(ミル、海草)黒は青苔(ノリ)、赤が牛房(牛蒡)、黄を川骨(コウホネ、スイレンの一種)白を蓮根(レンコン)と地味な食材ですが五色揃っています。牛蒡の別名がウマフブキとあるので、その頃は蕗のように根ではなく葉や茎が調理されていたのかも知れません。和食は五行思想由来の五色五味五法が基本ですが、天皇ご一行をもてなした味つけと調理法は見つけられせんでした。ご存知の方がいらっしゃいましたら、こちらも是非ご一報ください。

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次いで14世紀になると『庭訓往来ていきんおうらい』(12か月に分けた手紙文の形式で当時の日常生活に必要な用語を解説した書物で庶民用の初等教科書として長く使われた)に「牛房の煮しめ」が出てきます。また15~17世紀頃の 北野天満宮の年中行事を記録した『北野社家日記』には「たたき牛蒡(茹でた牛蒡を叩いてゴマ酢やゴマじょうゆで和える)」が出てきます。

牛蒡は地中深くまっすぐ根を伸ばすので、家の安泰という縁起の良い食材とされ、現代に至るまで全国的に祝の膳やお正月、冠婚葬祭や厄除け、五穀豊穣と子孫繁栄を祈る神事などの料理に欠かせない存在となりました。

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そんなお祭りといえば 有名なのが三重県津市の美杉町に室町時代から続く由緒ある「ごんぼ(牛蒡)祭り(毎年2月11日開催)があります。五穀豊穣・子孫繁栄を願う祭りで、まずは厄を祓う「弓神事」、恭しく鰡(ボラ)と牛蒡を供える「マナイタ行事」が古式ゆかしく行われた後、立派な木彫の男性のシンボルと、藁で編んだ女性のシンボルを模したお神輿が賑々しく境内を練歩き、クライマックスは合体❣ワォ💕と…何ともストレートな奇祭があります。担ぎ手の技量によって合体の上手下手があるのだとか… 無事に合体を終えるとお祭りの参加者全員に「牛蒡の味噌和え」が盛大に振舞われるそうです。生命を繋ぐことの大切さを滑稽なまでに真剣な姿で祈るお祭り、その迫力と日本人の大らかさを実際に現地で感じてみませんか。特に18歳以下は参加禁止というお祭りではありません。余談ですが日本には日本人でもあまり知らない奇祭が各地に多々あり、最近では動画サイトでこれらのお祭りを知って来日する外国人の姿もたくさん見られるそうです。

ちなみに青春小説『神去なあなあ日常』(三浦しおん2009 徳間書店)はこのお祭りから着想を得た作品だそうで、映画化された『WOOD JOB!~神去なあなあ日常~』(2014日本)のお祭りのシーンは『ごんぼ祭り』をデフォルメし、実際にこの美杉町で撮影されています。

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さて、お茶が入ってしまいましたので今日のお話はここまでにいたします。江戸時代以降の牛蒡のお話はまた次回にいたしましょう。

今夜は牛蒡でおかずを一品足しましょうか。家庭料理の定番、金平牛蒡には各家庭でそれぞれのアレンジがあると思いますが、我が家では人参と牛蒡にセロリまたはフェネルの茎を加えた金平が人気です。ちなみに牛蒡は水や酢水にさらしてあく抜きをしてしまうと、風味とともに水溶性食物繊維を失ってしまいます。泥はよく落とし、刻んだら2~3度ざるの中で洗う程度で充分です。仕上がりの色が多少黒っぽくなるだけですので、牛蒡のありがたい栄養素は損なわずに体に頂戴いたしましょう。

 

 

 

 

 

バードックとイッパイアッテナ

三寒四温という穏やかさが似合わない季節の歩みに驚かされている間に、例年より早く桜が咲きました。さあ、春は体の大掃除にぴったりの季節です。生物の体は寒さから身を護る為に自然と代謝が低下してあらゆるものを溜め込んでおくようにできています。冬の間に溜め込んでしまった老廃物や毒素をすっきり出して身も心も軽くなるように今日はレギュラーを淹れます。お茶を待つ間にレギュラーの中で特に解毒、排出作用を発揮するバードック(牛蒡)のお話でも致しましょう。

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バードックはユーラシア大陸の西端、アンダルシア地方のセビリアあたりが原産といわれているキク科の二年草です。英語名は蕾や実がイガイガの棘で覆われていることからバー(bur=イガ)、ドック(dock=茂み)でバードック。西は北米大陸へ、東はシベリアからトルコを経てアジア一帯へ、南はアフリカ大陸へと丈夫さと繁殖力の強さで一気に世界進出を果たした雑草です。あちこちで名前がついたので英語名だけでもベガーズボタン(乞食のボタン)、 ハッピーメジャー、クロットバー…などなどとにかく野良猫のように多くの名前を持っています。今日はバードックの名前で繁殖の旅を辿ってみましょう。

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学名Arctium lappa属名は長い剛毛に覆われている実の様子からギリシャ語の熊「アルクトス」、種小名は通りすがりの動物や人の衣類にくっついて運ばれる実の生態からケルト語の「掴む」が由来といわれています。この実はヨーロッパの子供達にとっては投げ合ってはセーターや髪にくっつける恰好の遊び道具です。それが1948年スイスのジョルジュ・デ・メストラルさんによってある発明品となりました。山から狩猟をして帰宅すると犬の体にバードックの実がたくさん付いてきました。これを観察していて閃いたのがベルクロ(日本ではマジックテープの商品名で有名)、乞食のボタンは便利なバリバリテープになりました。ヨーロッパの子供と同様に昭和の子供なら誰もが遊んだことのある「ひっつき虫」はバードックの実にそっくりなオナモミという雑草の実でした。現在そのオナモミは毛の少ない外来種オオオナモミの繁殖により絶滅危惧種に指定されているそうです。

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ヨーロッパではギリシャ、ローマの時代から雑草として道端に生えていたので若葉を摘んではそのまま生で食されていたようですが、野菜として栽培された記録はありません。当時から魔除けのおまじないとしてその実を家の周りに撒きました。薬としてはデトックス効果の高さから「薬草界一のパワーショベル」とも呼ばれ根、実、種子の浄血、解毒、排出作用から便秘や風邪、梅毒、関節痛、浮腫、痛風から胆石、肝障害などに、また子宮収斂作用から出産促進剤に、また皮膚疾患には軟膏や湿布に、と幅広く使われてきました。またダンデライオンの根やアーティチョークの根などと共に自家製薬用ワインの定番の材料でした。現在もイギリスにはBen Shawsというブランドから「ダンデライオン&バードック」という炭酸飲料が売られています。これは日本人の口にも合う美味しさ!紫色の缶です。どこかで見つけたら是非お試しあれ。

 

 

北米インディアンも各部族がそれぞれの方法で薬用として使ってきました。呼吸器の疾患や下痢や便秘薬につかったり、根のキャンディー(砂糖漬け)は冬の間も保存できる栄養食品にされてきました。カナダのオンタリオ州の先住民、オジブワ族が伝承してきたバードック配合の薬草茶レシピが1924年、同地の看護師Rene M. Caissieによって再現され、彼女の名前を逆読みしたエシアックティー(Eissiac Tea)という健康飲料があります。

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 バードックは薬草としての評判も高い割りには、いつも畑に蔓延る厄介な雑草という扱われよう。花もアザミに似て可愛らしいのですが、棘のある姿から花言葉は「さわらないで」「警戒」「頑固」「しつこい」「不作法」などなど…ストーカーにぴったりな言葉ばかりがたくさん並び気の毒になります。

もっともバードックを野菜として栽培している日本では、春に種を撒き秋に根を収穫する為に花は咲きません。種子を採取する畑だけで株は冬を越し、翌年の6月中旬以降に花を咲かせるので、滅多に見られない珍しい花なのですので見つけた方はラッキーです。

例によってハーブ大好きなシェイクスピアの作品にも登場しますが、こちらも負のイメージばかりです。『真夏の夜の夢』(A midsummer night’s dream 1600)では邪魔になった駆け落ち相手を、『尺には尺を』(Measure for Measure 1603)では遊び人の変人ルシオが自身をこの実に例えています。また『リア王』(King Lear 1608)では、気の触れたリア王が頭を飾りたてた「役にも立たない雑草」の1つとしてバードックの名が挙げられています。

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 所変わってトルコ。キリム(伝統的絨毯)には織り込まれている模様には一つ一つ意味があります。バードックの実の模様もその1つで、邪視(evil eye=悪意を持って相手を睨みつけて呪いを掛ける魔力)から家族や家庭を守る魔除けとされているのです。しつこい相手に付きまとわれている方は、バードックの実をお守りにするとよいかもしれませんね。この中東より西に広まる邪視信仰についてはいつかまた機会があればお話いたしましょう。邪視といえば、トルコ土産で有名な藍い目玉を模したガラス玉(ナザールボンジュウ)も邪視除けのお守りなのだそうです。余談ですがこの「邪視」という言葉は明治の博物学者、南方熊楠による訳語だそうです。さすが歩く百科事典といわれる彼のの知識量には目を見張ります。

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 そしてインドにもばっちりその根を下ろしていたバードック。古代療法アーユルベーダでも種子は血液とリンパの浄化、利尿、咳止め、関節炎に、根は栄養価の高い強壮剤とされてきあした。ここで特筆すべきは、怒りや攻撃性、激しい欲望といった感情を取り除く心の掃除にも効果がある薬草として使われてきた事です。体に効くものは心にも効くという訳ですね。

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 ということで、このあとバードックはあっという間にアジアを制覇し中国から日本へ辿りつき、家庭惣菜に欠かせない野菜として君臨することになります。この続きは次のお茶を入れる時にでも致しましょう。

 

 

 

 

 

ゾンビと天使と曼陀羅華

暑い日が続くと大人ももちろん、赤ちゃんだってなんだかグズグズしてしまいがちです。そんな日は赤ちゃん(月齢6か月以上)からお年寄りまで飲めるコリッキーを淹れましょう。優しい味で消化器と神経を宥めてくれます。冷たくして召し上りますか?ではお茶の用意ができるまで、夏といえばホラー、夏のホラー映画の定番、ゾンビに関わる毒のある植物のお話を致しましょう。

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墓場から次々と這いだしてくるゾンビ、硬直した手足はぎこちなく、皮膚は剥がれ落ち、膨れ上がった体から内臓を引きずり、骨が見える袖口からボトボト腐肉を落としながら、ずるりずるりと生物の肉を求めて近づいてくる…襲われてしまえばあなたもまたゾンビに・・・ゾンビの発祥はハイチのゾンビ伝説にあります。そこには悲しい奴隷の歴史が隠されていました。

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15世紀末、コロンブスが中南米の島を発見して以降スペイン人による侵略が次々進み、ハイチの先住民は殺戮や強制労働、また欧州から持ちこまれた病気によって全滅してしまいます。次の労働者とされたのが西アフリカから買い受けた大量の奴隷で、彼らは祖国土着の精霊信仰であるブードゥ教を心の拠り所にしていました。ブードゥ教は動物も人間も死が訪れれば悪い精霊かよい精霊になり、その精霊を生活の中で崇拝する教えでした。死体が蘇り動き回る「ゾンビの呪術」は本来、極悪非道を行った人間は死んでもなお蘇らせて永久に働かせる、死後の休息を永遠に与えない最重量刑として秩序を護る為に編み出された罰だったのでした。奴隷が信仰するブードゥ教の儀式を目の当たりにした白人はその不気味さに恐怖を感じ「邪教」として弾圧や改宗を強要しました。しかしブードゥ教の伝承はキリスト教など他の宗教や、各地の文化と融合しながら独特の信仰に変貌しつつ周辺各国に広まっていきました。

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奴隷制度の中で「ゾンビ」は様々に利用されました。「ゾンビにしてやる」という脅し文句は奴隷の管理に効果的、実際に薬を使って意思や人格を奪ったゾンビは思い通りに酷使できる、犯罪の身代わりにできる、付加価値のついた奴隷として高値で売れたのだとか。

サトウキビで富をもたらすハイチは独立しても次々と列強の支配を受ける為に政情はいつも不安定、自然災害が多い地であるため経済的にもいつも不安定でした。貧困から脱却できない黒人が暴動を起こすのではないか、と常に警戒していたアメリカは、黒人の連帯や組織化の核となっていたブードゥ教に恐怖を感じていた事は想像に難くありません。20世紀半ばからその怖れを抑え込むかのように、ゾンビを醜悪で面白おかしいく描くホラー映画が作られていきました。

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1980年代にゾンビを研究した人類学者で植物学者、ウェイド・デイビスが発表した『蛇と虹』(草思社1988)で「フグやカエルなど動物の毒で仮死状態にし周囲には死んだように見せかけ、体が復活したら精神作用のある植物毒で意識を混濁させて作った奴隷(囚人)がゾンビの正体」という説が有名になりました。仮死状態を作る動物毒には矛盾無理があるようなのですが、人間性や意思を喪失させる神経性植物毒として使われたとされるブルグマンシア、またはダチュラには信憑性があります。

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ブルグマンシアもダチュラもユリのような大振り花を咲かせるナス科の植物です。園芸種として両種の名前が混同されがちですが、下向きの花を咲かせる木立性のものがブルグマンシア、上向きの花を咲かせる一年草がダチュラ、と区別します。花の美しさとは裏腹に神経に作用して妄想、幻覚をおこさせ、思考能力の破壊、人間性の喪失、瞳孔拡大・頻脈・精神錯乱・意識障害を起こして死に至らしめるアルカロイドを含む恐ろしい有毒植物です。

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ブルグマンシア(Brugmansia versicolor)は低~中木の 南米の亜熱帯地域原産です。現在は世界中に広まっていて、日本でも春から秋まで次々と美しい花を咲かせる壮麗な姿が庭木として人気があり、全国各地の住宅地に普通にみられます。日本名「木立朝鮮朝顔」や別名「エンジェルトランペット」と聞けば、皆様ご存知かと思います。花は白、ピンク、オレンジなど様々な色があり、クラっとするような甘い芳香を放ちます。夜開く花といわれ、夜目遠目でみてもくっきりと光り輝くように咲くエンジェルトランペットは、酔わされるように妖しくも美しい花です。

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くらくらするのもそのはず、葉、枝、幹、根、実、花、全ての部位に強力な毒を有しています。中世ヨーロッパでは魔女がサバト(悪魔崇拝の集会)に出掛ける日、ダチュラを燃やした煙を浴びて幻覚に耽った、という伝説になるほどの麻薬成分があるのです。

さまざまな違法、脱法麻薬が蔓延する現代でも、この毒を生成して作られる合成麻薬ほど凶悪なものはないといわれています。毒成分をしみ込ませた紙に触れただけで体内に吸収され、自制心や思考力を失って命令されるがままに行動し、記憶も残らない、という強烈な作用は犯罪に悪用されているケースも多いのだとか。この麻薬には「悪魔の吐息」「地獄への落とし穴」または「悪魔のトランペット」という別名もあるそうで…天使のトランペットが泣いています。

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こんな危険なエンジェルトランペットはとても身近な庭木ですが、命に係わる事故にもつながります。毒の力を知らなかったケースも、知っていて悪戯半分に使ってみるケースもあります。

花の下で小さな子供を遊ばせたり昼寝をさせないこと、枝で焚火はしないこと、葉や根を誤って口にしないこと、樹液を傷口や目に触れないこと、葉や花や枝を触った手や、剪定に使ったハサミは良く洗うこと…などなど十分注意をして下さい。

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もう一種がダチュラです。ダチュラ属の白花洋種朝鮮朝顔Datula Stramonium、毛朝鮮朝顔 (Datura Inoxia)長らくインド原産と考えられてきた朝鮮朝顔(Datura metel)など、全ての種類が中南米から北米原産と解明されました。朝鮮朝顔は4世紀頃までにはアメリカ大陸から南アジアに伝わり、現在は地球上の温帯から熱帯地域で自生または栽培されています。

学名のmetelはアラビア語で「麻薬性」を意味する mathelに 由来です。その麻薬性の効果からでしょうか、古代インドの性愛経典「カーマスートラ」(推定でおよそ4世紀から5世紀成立)では、サンスクリット語のdhattUra umattaという名前で「陶酔の媚薬」として記されています。ちなみにこのインド哲学にも通じるヒンズー教の経典は、至って真面目に性愛の重要性と技巧の研究を説いたものだそうで、現在では翻訳本のほかDVD(もちろん⑱禁)も出ています。ちなみに江戸時代の春画で有名な「四十八手」はこの経典がお手本なのだとか。また、10世紀ペルシャの医学者イブン・スィーナーの「医学典範」には、アラビア語で「麻薬性のクルミ」という名前で痛み止めに処方されています。

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見目麗しく香り芳しいダチュラがインドから中国に伝わった時、「これが仏教の経典の中で仏様が出現する時、マンジューシャカmajūṣaka と共に天から降り注いだ花マンダーラバ mandā ravaに違いない」という思い込みからマンダラゲ『曼陀羅華』になりました。字面も語感もヤンキーテイストを感じさせますが、まさにサンスクリット語を音写変換した当て字だからです。天から降った華については蓮だのデイゴだのヒガンバナだの、と諸説伝わっていますが、そこは経典に出てくる天界の華、つまり空想上の華ですから…。 しかし何の因果か一緒に降ったというもう一つの花、曼珠沙華(マンジュシャゲに)も曼陀羅華と同じ猛毒成分が含まれています。

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日本には17世紀(室町末期あるいは江戸初期)に漢方薬「曼陀羅華=マンダラゲ」として中国から伝わります。明代の医学書『本草綱目』に「患部を切開する時に曼陀羅華を熱酒に混ぜて服用させれば痛みを軽減する」とあるように、日本でも鎮痛や喘息の鎮痙剤として使われました。また同時に園芸種としては「朝鮮朝顔」の名で、1672年の狩野常信による「草花魚貝虫類写生図鑑16巻」に緻密な写生図が丁寧に描かれています。朝顔という名前がついていますが花の形が似ていただけで、ヒルガオ科の朝顔とは全く別の植物です。また「朝鮮」とついていますが朝鮮の植物ということでもなく、当時の舶来品はなんでも「朝鮮○○」「南蛮△△」「唐♢♢」というように大雑把に名前が付けられていました。

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江戸時代から身近な場所で栽培されていたようで、根や蕾や実の誤食による事故が多々記録されています。ぼーっと呆けてしまったり、狂ったように暴れたり、一晩中寝ずに走り回ったりという異常な行動を起こすことからキチガイナスビとも呼ばれました。意識がもどっても記憶が無かったり、そのまま死に至ることが多かったようです。現在はあまり栽培されていませんが、草地に自生している場合もあるので注意が必要です。

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鎮痛剤としての「曼陀羅華」は1804年に華岡青洲が世界初の全身麻酔手術を成功させた麻酔薬「通仙散」の主成分として有名になり、現在も麻酔薬の象徴として「日本麻酔科学会」のロゴマークにデザインされています。「通仙痛」には数種類の薬草が配合されていますが、危険性を十分承知していた青洲は配合を秘伝にしました。有吉佐和子の華岡青洲の妻(1966年 新潮社)はあくまで小説、全てが史実ではありませんが、麻酔薬完成に至るまでの犠牲や苦労を窺い知ることが出来ます。彼の偉業は150年後の1954年に国際外科学会で報告され、日本人として初めて開催地シカゴの外科学会栄誉館(Hall of Fame)に資料が展示された研究者なのです。曼陀羅華の凛とした美しい姿は華岡青洲とともに「第100回日本外科学会総会」(平成12年)の記念切手に描かれています。

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20世紀末になると、ダチュラの名はは村上龍の小説「コインロッカーベイビーズ」(1980年講談社)で有名になります。筆者の頭にも、何十年たっても嫌悪感と共に「ダチュラ」という名前が頭に残っています。人間の精神を崩壊させるダチュラはその後さまざまな小説でも犯罪に絡んで登場しますが、現実の世界でも最凶の麻薬として犯罪集団に使われたり、日本でも20世紀末のカルト教団が信者への洗脳や自白に使用したとか、監禁事件で被害者を洗脳するため食事に入れたとか、完全に邪悪な植物になっています。貴重な薬草なのに情けない…と華岡先生も草葉の陰で泣いておられることでしょう。

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もしゾンビに出会ってしまったら噛みつかれる前に「塩」をぶつければ助かる、そうです。ハイチには「塩」の入ったスープを飲んだゾンビたちが張り裂けるような叫び声をあげながら墓地に辿り着くや否や消滅した・・・という都市伝説が実しやかに伝わっています。しかしゾンビを作りだしたのも世界規模の「富と支配」の醜い欲望に駆られた人間、自ら薬物で人間性を失って罪を犯したりするのも生きた人間。やはり本当に怖いのはバケモノよりバカモノなのです。

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寝苦しい夏の夜はホラー映画を楽しむもよし、先出の『カーマスートラ』の翻訳書や実践DVD(⑱禁)で性の奥義、いやいやインド哲学を探求するもよし…どちらも趣味に合わないという方には、素敵な音楽を。

『曼陀羅の華』という交響(詩)曲ご存知ですか?これ『赤とんぼ』『待ちぼうけ』『からたちの花』といった多くの童謡で知られる山田耕筰の作品です。日本初の交響曲『勝鬨と平和』の翌年に発表された『曼陀羅の華』、西洋音楽を日本に受け入れた先駆者よる耳心地の良い交響曲は、真夏の暑い夜に天界の花の香りを思わせてくれるかも知れません。

 

 

 

味のジャーマン 香のローマン

 

 

今日は貴重な青空だというのに…気分は曇り空といった風情ですね。なるほどレディーにとってちょっと鬱陶しい週なのですね。始まる前からイライラしたり落ち込んだり痛みがあったりですね。温かいピリオドをご用意しますのでここでちょっと休んでください。ピリオドにはハーブティーの代名詞ともいえるカモマイルが入っています。あら?カモマイルの香りが苦手ですか?では、ひとつまみのペパーミントをブレンドして飲みやすくしてみましょう。お茶を待つ間、カモマイルのお話にお付き合いいただきましょう。日本ではカモミールと呼ばれることが多いようですが、フランス語のカモミーユからでしょうか。ここでは英語読みのカモマイルとします。

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カモマイルにはいくつかの種類がありますが、どの種も同じキク科の除虫菊などと同様、近くに生育する植物を元気にする働きがあり「植物のお医者さん」と呼ばれます。カモマイルはアブラムシの天敵になるテントウムシを引き寄せるため、害虫予防のコンパニオンプランツとして役立ちます。カモマイルとテントウムシ、実にかわいらしい絵になるコンビです。また煮出し液を苗木に噴霧すると立ち枯れ病の予防にもなります。香りの強さニュアンスには差があるものの、どの種のカモマイルにもリンゴ様の芳香があり、花言葉は「逆境に耐える」「苦難の中の力」「あなたを癒す」「清楚逆境に負けない強さ」「仲直り」イギリスの一部では「謙虚」などなど。

例えばダイヤーズカモミールArthemis tinctoriaは花の色が黄色とオレンジ色。薬効はあまりなくDyer’s(染物屋)の名の通り草木染の世界では黄色の染色液にミョウバンを加えると明るい黄色に、鉄を加えればオリーブ色に染まることが良く知られているそうです。ダブルフラワーカモミールChamaemelum nobile ‘Plenum’ は白い八重の花には薬効がありますが、花の数が少ないので薬用というよりは芝生代わりのグランドカバーに使われますノンフラワーカモミールChamaemelum nobile ‘Treneague’ はその名の通り花が咲かないので薬効はなく、こちらもイングリッシュガーデンの芝代わりとしてよく使われます。では最も有名で薬用として使われるジャーマン種とローマン種についてお話しましょう。

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まず、ジャーマンカモマイルMatricaria recutitaはキクの近縁種、シカギク科の一年草で小型の白い花を咲かせます。中央の黄色い部分(花托)が山高帽のように盛り上がるのが特徴で、葉や茎には香りがなく花だけが香ります。(写真はジャーマン種です)

スペインあたりが原産といわれますがヨーロッパ全域から地中海沿岸、北米、北西アジアにも広まりました。別名ワイルドカモマイルとも言われるように丈夫で路傍や空き地に自生しています。早くからドイツで薬として普及していたのでジャーマン種と呼ばれるようになったそうです。現在もドイツのコミッションE (薬用植物の専門委員会)では治療目的の使用が認めており、ホーチュラスのお茶で使用しているのもこちらジャーマンカモマイルです。

カモマイルは世界中で最も広く飲まれているハーブティーの1つですが、「味のジャーマン」といわれるようにお茶として飲まれるのはほぼジャーマン種です。別名「グッドナイトティー」の通り安眠効果が有名ですが、属名Matricariaはラテン語の子宮(matirx)や母(mater)が語源で、古代から生理に関わる症状、乳首の痛みや膣炎とい った女性特有の疾患に使われてきたことを示しています。種小名のrecutita はラテン語の「下に反り返る」という意味で、開花時の花弁が下に反り返る特徴を表しています。

薬効は神経系、婦人科系、消化器系の症状と多岐に及びますが、作用がとても穏やかですので乳幼児のむずがりや中耳炎の痛み、腹痛にも安心して使えるハーブです。『ピーターラビットのおはなし 第一話』で、一日中駆け回ってぐったり疲れて帰ってきたピーターに、お母さんがカモマイルのお茶を飲ませる有名な場面でカモマイルというハーブを知った方も多いのではないでしょうか。

ジャーマンカモマイルの特筆すべきところは精油の色です。香りは草のえぐみが強くあまり芳しくありませんが、精油の色は何とも魅力的な「アズレン・ブルー」と呼ばれ紺碧色をしており、瓶から取り出し空気と光に触れると緑色に変色するのが特徴的です。植物に含まれている油成分は無色透明なのですが、水蒸気蒸留される過程でマトリシンという成分からアズレン誘導体(カマズレン)が生成され、この時美しい青になるのです。「体にジャーマン」といわれる所以は、精油に豊富に含まれるこのカマズレンという成分に高い消炎作用がある為です。うがい薬や目薬のほか、腫瘍、火傷、消毒、湿疹などに有効な薬として使われます。どのお薬も美しい青色です。     またスキンケア商品や入浴剤には、赤ちゃん肌、乾燥肌、エイジング肌、敏感肌とどんな肌にも緩和作用を発揮する成分として配合されています。近年、世界中で商業栽培が行われていますが、特にドイツ、ハンガリー、クロアチア、エジプトなどが代表的な産地となっています。

日本には江戸時代前半にオランダ医学と共に薬として持ち込まれ、「母菊(ぼぎく)」という名で婦人病に重用されていました。北海道や東北などの寒い地域で栽培繁殖しますが、飛んだ種からそのまま野生化したり同じキク科の植物と交配しながら全国に広く自生するようになりました。小野蘭山の『本草綱目啓蒙』(1806)で朝鮮菊、松前菊と記載されていたのがカモマイルだといわれますが、はっきりとカミツレ(加密列)という名前が登場するのは宇田川玄真の『遠西医方名物考』(1822)が最初です。加密爾列という当て字で書かれた書物もあったようです。

カミツレという名の由来は諸説ありますが、オランダ語 の「カミレkamille」という発音が、当時の蘭学者の耳には「カミッレ」と聞こえたようで、さらに旧仮名遣いでは小さな「ッ」は大きな「ツ」で表記していた為カミツレとなった、という説が正しそうです。わが国の医薬品公定書である日本薬局方には、明治19年の第1 版から昭和48年の第8版まで「カミツレ花」の名で薬品として登録されていました。江戸時代には鳥取や岡山などで栽培されていたとも言われていますが、栽培地として具体的な地名が残されているのは大阪府茨木市総持寺附近だけです。総持寺の境内には今もカモマイルが咲いているのでしょうか。お近くにお住まいの方、ぜひ探してみてください。

一方のローマンカモマイル(Chamaemelum nobile)は多年草で、花弁は反り返ることもなく水平に開き、花托は平たく中身が詰まっているところと、「香のローマン」と称されるように花だけでなく葉や茎など全体から甘いリンゴ様の芳香を放っているところでジャーマン種と見分けられます。属名のChamaemelum はギリシャ語の kamai (地面の)とmelon(りんご)がくっ付いたカマイメーロンChamaimelonが由来になっています。

ちょっと横道にそれますが、なぜメロンがりんごなのでしょう?古代ギリシャ語では樹になる果実の総称としてmelonと呼んだようで、リンゴは果物の代表だったようです。因みにメロンはウリのような果実ということで瓜や瓢箪を意味するギリシャ語peponがついて、melonpeponだったのですが、前半のリンゴを意味する部分が後に独立してメロンの呼び名になったのだそうです。紛らわしいことです。

北アフリカから南欧を原産といわれるローマン種は早くからイギリスに伝播し根付いたので、別名イングリッシュカモマイルとも呼ばれています。特に聖アンナの祝日(7月26日)に教会へ行く時は、カモマイルの花束を持ってゆく習慣がありますし、イギリスの南西部ではお墓に香りのよいカモマイルを植える伝統があります。日本でもお供えといえば菊、同じですね。またイギリス王室では戴冠式にハーブの花束を持つ伝統が受け継がれているそうで、現女王エリザベスⅡ世が1953年の戴冠式で手にしていた花束にはカモマイルが入っていたそうです。

イギリスでこれほど愛されて来たのに、なぜローマン種と呼ばれるのかというと…ローマにカモマイルが伝わったのは16世紀以降なのですが、たまたまその直後にイタリア旅行をしたドイツの作家が、ローマで見つけたカモマイルだからローマンカモマイルと書物に記したところ、そのまま世界中に広まっただけなのだとか。

中世ヨーロッパでローマン種の最も一般的な利用法はストローイング・ハーブ(床敷きハーブ)でした。ヨーロッパの家は石や木、貧しい家は土の床の上にイグサや藁を敷いていました。イグサや藁は靴で持ち込まれる汚れや雨や雪、それに室内の湿気を吸収したり保温性、クッション性を持たせる効果がありました。敷き藁は汚れたり古くなると簡単に取り替えられ、料理の火種に再利用されました。入浴の習慣もなく衛生観念の低かったヨーロッパでは敷き藁のかわりに匂い対策、虫や鼠除け、疫病予防に役立つ様々なハーブを撒いたり、敷き藁に混ぜて使いました。香の強いローマン種は匂い対策としては最適だったのです。ストローイングハーブについては、またいつかお話いたしましょう。

余談ですが、カーペットの起源は約3000年前のシベリアで、遊牧民が厳しい自然から身を守るために作りだした暮らしの道具でした。初めは動物の毛を集めただけのフエルト状の敷物でしたが、西シベリアから中央アジア、トルコへとシルクロードに沿ってパイル織物として発展し、イスラム文化と共に技術的、芸術的に卓越した美しいペルシャ絨毯として花開きます。1204年に第4次十字軍がコンスタンチノープルを攻略した時、主戦国ベネチア軍が戦利品としてペルシャ絨毯を大量に奪い取ってヨーロッパに持ちこみます。しかし床に座る文化がないヨーロッパでは、カーペットは壁掛けやテーブルマットに使われ、床に敷かれるようになったのは16世紀以降、当時の王侯貴族の肖像画の足元に見ることができます。

イングリッシュガーデンでは、根が枯れることなく踏まれても丈夫なローマン種が芝として利用されていました。ハーブ好きなシェイクスピアは『ヘンリー四世 第一部』の中で、酒好き女好きで破天荒なフォールスタッフに、「カモミールはなぁ、踏まれれば踏まれるほど良く育つんだが、人の青春はなぁ~浪費すればするほど早く枯れ果てるってもんよ」と語らせています。なるほど。また、カモマイルは浄化のハーブ、「喘息の患者はカモマイルの芝に座って香気のなかで呼吸させるべし」という格言もあります。        また棄が絡みやすく低く刈り込むと密に茂りますので垣根にも使われ、我が家を呪いや魔の手から守るる結界と考えていました。

験担ぎといえば、ローマンカモマイルは「金運を呼び込むお守り」ともいわれ、ギャンブラーが賭け事の前にカモマイルの煎じ液で手を清めたそうです。また煮出し液を入浴剤として使うと狙った異性を落とせ「惚れ薬」にも使ったのだとか。

現在は主にイギリス、フランス、ベルギーで栽培されているローマン種は、主にアロマテラピー用のエッセンシャルオイル、入浴剤、芳香剤、香水、リキュールの香りつけなどに利用されています。ローマン種の精油は心にローマン」といわれるように精神面への働きかけが得意で、興奮を鎮める香りとして安眠や瞑想、特に生理や出産時の緊張や痛みを和らげたい時に最適です。

日本には明治初期、やはり薬種として渡来しましたが、すでにカミツレという名前がついたジャーマンカモマイルと似ているので、こちらもカミツレと呼ばれ、混同されることも多かったようです。近年、「カマメロサイド」という成分に糖化予防の薬効があるという発表されてから一目置かれて飲まれるようになってきました。

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さてさて、ハーブといえばおきまりのお酒の話。カモマイルを使ったお酒、あります。イタリアはピエモンテ州でグラッパを作り続けている歴史ある蒸留所SIBONAがリキュールCamomillaを出しています。ミルクとの相性抜群だそうで、魅力的なナイトキャップになりそうです。あ、夏はやっぱりビールですか?はい、カモマイルのビールもあるのです。イタリアにはミラノの小さな醸造所Birrificio Gecoが作る、カモマイルにコリアンダーシード、オレンジピールを配合したMilla、ベルギーにはオランダとの共同プロジェクトで作ったCheeky Kamille(BRUSSELS BEER PROJECTが)というレッドエールがあります。どちらも日本で入手可能のようです。20歳以上のカモマイル好きの方、是非お試しあれ。

そしてどうしてなかなか、日本の岡山に「加密列の風(吉備土手下麦酒醸造所)」なる地ビールがあるそうです。岡山といえば、明治の頃にカモマイルが栽培されていたらしいと…これは単なる偶然なのでしょうか?この夏一番気になる1杯です。お試しになられた方はご一報ください。

正倉院と隠密

 

春分も近づき、そろそろ桜前線が気になる季節になってきました。三寒四温の時期は体調を調える為に細胞まるごとリフレッシュ、を心がけると良いですね。寒い間縮こまっていた心と体をのびのびとストレッチできるように、今朝のお茶はモーニングにいたしましょう。モーニングに入っているのは前回お話したスペインリコリスですが、今回は東洋のリコリス、ウラル甘草(別名東北甘草、学名glycyrrhiza uralensis)にまつわるお話。お茶を待つ間、ちょっとお付き合いください。

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マメ科の多年草であるウラルカンゾウは、中央アジアから中国西北部、モンゴル、中国東北部の乾燥地帯に自生しています。中国でもカンゾウ(甘草)、天草と呼ばれていて薬としての歴史は古く、紀元前2世紀頃の薬物解説書『神農本草書』や治療法テキスト『傷寒論』に鎮痙・鎮痛・鎮咳・去痰・解毒などに処方されています。また、他の薬の副作用を抑える効果から、なんと7割以上の漢方薬に配合されてきました。

現在も安中散、四君子湯、十全大補湯、人参湯といった有名な漢方薬のほとんどに配合されています。芍薬甘草湯という漢方薬は、女性特有の病気の治療にも多く使われていますが、救急病院にも常備されるほど筋肉のツレや痙攣に即効性があります。                                                       一方、のどの痛みや咳止め、肺炎に処方される「甘草湯」は、漢方薬としては珍しく甘草が単独で使われていて、外用薬としても痔の炎症には直接患部に薬液を塗布するとよい、とあります。

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日本には奈良時代に伝来し、10世紀の書物には「甘草」という漢名に対し「阿末岐」「阿万木」(アマキ)という和名がつけられていたことがわかります。我が国最古の甘草は正倉院の北倉99番に香薬の1つとして現存しています。

正倉院とはもともと東大寺の倉庫で、確かな建造年は不明ですが紀元759年以前であることはわかっています。収蔵されている宝物は、光明皇后が夫である聖武天皇崩御の四十九日に東大寺に奉献した品々です。宝物には「夫の遺愛の品が目に入ると幸せな思い出が蘇って泣き崩れてしまいます」という書が添えられていたそうで、きっと仲睦まじい二人だったのでしょう。思わずまだ飾りっぱなしのお雛様の姿に重なりました。

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さすが当時の奈良はシルクロード東の終点と呼ばれた日本の都、正倉院の収蔵宝物の中には、唐や新羅、東南アジア、果ては地中海沿岸から渡ってきた、世界最高の文化と技術の粋を集めた美術工芸品650点と、貴重な薬物六十種が含まれています。というのも、聖武天皇は体が弱かった為、海外から植物、動物、鉱物を原料とした貴重な薬物が数多く取り寄せられていたのです。これら薬物の名前と用法を綿密に記載した「種々薬帳」に載る60種のうち、甘草を含む約40種類の薬がほとんど変質することなく正倉院に現存しており、貴重な資料となっています。

また種々薬帳の巻末には、「献納した薬物は病に苦しんでいる人のために使って下さい。この世から万病がなくなり、すべての人が痛みや苦しみから救われ、幼い子供が亡くなりませんように」という皇后の願文がしたためられてあり、実際に光明皇后は人々を救うために施薬院を設置しています。正倉院の出庫記録によれば、この施薬院で桂心、甘草、人参、大黄の4種類の薬が最も多く使われていたことがわかっています。

平安時代に常陸、陸奥、出羽国から朝廷への献上品に含まれていたという記録が「延喜式」(当時の法令マニュアル本)にあるので、その頃から東北地方で栽培されていたのではないかといわれています。

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時は天下泰平、八代将軍吉宗の時代、医療が一般民衆にも普及するに従って薬草木の需要が増え、すっかり中国からの輸入に頼っていた為、莫大な金銀が流出します。輸入だけに依存してはいられない、と吉宗は幕府主導で薬種栽培の体制を整えます。

吉宗は、まず海外から入手した植物を移植栽培し、生きた図鑑、見本園となる幕府直轄の『御薬園』を充実させます。そしてその見本と同じ、または代替となる自生植物を見つけてくるのが、「採薬師」と呼ばれる人達でした。採薬師制度は奈良時代から続いていて、当時は大陸から来た薬草に詳しい人達がその役目を担っていたのですが、吉宗は「採薬師」を将軍直々の特命係『御薬草御用係』として抱えていました。

採薬師達は、日本全国歩き回って自生植物を探索し、見つけてきた植物は御薬園に移植され、増産のための栽培研究をします。見本の輸入植物と全く同種属の植物が日本に自生しているとは限りませんので、良く似た代用植物が採集されたこともありました。それでも植物学的にはかなり近縁の植物が採集されていたことは驚くべきことです。      御薬園の見本は探索の見本になる以外、もう一つ役目がありました。当時、幕府は財政が逼迫していた全国の各藩に、財政再建を目指すために高価で取引される薬草の栽培を推奨しました。これで幕府も輸入超過を防げるし、各藩も潤う、一挙両得!といいたいところですが、世間に多くの薬種が出回ると、偽物も多く出回るのが常。偽物を取り締まる為にも本物を維持しておく必要がありました。

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余談ですが、江戸時代の特命『御薬草御用係』は御庭番とも呼ばれました。御庭番といえばご存知、隠密。時には薬の採集の為に全国各地を歩き、時には薬草園で薬草の研究に精を出すという表の顔を持ちながら、秘かに忍びの者として幕府の為に様々なことを探るというの裏の顔をもつ採薬師…忍者が薬草や毒薬にも詳しいことを考えると、なるほど納得です。彼らが残した『採薬記』には薬用となる動植鉱物のみならず、各地の自然、科学、文化、風習にいかに精通していかが覗えます。例えば現在の岩手県釜石近くで日本初の磁石を発見したのも採薬使でした。

そんな想像を膨らませてくれるのが『薬種御庭番』(高田在子著 青松書院)と、『採薬使佐平次』シリーズ(平谷美紀著 角川文庫)です。江戸時代にタイムスリップして、ちょっとミステリーな旅を楽しんでみませんか。

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さて、江戸最大の幕府直轄御薬園といえば小石川御薬園。現在の、文京区白山3丁目にある小石川植物園で、東京大学大学院理学系研究科附属植物園にされています。

この敷地はもともと館林藩下屋敷で、幼い藩主、松平徳松が住む白山御殿がありました。 徳松があの「五代将軍綱吉」となった後、敷地の一部に薬園が造られ「小石川御薬園」と呼ばれるようになります。その後、八代将軍吉宗が白山御殿の敷地全体を御薬園として拡大し、先述の通り見本園として機能していました。同時に園内で栽培した薬草は「乾薬場」と呼ばれる小屋で乾燥させ、調剤もされていました。

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暴れん坊将軍と呼ばれた八代将軍徳川吉宗と、名奉行大岡越前と呼ばれた大岡忠相、といえば庶民ファーストの市政改革を多く行った江戸時代最高の行政コンビですが、小石川にまつわる成果を残しています。

 

 

1722年、小石川伝通院の町医師である小川笙船(赤ひげ先生)が目安箱に「貧困対策として無料の医療施設の設立を」と投書すると、吉宗は忠相と相談の上、翌年にこの小石川御薬園の敷地内に施薬院(養生所)を設立させ、貧しくても治療が受けられるシステムを作りました。

また、園内には青木昆陽(通称甘藷先生)の碑があります。これは昆陽の提言「飢饉の時に命をつなぐ食料となるサツマイモの栽培を」を受理した吉宗&忠相ペアが栽培研究を命じ、小石川御薬園(他、千葉の2か所)で栽培に成功させた記念です。その後全国にサツマイモ栽培は広まり、多くの人を救うことになりました。おまけに「栗(九里)より(四里)うまい十三里」、江戸から十三里にあたる川越のサツマイモが美味しいと、焼き芋は江戸一番の人気スイーツになり。そしてサツマイモは便秘解消に一役買って江戸女性の美肌に貢献したということです。

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さて甘草の栽培のお話に戻りましょう。江戸時代の甘草栽培で最も重要な地だったのが甲州です。始まりは1525年、武田信虎が派遣した僧が明国から甘草を持ち帰り、信虎に献上した種株を植えた、という記録が残されています。過去の記述を頼りに、1720年、採薬使である丹羽正伯が塩山塩山上於曽の高野家の屋敷内の茶畑に生えていた10本の甘草を発見します。見分の結果、高野家は幕府御用として甘草の栽培と管理を命ぜられました。年貢諸役を免除されるかわりに、収穫した甘草は幕府への上納と、小石川御薬園に栽培株の供給を行うことになりました。もともとこの地で有力な農家であった高野家は「甘草屋敷」と呼ばれるようになりました。

実はその甘草屋敷には『消えた甘草の謎』が残されています。1723年(享保8年)10月駒場御薬園の園監だった採薬師、植村政勝(通称:左平次、吉宗お気に入りの御庭番で正真正銘の隠密)が、高野家に立ち寄った際、栽培されていた甘草を全て掘り起こして持ち帰ってしまったというのです。そのとき高野家に残された甘草はたった3本!なぜ幕府から栽培と管理を拝命していた高野家の甘草が持ち去られたのか?

以下いろいろな資料から推理すると、高野さん宅で栽培する甘草は 小石川御薬園用の苗と幕府御用達用の薬種として納める契約だった。ところが隠密植村佐平次は、高野さんにおことわりもなく掘り起こした甘草を自分が管理する駒場の御薬園や私製の下総小金野薬園に植えてしまった。ということの様です。だとすれば公務員の業務上横領ですか?いやいや、そこは吉宗お気に入りだった佐平次、事件は隠蔽されたようです。いつの世も同じです。

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さて漢方薬として二千年以上も八面六臂の活躍をしてきた甘草、現在、生薬としてだけでなく、日常生活に広く使われています。

薬としては甘草の有効成分グリチルリチンから作った製剤が肝機能異常から皮膚炎、関節炎、気管支炎、胃潰瘍など炎症全般の治療薬や、口内炎の薬、目薬などの薬剤に含まれています。

またドラッグストアの棚の市販薬、石鹸、歯磨き粉、シャンプー、育毛剤クレアラシルといった医薬部外品の薬用スキンケア製品や一般化粧品にもの配合され、現在最も汎用されている成分といえます。

さらに近年では、グリチルリチン以外の有効成分、フラボノイドはメラニン生成を抑え、肌荒れ予防効果が、グラブリジンという成分は消炎作用や美白作用がある、と化粧品業界でも注目の成分となっています。

さらにさらに食品にも「グリチルリチン」「リコリス抽出物」または「甘草抽出物」の表示で、醤油、味噌、練り製品、つくだ煮、漬物、ドレッシング、ソース、からスィーツやソフトドリンクといったどこの家の冷蔵庫にもありそうな食材に甘味料として使われています。きっとこの甘さ、とても身近にあって気付かないうちに誰もが日常的に口にしているはずです。

ただし甘草抽出物(高濃度のサプリメント)や甘草の長期にわたる大量摂取は高血圧や浮腫み、筋肉障害といった副作用の危険があります。特に妊娠中、授乳中、高血圧、心臓など循環器系の病気、肝臓病、腎臓病、甲状腺の病気がある方は服用に注意が必要です。

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このように平成の日本で大量使われる甘草のほぼすべてが輸入品です。ほとんどが中国の砂漠地帯に自生する甘草で、乱獲による絶滅、砂漠化による黄砂が問題になってきたうえ、中国国内需要も増加してきているので輸出制限をする傾向がでてきました。そこで現在再び甘草の国産化が急務となってきました。

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21世紀に入ると国内での甘草栽培試験が各地で始まり、ここ数年製薬会社だけでなく、様々な企業がぞくぞくと甘草栽培に参入しています。例えばゼネコンの鹿島建設や三菱樹脂、佐賀県玄海町と九州大学の共同開発、また青森県、宮城県、新潟県、島根県、熊本県などでも特殊な栽培法が開発されています。宮城県岩沼市はNPOが中心となって津波被災地での甘草栽培に取り組んでいます。つい最近では製紙業で有名な王子ホールディングスも北海道で甘草栽培に乗り出しています。

そして元祖甘草栽培の地である甲州市でもその気運が高まってきました。旧高野家では例の佐平次持ち去り事件によってたった3本になってしまった苗を、享保13年(1729年)まで77本まで増やし、明治5年まで「甘草持主」として栽培を続けたそうです。しかしその後甘草栽培は途絶え、昭和初年の調査ではたった数本の株がぶどう畑で、平成2年の調査ではキウイ棚の下に数本生えていただけだといいます。

平成23年、ようやく甲州市はこの歴史的な意義をもつ甘草屋敷を中心に、甘草栽培で市を盛り上げようと動きだし、新日本製薬と共同で栽培研究に乗り出したそうです。

こうして各地で順調に栽培が成功していけば、数年後には国内産甘草で国内需要の全量を賄ったうえに、中国への輸出もできる日がくるかもしれません。

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余談ですが旧高野家(山梨県甲府市、JR塩山駅正面)はもともと有力な農家で、そのお屋敷は甲州民家特有の見事な日本建築です。江戸時代後期に建てられた主屋のほか付属建物や井戸や池、石橋から門にいたるまですべてが、1953年に国の重要文化財に指定されています。三階建ての上層階は甘草の乾燥部屋に使われ、採光と通風の為の突き上げ屋根は、この地方で盛んだった養蚕に合わせた建築形式だそうです。

今年もこの甘草屋敷を中心に「甲州市えんざん桃源郷 ひな飾りと桃の花まつり」が開催されています。(2017年は2月11日~4月18日開催中)の貴重な雛飾りや、桃のお花見が楽しめるそうです。

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そろそろ陽気も良くなってきます。ちょっと塩山まで桃を見に行くのも良し、また小石川植物園に植わった30種類以上の桜を愛でるも良し、甘草栽培に思いを馳せながらお花見、というのもいかがでしょう。小石川植物園近くの播磨坂の桜並木も見事です。

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日本には「甘草の丸呑み」という慣用句があります。甘草の根だってよく噛みしめてみなくては甘さがわからないところから、物事の本当の意味をわかろうとしないという意味だそうです。あまり使われていないこの慣用句、もしよかったら覚えておいてください。

 

 

 

ファラオも英雄も好む甘い汁

                                            冬将軍が活躍中のこの時期、ついついこってりした食事が多くなったり運動不足になったりして、胃がもたれ気味ではありませんか? しかも受験生のいらっしゃるご家庭ではストレスが胃にくる時期かもしれませんね。今日は神経の緊張を解き、胃痛を和らげ胃粘膜を護る働きがあるハーブのブレンドTingleを差し上げましょう。お茶を待つ間Tingleに入っているリコリスのお話でもいたしましょう。 

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リコリス(Glycoriza glabraは南アジア原産といわれ、地中海沿岸や中央アジア、北アフリカなどに広く自生するマメ科の多年草です。葉は萩に似ており淡い小さな紫色の花を咲かせます。

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リコリスの綴りはliquoriceまたは licoriceで、どちらもまちがいではありません。学名はGlycoriza glabra日本では「スペイン甘草」と呼ばれます。漢方薬など東アジア圏で利用される“甘草” は学名がGlycoriza uralensis、日本名「ウラル甘草」の近似種です。日本薬局方ではこの両種を一括りにして「甘草」と認めていますが、今回はリコリス(スペイン甘草)のほうにスポットを当てます。

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リコリスは根とストロンと呼ばれる根と平行に伸びる茎の部分に甘い有効成分グリチルリチンを多く含みます。 

薬としての歴史は古く、古代エジプトのツタンカーメンをはじめ多くのファラオの墓から、金銀財宝と共に大量のリコリスの根の束が発見されています。当時は根を絞った汁を「喉の渇きを癒す薬」としていたようですが、砂糖の約100倍とも言われるリコリスの汁、甘いものが貴重だった時代、薬といいつつリコリスを口にできるのは高貴な方たちだけの特権だったのでしょう。おまけに強精作用があると信じられていた故の人気、という説もありますが...個人的にはこの説、実は甘党のファラオが子孫繁栄を大義名分にしていたのでないでしょうか。狂言『附子』の主人よろしく、壺に入ったリコリスの汁を独り占めしようとするファラオの姿、想像してしまいました。

一方、古代バビロニアでも紀元前2世紀に制定されたハンムラビ法典に、「リコリスの根は喉を癒す薬」として挙げられています。因みに、この法典には薬の種類だけでなく、医師・手術師・獣医などの明確な類別、治療費は身分、貧富に準ず、と支払の方法も法で定めてありました。紀元前から医療制度が法で支えられていたとは!21世紀の先進諸国でも難しい課題...バビロニアの文明の高さに驚かされます。

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リコリスの学名Glycyrrhizaとは、「甘い根」を意味するギリシャ語に由来。古代ギリシャのヒポクラテスやディオスコリデスの著書には喘息など呼吸器の病気に用いたことが記録されています。古代ローマ時代には消化器の治療薬として高く評価され、その後は利尿剤、降圧剤としても効果も着目されるようになっていきました.

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アーユルベーダ(インド古代医)ではヤシュティマドゥ(サンスクリット語)と呼ばれますが、「ヤシュタィ」が棒、「マドゥ」がハチミツの意味で、ハチミツの根、つまり甘い根ということですね。根の成分をゴマ油に浸透させたマッサージオイルは保湿作用が高いため美容に最適、傷や赤ちゃんのオムツかぶれ、口内炎の治りを早めます。呼吸器疾患には鼻の穴にオイルを2滴ずつ垂らしたり、婦人科疾患には膣湿布という方法があるそうです。

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時代は下り『ナポレオン』の肖像画の多くは、右手をチョッキに差し込んでいるものが多いが、それはナポレオンが胃痛に悩まされていたからだ。 ナポレオンは神経質でストレス過多体質だった為に、しばしば胃潰瘍を起こしていたのだナポレオン・ボナパルトは右手を上着に入れてポーズをとる肖像画が多くて有名です。諸説ありますが慢性的に胃痛に悩まされいて右手でお腹をさする癖があったから、という説があります。たしかに家系的に胃が弱く神経質でストレス過多だったナポレオンには胃下垂の病歴もありました。 

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この胃痛に悩むナポレオンがリコリスの根を常習的に噛んでいたというエピソードが残っています。リコリスの根を噛むたび滲み出す甘い液体は、ナポレオンのささくれた気持ちを癒し、胃の腑を和らげたことでしょう。

ナポレオンが築いたフランス帝国も、彼が体調悪化で静養中に敵軍に攻め込まれ崩壊、その後本人は幽閉先のセントヘレナ島で死去(享年51歳)します。その死因は胃癌による病死か?毒殺か?

解剖記録を分析した結果、胃にできた腫瘍の場所や形状から、ピロリ菌が原因となった胃癌による病死、という可能性は高いようです。戦場では塩漬けの保存食が多かったのも良くなかったのでしょう。

敵も多かったナポレオン、刺客による毒殺説も外せません。死後100年を経て公表されたナポレオンの看護師の日記によって、どうもワインに仕込まれたヒ素で、じわじわと中毒死させられたという説も信憑性があります。

また中毒死を疑うなら、犯人いない説もあり得ます。19世紀当時のヨーロッパでは痛み止めから塗料、ワイン樽の洗浄液にヒ素が使われていましたし、水道管や食器に鉛が含まれ、様々な薬剤に水銀が使われていたという時代です。様々な重金属が体に蓄積して死んだ可能性もありそうです。

こうして現在もナポレオンの死因は闇の中。それでも英雄にはドラマチックな「毒による暗殺」が一番似合うのですが…

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19世紀の一連のナポレオン戦争によって200万以上の命が失なわれ、その後のフランスの生産人口の激減や国力低下を招いた事は明白です。それでもナポレオンはフランスの英雄、フランス人にとっては国の誇りであり国の宝として尊敬されています。

その証拠に、フランス人が21世紀の現在もナポレオンを敬愛する心がわかる嘘のような本当の話。それは、豚にナポレオンという名前をつけたり呼んだりしてはならぬという法律があるそうです。もしこの法を犯せば「不敬罪」に当り即、有罪!!  ちなみに、1996年にアメリカでマンチカンとペルシャを交配してナポレオンという種類の猫が誕生したのですが、2015年5月1日より種名が「ミヌエット」に変更となりました。理由はやはりフランスからクレームが入ったからだそうで...ナポレオン、猫でもダメですか

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 さらに時代は下り第2次大戦中のお話。リコリス・ガムの愛用者が多かったオランダでは、ドイツの占領によってリコリスの輸入が難しくなったことが原因で、胃潰瘍患者が急増したといわれています。胃潰瘍に対する薬効については1946年、オランダの研究チームの臨床報告以降、世界中で注目されました。ガムに混ぜても効果があるとは、侮れません。  

現在もリコリスやその成分グリチルリチンは気管を拡張する働きや歯茎を健康に保つ働きから、喘息の薬やのど飴、歯磨き粉に使われています。また自然由来の食品添加物としても使われていますが、欧米ではリコリスといえばリコリス菓子のことを指すほど一般的です。リコリスのお菓子、嗜好品にまつわるお話は次回いたしましょう。

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 さてさて、「リコリス」という名前はギリシャ神話に登場する海の女神リュコリスにちなむとか。ここで気を付けなければいけない注意事項が1つ。

園芸種にもリコリスLycorisと呼ばれる種類がありますが、こちらはユリ科ヒガンバナ(マンジュシャゲ)の仲間を指します。全草に毒がありますのでリコリスの名前で混同しないようにご注意下さい。

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日本発のヨーロッパの風景

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10月も終わり、そろそろ夕焼けが名残惜しい季節になってきました。秋口は冬に向けて冷えにくい体を準備する時期です。今日は体を温めるWarmを入れましょう。お茶が抽出されるまでWarmに入っている血行促進ハーブ、ギンコのお話でもいたしましょう。

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欧米での銀杏のことをginkgoとかいてギンコと呼びます。現在の日本では銀杏と書いて葉や樹のことはイチョウ、実のことをギンナンと読み分けていますが1666年に出版された『訓蒙図彙』には葉も樹も実も指して音読みで「ギンキョウ」と書かれていましたイチョウの語源は貝原益軒の一葉(いちよう)説よりも、葉が鴨の足に似ていることから中国で鴨脚(宋音でイーチャオ)と呼ばれており、中国で学んだ渡来僧が「イチョウ」と言い伝えたという説のほうが有力です。また、祖父(公)が種を蒔くと孫の代に実が食べられることから公孫樹と書いてもイチョウと読みます。白い種子は銀(ぎん)色で形が杏(あんず)の果実に似ているので銀杏(ぎんあん)転じてギンナンとなりました。

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まず銀杏は葉が広いのに針葉樹の仲間、しかも精子による生殖を行う裸子植物、という稀有な生態を持っているのですが、そのあたりはまたいつかお話しましょう。そんな銀杏のことを「生きた化石」と初めて表現したのは進化論で有名なイギリスのダーウィンでした。

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さて、銀杏の壮大な歴史をぎゅっと纏めると、今から約2億年以上前に出現した銀杏は、ジュラ紀には恐竜と共に繁栄し北半球の全域に大規模な森林を作るほどでしたが、約6000年前に恐竜をはじめ多くの動植物と共に地球上から姿を消しました。銀杏を食し糞で種を運んでいた草食恐竜の絶滅と、銀杏の生殖を阻む気候変動があったと考えられています。

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絶滅したと思われたていた銀杏でしたが、現存の一種Gingko bilobaだけが東アジアの一部の地域で太古の姿のまま生息していたのです。復活のきっかけは10-11世紀以降で、中国南部の浙江省天目山の山奥で発見された銀杏が保護され、市街地に植栽されたのがはじまりといわれています。しかしその地は定かでありません。

日本には鎌倉時代(1200~1300年頃)に食用果実して留学僧が持ち帰ったり豪族による貿易品の1つとして輸入されたと考えられています。そのうち種から木として育つものが出てくると、人々は人類誕生のはるか以前から生き続けてきた大木に霊的な力を感じたり神々しさを感じて、神聖な場所に植えたのでしょう。          当時、全国に次々と造営されていたいった「八幡様」をはじめ、多くの神社仏閣の境内には銀杏がシンボリックな存在として植えられていきました。今日に残る最大樹齢700~800年といわれるような古木はこの時期に起源を持つものです。

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因みに2010年3月10日、雪まじりの強風により根元から倒れてしまった鎌倉の鶴岡八幡宮の大銀杏は「樹齢千年」とも言われ「隠れ銀杏伝説」(1219年将軍実朝はこの銀杏の大木に隠れていた甥である阿闍梨公暁によって暗殺されたという伝説)が残されています。しかし鎌倉時代の史実を詳しく記した「吾妻鑑」の中で、公暁が隠れて様子を窺って居たのは「石階」と書かれているだけで 銀杏の樹という記載はまったくありません。当時から生えていたとしても樹齢千年というのはちょっと盛りすぎと考えたほうがよさそうです。しかし倒伏から1ヶ月後には大銀杏があった元の場所から孫生え(ひこばえ:樹木の切り株や根元から生えてくる若芽)が芽吹いたというのですから、さすがそのパワーに神秘性を感じさせます。

銀杏の枝や幹はコルク層が厚く多量の水分を含みます。また葉の七割は水分、火に強く熱を加えると水蒸気が発生する性質があるので大切な建造物をや周囲を火災から守る力は根拠のあるものです。実際に京都本願寺の銀杏は1788年や1864年の大火でお寺と多くの人を救った「水吹き銀杏」として有名ですし、江戸では火除け地に必ず銀杏が植えられていました。さらに20世紀の関東大震災や空襲の時も町や人々を守った多くの銀杏の巨木は、「火伏のご神木」として身近な信仰の対象にもなり、その雄姿は今も各地で見ることができます。

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同じ品種のなかでも葉の切れ込み方は千差万別ですし、葉に斑の入っているものを「斑入りイチョウ」、葉がロウト状に癒合したラッパ状の葉を付けるラッパ銀杏、葉に実がつくお葉付き銀杏といった様子の違う銀杏があります。また枝から円錐形の突起(気根)が垂れ下がる乳銀杏は鬼子母神の境内にもあり、安産・子育ての信仰対象とされています。

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さて時は17世紀末。シーボルトに先立って江戸時代前期に長崎の出島に赴任していた東インド会社のドイツ人医師ケンペルは、神社や寺の境内に繁茂する巨木に魅了され、1692年にドイツに帰国する時に銀杏の樹を持ち帰り植樹します。ケンペルは彼の著書『廻国奇観』の中の日本植物誌で「ギンキョウ」を「ginkgo」と綴り、このまま学名になりました。この綴りはケンペルが書き間違えたのか?誤植か?などと論争が続いていましたが、ケンペルの出身地ドイツ北部の方言では、ヤ行の発音を「g」で書き表すことから「ギンキョー」を故郷の綴りで「ginkgo」と書いたらしい、と、21世紀になってから、ようやく決着がついたそうな。

こうしてケンペルの銀杏は「東洋の美しい樹」としてオランダやイギリスの植物園で繁殖され、たった数十年でヨーロッパ全体に広まります。

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ドイツでは「宇宙の木」(由来は不明)「扇葉の木」(見たまま)のほか「ゲーテの木」と呼ばれたそうです。これは法律家であり文豪であり自然科学者であり政治家だったゲーテが、65歳にして31歳も年下のマリアンネに二枚の銀杏の葉を添えて贈った『銀杏の葉』という有名な恋愛詩(西東詩集(1819)に収録)に由来します。ゲーテはもともと女性に対する探求心が旺盛で多くの恋の名言格言を残していますが、この年に国務大臣にまで昇り詰めたというのですから、ただのお盛ん爺ではなかったようです。余談ですがその後の齢73歳にして恋に落ちた17歳の少女ウルリーケにフラれて「マリーエンバートの悲歌」なる長詩を完成。

フランスでは「40エキュの木」と呼ばれたそうで、これは1780年、ロンドンの園芸業者を酔わせて銀杏の苗木を破格の値段、当時の40エキュ(当時の金貨)で買取りフランスへ運んだことに由来。

このほか英語圏ではMaiden hair treeと呼ばれるそうで「乙女の髪」と美化した解説もありますが、実は葉の形と細かな葉脈から女性の太ももの合わせ目に見立てたというのが本当の意味だとか。(Oh♡H‼)

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その後もヨーロッパから全世界へと進出していき、温帯地域各地に根付きました。黄葉時の美しさと繁殖力、害虫や剪定に強いという丈夫さから街路樹として好まれ街並にとけこみました。つまり銀杏は園芸種ではないものの、全て人為的に栽培され植樹されたものなのです。今では春は翡翠色、秋は黄金色に街を彩る銀杏。黄葉葉の代表ともいえますが、黄葉と紅葉のメカニズムの違いについてはまたの機会に。

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『ギンコ』といえば、今や「脳のサプリメント」として世界中で有名になっています。始めて銀杏の強い生命力に着目これに注目したのは西ドイツの生薬メーカーでした。特珠な抽出技術でフラボノイドの引き出しに成功し、脳血管障害や動脈硬化症に対して使われてきました。その後ギンコライドがアレルギーや免疫疾患に対する有用性が発見されたり、ヨーロッパ中の学者から次々と論文が発表されています。今やフランス、ドイツ、スイスなどでは活性酸素除去作用からアルツハイマー型認知症にイチョウ葉エキス製剤が用いられていますが、日本ではまだ医薬品として認可されていません。

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それにしても、絶滅を逃れ中国の山中に自生していたという銀杏が、中国最古の本草書『神農本草経』に記載されていないとはちょっと不思議です。初めての記述が見られるのは、1159年 に李時珍の著した『紹興本草』。しかも実の効能(滋養強壮、せき止め、ぜんそくの改善、夜尿症の治療など)についてのみ言及されており、葉の利用については記載がありません。地上に存在するものは何でも薬としてきた中国人が12世紀になるまで使わなかったのか、それほど珍しい植物だったのでしょうか。謎が解ける日が来るのを楽しみにしています。

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コートを出したらポットにハーブテ ィーを入れて銀杏を訪ねに出掛けてみませんか?身近な住宅街に立つ孤高のご神木の由来を知るのも良し、またフランス映画のワンシーンを思わせる銀杏並木を歩くのも良し。ただし、ひとたび実を踏んでしまったらあの臭いを放つ靴で電車もバスも、もちろんご自分の車にも乗れません。ふみ潰したりなさいませぬよう、十分お足元には気をつけて…

 

 

キンボポゴンが救うマンボクサイ村

レモングラス

秋の足音が聞こえてきた今日この頃、夏の疲れが胃腸に出てきたりしていませんか。今日はレモンの香りがさわやかなシトラシーを淹れましょう。リフレッシュ効果ややる気を起こさせてくれるこのお茶にはレモングラスやジンャーも含まれていて、胃腸の働きを整えてくれる効果もあるので夏バテ気味のおなかに最適です。ではお茶を待つ間、この熱帯の草レモングラスにまつわるお話にお付き合いください。

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 レモングラス(Cymbopogon citratus)はイネ科の多年草で、高さ1mほどの大きな株に成長します。属名キンボポゴンは ギリシャ語のcymble(舟)とpogon(髭)の合成で、髭の生えている舟のような花苞の形に由来します。

最近日本でもトムヤムクンやグリーカレ ーといったタイ料理ですっかりお馴染みのハーブになりましたが、アジア、アフリカ、インドの熱帯地域や中米の島々などにも自生しているので様々なエスニック料理に必ず使われているハーブです。「レモングラスの香りで熱帯の旅を思い出す」という方も多い所以です。稲に似た硬い葉は食べられませんが、細ネギのような茎部はシャキシャキした食感も良く、薬味として食べることができます。20世紀の初めまでは一括りでレモングラスと呼ばれていましたが現在では香りの強いインド、スリランカ、東南アジア産の東インド系(C. flexuosus) と、食用向きの西インド系(C. citratus)と区別されています。

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 アジア諸国で古くから薬として利用されてきました。インドでは『 チューマナ・プールー(赤い茎の草) 』 という名前で知られ、古代医療アーユルヴェーダでは伝染病・熱病・発熱・吐き気などの治療薬、母乳の出をよくする作用で数千年前から利用されてきました。漢方では頭痛や胃腸の不調、自律神経のバランスを整える働きの生薬として使われてきました。さらに最近の学会発表によると、主要成分であるシトラールに血圧降下作用や血小板凝集抑作用のあることが明らかにされました。

 またカンボジアには、レモングラスを中心としたハーブとスパイスが使った「チュポン」というハーブサウナがあります。韓国のよもぎ蒸しに似ていますが、もともとクメール医療(インドのアユールヴェーダと中国の漢方が融合された伝統医療)において産後女性のに施された療法の1つです。女性機能の回復だけでなく新陳代謝を高めて疲労回復や心身強壮まで様々な効果が期待できますので、ご縁があれば是非。

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 精油もインドから中国まで広い地域で薬として用いられてきました。優れた殺菌作用から水虫やニキビなどにも使われますが、刺激が強いので直接肌につける時は低い濃度から試すことをお勧めします。

 アロマセラピー効果としてはリフレッシュ、集中力アップ、タバコ臭やペット臭の消臭に効果的です。現在レモングラスの精油は食品から生活用品、香水や化粧品まで、香料業界では最も多く使われている精油の一つです。レモンの香はもちろん、面白いことにスミレの香りの合成に不可欠な精油だそうです。別名インドバーベナとかインドメリッサともよばれるため、稀少で高価なレモンバ―ベナ(Lippia citriodora)やレモンバーム(Melissa off.) の精油と混同しないよう注意が必要です。

 さて「レモングラスで蚊避け」という説、実は期待できません。蚊が最も嫌う成分、シトロネラールを多く含む精油は レモンユーカリ(Eucalyptus citriodora)やコウスイガヤ=別名シトロネラ(Cymbopogon nardus)ですレモングラスの主成分はシトラールで、シトロネラールは少量しか含まれていませんので悪しからず。

 

 

 

 

 

もう一つ。レモングラスが植えてあると猫除けになるという巷の噂、これも期待できません。それどころか猫も犬もレモングラスの葉を好んで食べます。ペットを飼っている方はお気づきと思いますが、犬や猫は本能的知恵で消化できない異物を吐き出したり胃もたれ解消の為に草を食べたります。彼らにとっては市販の猫草(オーツ)だけでなく、身近にある葉先が尖っているイネ科の植物ならレモングラス、ササ、エノコログサでも好んで口にしますので悪しからず。ただし精油は危険ですのでペットが口にしたり体につけたりすることがないようにお気を付けください。

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 レモングラスを日本の温帯地域で栽培する場合、9月中に葉を刈り込んでしまって根元を箱や鉢でカバーし越冬させるのがお勧めだそうです。刈り取った葉はお茶にして飲むもよし、籠を編むもよし、短く束ねて棒状に編んで犬や猫の歯みがき用おもちゃになるカジカジ棒やウサギさんに好評のおやつ棒を作るもよし、太目に編んでクリスマスのリースやお正月のしめ縄をつくるもよし、手仕事好きな方、いかがでしょうか?

 熱帯地域ではレモングラスは雑草のごとくどこでも育つ植物ですが、つい先日レモングラス栽培に関わる小さな記事に目が止まりました。フィリピンの砂糖壺といわれる西ネグロス州の中にありながらサトウキビ栽培に適さない為、長年貧困に悩まされてきたマンボクサイ村という村があります。そこで日本政府が「草の根・人間の安全保障無償資金協力」として栽培作物を丈夫で需要も見込めるレモングラスに転換させ、精油の蒸留施設や運搬車両を援助し、いよいよ2016年8月に村民による運営が始まったというニュースでした。レモングラスを使った取り組みが成功するよう心から応援したくなりました。

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 さて属名キンボポゴンとはオガルカヤ(雄刈茅)属を意味し、この刈茅とは屋根を葺く大型のイネ科植物の総称です。実際ベトナム北部では豊富に生えているレモングラスで屋根を葺いている村があるそうです。日本と同様に葺き替えは村人総出の共同作業、お礼はささやかながらもご馳走で宴が張られると聞き、農耕民族として親近感が湧きました。

 屋根といえば所変わってアメリカはフロリダ、ディズニー・ワールドの一画にある商業地区(ディズニースプリングス)に2014年、緑の屋根が素敵なスターバックスが完成しました。この建物は米国グリーンビルディング協会が優れたエコシステムとして認定しており、屋根にレモングラスが植えられているのだそうです。店内のコーヒーの出し殻が肥料して使われ、緑の屋根は雨を吸収して湖水域の水害を減らす助けとなり、ヒートアイランド現象や温室効果ガスを軽減し酸素も提供するという良いこと尽くめ。今や屋根のレモングラスに鳥やトンボ、蝶が生息しているのだとか。さすが刈茅の仲間、レモングラスは現代版茅葺屋根として活躍しているのです。

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 最後はちょっとお酒のお話。このあたりが原産地と思われているカンボジアでは、昔からレモングラスの葉を入れた素焼きの鉢に、砂糖ヤシの樹液を発酵させたお酒を入れ、爽やかな香りを移して飲む習慣があるそうです。今では世界中のバーでラムやジンのレモングラス・ティー割りが供されています。もちろん焼酎や泡盛もありですが、特にハーブを使ったジンとは相性が良いようです。冷えたグラスにレモングラスをマドラー代わりに挿したギムレットなど手にすれば、気分は一気に熱帯のリゾートホテル!

ビール好きにはその名もずばり「レモングラス・ルアウ」なんてレモングラスを使ったハワイのコナビールはいかがでしょ。

まだまだ行く夏が名残惜しい気分の夜は、こんなお酒で一杯というのもまた一興。

 

 

糸紡ぎと運命の毒草

ベラドンナ

今年はなかなかすっきりと梅雨明けしないまま寒暖の激しい気候が続いています。今日はスッキリ清涼感のあるクリスピーをしっかりと抽出してから氷に注ぎ、冷たいミントティーをご用意致しましょう。もし消化機能が落ちているようでしたら温かいままお出しいたします。お茶を待つ間、もちろんhortulusの棚には並べておりませんが、運命の毒草ベラドンナにまつわるお話にでもお付き合いください。

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ベラドンナAtolopa Belladonnaはヨーロッパから西アジアを原産とするナス科の植物です。夏になると日陰でひっそりと釣鐘状の暗い赤紫色の花を咲かせ、その後に実る小さな果実はつやつやと輝き、美しい紫色に色づきます。地味な見かけの割に猛毒で、葉を触るだけでもかぶれたり、口にすると顔面蒼白、嘔吐や散瞳、異常興奮を起こし死に至ることもあります。「Deadly night shade=命取りの夜の影」の異名のごとく、薬物史上有数の毒草として数々の毒殺事件にも使われたようです。

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中世の頃は「悪魔の草、魔女の草」と呼ばれ、彼らが魔術や幻覚を起こしたり、空を飛ぶためにアコナイトと混ぜて体に塗ったのだとか。彼らは悪事の傍ら毎日欠かさずこの草の手入れをしていますが「ワルプルギスの夜」(ブロッケン山に集まって魔王と宴を張る五月祭り)の前夜だけは宴の準備で忙しいので草から離れます。その隙にベラドンナを奪い取ることができれば薬として正しく使うことができる、という言い伝えがあります。ちなみにこのブロッケン山、「ブロッケン現象」が起きることで有名なドイツ中部の高山です。

学名のアトロパAtolopaとは…ギリシャ神話に登場する人間の運命を操る『運命の三女神』の一人の名前です。三人纏めてモイラとかフェイトなどというトリオ名がついていますが、この三人は生後三日目の赤子の枕元にやって来て、まずクロトが体の中から運命となる糸を紡ぎ出し、ラケシスが命の長さを定めて糸の長さを測り、アトロポスは鋏でその決められた長さで糸を断ち切るのです。つまりこの植物は運命の糸を断ち切って死をもたらす程の毒をもつことからアトロポスに由来してアトロパに。

今でも古代ローマ文化が残るルーマニアには、赤ちゃん誕生3日目の夜は戸の鍵を開け、犬は繋ぎ、ローソクを灯したテーブルに3人分のケーキや小麦粉や塩、麻や絹のハンカチ、コインなどを用意しておく風習が残っている地域があるそうです。

この『三女神』も多くの絵画や彫刻のモチーフとなり、其々の名前がつけられた惑星もあります。また「Cloth布・織物」「clothes衣服」の語源になっている「クロト」は、1997年に発見された寿命の長さを決める長寿遺伝子の1つに「クロトー遺伝子」と命名されています。発見者の黒尾誠教授と鍋島陽一教授、ナイスネーミングです!

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糸紡ぎ、運命の決定、3人の女…ここで勘のよい方はお気付きですね。そう、この神話は『眠れる森の美女』の下地になっています。しかしディズニ―映画に見るハッピーエンドのメルヘンまではには長い変遷があります。元ネタは14世紀にフランス古語でかかれた古譚「ペルセフォレ」、そこから17世紀前半ナポリ方言で書かれた「太陽と月とターリア」(バジーレ著、民話「ペンタメロン」採録)、そして17世紀末のペロー寓話「眠れる森の美女」と伝承され、各地に似たお話が広まっていますが、その実、内容はレイプだ、不倫だ、人喰いだ、とかなりadultエンターテイメント系昔話だった訳です。

中世ヨーロッパの農村部では、冬の間“糸つむぎ部屋”に若い娘たちが毎夜集まっては共同で亜麻から糸を紡ぐ作業を行うのが恒例となっていました。女子が集まる所に群がる男子、次第に地域の男女の夜の集いは “糸つむぎ部屋の乱痴気騒ぎ”と称される程に浸透していたようです。ギリシャ神話の時代から糸つむぎは女性の仕事、紡錘で指を刺されることが破瓜を意味しているのだとか。しかしキリスト教的にはこの不埒な風紀の温床を見過ごすことはできん、と度々規制をしてきたのですが、産業革命で糸紡ぎの手仕事が廃れるまでヨーロッパ各地でこの習俗は途絶えることはありませんでした。グリム兄弟の『いばら姫』では、姫を案じる国王が国中の糸つむぎ道具を廃棄するように命令していますが、これは当時の行政による「糸紡ぎ部屋の禁止令」の暗示だったのです。あたりご興味のある方、ただし大人限定、『ねむり姫の謎 糸つむぎ部屋の性愛史』(浜本隆志著、1999 講談社現代新書)などめくってみてはいかがでしょうか。このあたりのことを踏まえて映画「マレフィセント」(2014 米)のDVDを鑑賞するのもまた一興かもしれません。

 

このお話、19世紀になってようやくドイツのグリム兄弟が『子供たちと家庭の童話』の1つとして、⑱禁の不適切な部分を削除して夢のあるお伽噺に仕立てあげました、めでたしめでたし… 余談ですが“運命の糸”といえば、西洋だけでなく東洋にも結婚式で花嫁と花婿を赤い布や紐で結ぶ風習があったり、中国の縁結びの神様「月下老人」が赤ちゃん同士の足を赤い糸で結んだという伝説から、日本でも「運命の人とは小指同士が赤い糸で」とよく言われます。全ての運命は糸に通ず、ということでしょう。

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ベラドンナBella donnaとは「美しき貴婦人」という意味で、その所以はルネサンス期に遡ります。この植物は「汁を目に点すだけで、あなたも大きく潤んだ瞳に♡」といういとも危険な化粧法、今でいえばプチ整形が流行りました。べラドンナに含まれるアルカロイド(少量で激しい作用をもたらす物質)のひとつ、アトロピンの作用で瞳孔を開きっぱなしになり目が大きく見えるのです。当時の女子が舞踏会に出る時、写真撮影の時に欠かせないアイテムとして飛びついた様子は想像に難くありません。もちろん失明の危険もあり、過剰な使用は生命の危険さえありました。今ドキの女子はカラーコンタクトやスマホアプリで簡単にデカ目加工、良い時代になりました。

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ベラドンナには近似種があと2つあります。1つは漢方で使われていた莨菪(ロウトウ)Hyoscyamus niger L 別名ヒヨス、もう一つは日本の走野老(ハシリドコロ)Scopolia japonica。これは根茎がトコロ(野老)という山芋に似ていて、柔らかな葉は馬が食んだり山菜と間違えて食したりしてしまうとすると気が狂ったように走り回るためです。今でも本州から九州まで広い範囲で開けた林にはさりげなく群生していてますが…誰か思い浮かぶ顔があったとしても決して悪用なさらぬように…。

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この3種、植物分類上は全く種が異なりますが、生薬的には同一のアルカロイド(アトロピン、ヒヨスチン、スコポラミンなど)の作用から同じ仲間として扱われています。近代薬学では各成分が安全に抽出され、アトロピンのデカ目効果そのまま目の検査や治療に使う点眼薬や、抗コリン剤としてパーキンソン病の薬や市販の感冒薬、鼻炎薬、胃腸薬、酔い止めに使われています。ちなみにロート製薬のロートとは、同社の前身「信天堂山田安民薬房」が明治末期に当時の眼科医界の権威、井上豊太郎博士が恩師のロートムンド博士の処方箋を参考に処方した目薬を、「井上博士のロート目薬」というコピーで売り出したのであって、ロートエキスとは無関係です。

また、アトロピンは農薬や殺鼠剤に使われる有機リン剤や神経ガスなどの中毒の解毒剤として有効で、地下鉄サリン事件の際も硫酸アトロピンの注射が多くの人の命を救いました。米軍では神経ガス兵器に曝露した時はアトロピンを打つ事がマニュアル化しているそうです。さらに最近、有害物質のポリ塩化ビフェニール(PCB)を吸収し解毒する効能があることが発見され、ベラドンナ使ってPCBで汚染された土壌の浄化に使う研究がされているそうです。

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江戸末期、ハシリドコロに関わったために運命を狂わせた人がいました。徳川将軍の奥医師だった土生玄碩(はぶげんせき)は広島出身、豪放磊落と遊蕩で有名だった反面、当時の医学界では最高権威を認められていた眼科医でした。土生は江戸に滞在中のシーボルトがベラドンナの液剤で瞳孔を広げて豚の目を使って白内障の手術を行うのを見学して驚き、シーボルトに教えを乞いベラドンナの液を譲ってもらいます。しかし2度目は自身の手持ちも少なくなったのか断わられてしまいます。しかし、どうしてもベラドンナを入手したかった土生は、その場で着ていた将軍家拝領の葵の紋服を脱ぎ「どうかこれで…」と懇願します。シーボルトは紋服を受取ると「実は日本にもベラドンナ、あるよ」と日本固有種であるハシリドコロを教えたのでした。実は、尾張の本草学者、水谷豊文は自身が写生したハシリドコロを見せ、この蘭名を教えて欲しいと頼んだ時に、シーボルトはそれをベラドンナと誤認識して教えていたのです。以来、土生玄碩は美濃国根尾山産のハシリドコロを取り寄せて数々の白内障の手術を成功させたのでした。ところが1828年、シーボルト事件で「葵の紋服」が明るみに出てしまい、拝領品を人手に渡した土生は閉門謹慎、座敷牢に入れられ財産没収となりました。晩年は蟄居ながらも医療行為が黙認されていたともいないとも…波乱の運命ながら「我が生涯に悔いし」という述懐の言葉を残して1848年8月17日に87 歳で永眠、現在は築地本願寺境内の親鸞上人の銅像の横に埋葬されています。

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片や国外追放になったシーボルトは再来日し、19世紀の日本の自然や生活文化に関わる膨大な資料を収集して、今度は堂々とヨーロッパに持ち帰ります。当時未知の国だった日本を紹介すべく各都市で「日本博物館」を実現し、その後のヨーロッパにおけるジャポニズムの流行の先駆者となったのでした。この夏休みから、シーボルト没後150年記念として「よみがえれ! シーボルトの日本博物館」の全国巡回展が始まっています。

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さて、夏休み何をしようかしら、とお考えの方、ベラドンナゆかりの読書やDVD鑑賞もよし、有名人の墓巡りや博物館に足を運ぶのもまたよし、楽しい夏休みになりますように。

 

 

 

 

Ageless  エイジレス 若さを維持する対策

B043

B043

40代後半は脳の老化予防対策の始め時です。加齢による脳萎縮は健康な脳でも50代になると明確になりますが、その度合いに大きな個人差が出ます。脳の老化が進むと、姿勢や体の動き、表情といった外見まで老けて見え、生活の質も低下してしまいます。先手必勝、ちょっと早めから自分で出来る脳の保存対策を始めませんか。

 

Agelessは、認知症が圧倒的に少ないインド古来の伝承ハーブ(アユルベティック・ハーブ)を中心としたブレンドです。健康な脳の老化と認知症とは症状が異なりますが、脳の老化予防は認知症の発症抑制にも有効なのです。血管や脳細胞を活性酸素から守る、アルツハイマー型認知症の原因となるβアミロイドタンパク質の凝集を抑制したり神経の炎症を抑える、記憶力、集中力、情報処理能力を強化する、といった働きを持つハーブを集めました。

脳、血管、内臓、肌、全身の細胞を酸化老化から守って老化を遅らせて体内の細胞の若さを保つことは、外見の若さを維持すること、またその逆も同じです。人生100年時代、ちょうど折り返しあたりから抗酸化抗老化を意識してみましょう。

 Note* 

ターメリック、シナモンにアレルギーのある方はご注意下さい。

妊娠をご希望の方、妊娠中のご使用はお勧めいたしません。(ターメリック、ローズマリー)

❥炭酸リチウム剤(躁鬱病などの治療薬)をご使用の方は医師とご相談のうえご使用ください(シャタヴァリ)

肝臓に障害がある方は医師とご相談の上ご使用下さい(ターメリック)

抗凝固剤(アスピリン、ワーファリンなど)やアスピリンをご使用のかたは薬効が高まる可能性がありますのでご注意下さい(ギンコ、ターメリック)  

 

leaf使用量 1杯(約180cc)に対してハーブ茶匙1杯

clock 抽出時間 2分~4分 お好みで

cup1日1~3杯を目安にお楽しみ下さい

   お好みで蜂蜜やココナツオイルを少し加えてもお召し上がりいただけます。

 

原材料

ゴツコーラCentella asiatica (認定オーガニック ネパール)

ターメリック Curcuma longa (認定オーガニック ネパール)

シナモン Cinnamomum cassia (認定オーガニック ベトナム)

ウィザニア Withania somnifera  (認定オーガニック インド)

ギンコ Ginkgo biloba (認定オーガニック 中国)

バコパ Bacopa monniera (認定オーガニック インド)

レッドセージ(ダンシェン)Salvia miltiorrhiza (コンベンショナル 中国) 

シャタヴァリ Asparagus racemosa (認定オーガニック インド)

ローズマリー Rosmarinus officinalis (認定オーガニック エジプト)

ブラックペッパー Piper nigrum (認定オーガニック インド)

 

 

 

 

小さな粒の大きな活躍

フェンネル

雨が止みそうもない今日は、いつか読もう、いつか聴こう、いつか観よう、いつか作ろう、そんな後回しにしていたお楽しみには絶好のお日和です。こんな梅雨の季節は思わぬ夏風邪や食中毒も心配、免疫力もキープしておきたいところです。今、ガードを淹れます。クセがある風味は意外にクセになりますね。では、お茶が入るまでガードにも入っているフェネルのお話にお付き合いください。

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フェネルは地中海沿岸を原産とするセリ科の多年草です。すくすくと高さ1.5mから2mほどまで早く伸びますが茎の中はストローのように空洞です。枝別れしながら羽の様な細かく香りの良い葉を広げますが、すぐにドライフラワーのように枯れた様子になってしまいます。この様子から学名はFoeniculum(ラテン語で“小さな干し草”)を冠しています。6月から8月には香りの良い黄色い小花をセリ科特有の傘状に咲かせます。花の後には、近似種のアニスやコリアンダーなどと同様、中に種を持つ小さな果実が収穫でき、豊かな香りと多くの薬効成分を含む精油が摂れます。

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余談ですが、ギリシャ神話でプロメテウスが人間の為に神々の国からフェネルの枝に火を移して盗み出した、という通説には疑問がありました。あんなシャラシャラしたフェネルの枝に火を付けたらあっという間にパーッと燃え尽きてしまうのでは?と調べてみましたら、これは古代ギリシャ語でνάρθηξと表記されているのでオオウイキョウ(Ferula communis)「巨茴香」のことでした。丈夫な茎を持つ植物なので納得。フェネルを意味するショウウイキョウ小茴香」でもなく、スターアニス(トウシキミ)を意味するダイウイキョウ大茴香」でもなく…、ややこしいですが別物です。

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紀元77年にディオスコリデスが編んだ『マテリア・メディカ』の中で、フェネルは「細長く成長する」という古代ギリシャ語の『マラトンMarathron』という名で呼ばれています。肝臓、 腸、眼の病気に良いと書かれています。「眼に良い」と云われた裏には、古代ローマ時代より「大蛇がフェネルに目をこすりつけてよく見えるようにする」という言い伝えがあったのです。これは蛇が脱皮の際に目玉の鱗がうまく剥がせないと膿がたまって失明してしまうのだそうで、パサパサした細かいフェネルの葉が鱗をこそぎ落とすのにちょうど良く、抗菌、消炎作用があるので、さすが蛇の選択は正しかったというわけです。

さて『マラトン』といえば…紀元前490年ギリシャ人とペルシャ人が闘ったマラトンの闘い。アテネの北東部にある古戦場はこの黄色い花が咲き乱れていること因んで「マラトン」と呼ばれるようになります。伝令の兵士が42.195kmを走り絶命したマラソンの起源として有名な伝説、実はマラソン競技の広告用「作り話」でした。

近代五輪の開催を提唱したフランスのクーベルタン男爵が友人の歴史・言語学者、ミシェル・ブレアに似たような史実を張り合わせて作らせたというのですから手が込んでいます。1896年に無事に五輪発祥の地アテネで第一回を開催し、おまけにマラソン競技で開催国の選手スピリドン・ルイスが優勝して大いに盛り上がり、マラトン偽伝説も有名になり大成功だったわけです。

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さて、フェンネルは “勇気を奮い立たせる野菜” として「ローマ剣闘士御用達」でもありました。もちろんカール大帝率いるローマ軍兵士もフェネルシードを強壮剤や胃腸薬として遠征に携帯し、道すがら種を撒き撒き進軍していました。しかも温泉を見つけてお湯に癒されていたり…陰惨なはずの戦争と今に遺る文化の伝播が表裏一体だったのは万国共通なのですね。信玄の湯しかり…

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こうしてローマ帝国拡大に伴いヨーロッパ中に広がると、「フェンネルを見て摘まない者は馬鹿者だ」と言わしめたほど、葉から根茎、果実、花まで全て利用できます。

白く膨らんだ「鱗茎」と呼ばれる茎の根元部分はイタリア料理ではフィノッキオと呼ばれ、初夏の食材として有名です。セロリよりさらにクセがあるので好みが分かれるところですが、生のまま刻んでリンゴやグレープフルーツ、オレンジ、洋ナシなどのフルーツと併せ、さらにミントの葉やチーズなどと盛り合わせるとおいしいサラダになります。花部も散らせばとさらに彩りも。また薄切りにしてバターやオリーブオイルで香ばしく焼くと芯まで柔らかくなり、魚料理はもちろんお肉の付け合わせになります。野菜売り場で見かけたら是非召し上がって下さい。

果実部分(フェネルシード)はウエディングケーキと焼酎のお話でも登場したように、相性の良いアニスと一緒にパンやケーキ、パイ、ソース、ビネガー、ソーセージ等の風味をつけに使われてきました。甘い香りの精油は歯磨きや線香、石鹸、化粧品、入浴剤の香料に使われていますが、例のあのリキュール「アブサン」の主成分の1つとして有名です。

また利尿、健胃、肝臓障害を改善するお茶としても飲まれてきました。なにより授乳中のお母さんにとっては母乳の出が良くなるうえ、母乳を通して赤ちゃんの駆風に役立ち、むずかりを鎮めるお茶として有名です。

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ヨーロッパからエジプト、トルコと経てインドに伝わったフェネル、カレーに欠かせないスパイスになりました。それだけでなく食後に消化や口臭消しになるソーンフ(ヒンズー語でフェネルの意味)と呼ばれる清涼剤として身近なアイテムになっています。家庭でも氷砂糖と一緒に食後のテーブルに並べられるのは、同量を一緒に口にいれると唾液が出やすくなってフェネルを食べやすくする為です。今では一粒一粒に砂糖やミント味がコーティングされたカラフルなソーンフが売られています。インド料理屋さんではかわいい小皿や容器でテーブルやキャッシャーの横に置かれ、インド系航空会社の飛行機に乗ると「アフターミント」と書かれた小さな紙袋に入ったソーンフが配られます。まるで日本の仁丹のように。ちなみにMukhwasムクワスと呼ばれている清涼剤は、中身がフェネルだけでなくアニスやゴマにコーティングがされているものです。

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さてインドから中国を経て平安時代の日本に既に伝わっていたのです。そしてさらにさらに、驚くべき日本独自の文化の中で花開いていたのです…このお話はまたいつかのお楽しみに。

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窓ガラスのあたる銀色の雨粒が仁丹に見える今日、予定が何もないので古くなった針刺しでも作り直してみます。フェネルシードのオイルには金属の酸化を防ぐ作用もあることから、ヨーロッパでは古くから針刺しに使われていました。綿を細かくちぎって毛綿の状態にしフェネルと混ぜて詰めるだけ。ソーイングボックスを開けるとフェネルの甘い香り、なかなかいい感じだと思います。

 

 

人生の節目とローズマリー

ローズマリー

街中が眩しく光る緑一色になってきました。清々しい季節ですが新芽のパワーは思いのほか強いものです。時としてそのエネルギーに負けて調子を崩してしまうことも少なくありません。心や体が疲れている時は要注意。今日は気分を上げてシャキッと元気なあなたを取り戻せるようにエンハンスを淹れましょう。その間にエンハンスにも入っているローズマリーにまつわるお話でもいたしましょう。

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ローズマリー(Rosmarinus officinalis )はスペイン、チュニジア、モロッコ、南フランスなど地中海沿岸を原産とするシソ科の植物です。そびえたつ崖など厳しい環境の中でもよく育つ丈夫な植物でその昔、長い航海から帰って来た船乗りたちはローズマリーの香りで地中海に戻ったことを知ったといわしめたほどだったとか。針葉樹を思わせる葉を茂らせる常緑の低木は5~6月に青いちいさな花をつけます。学名はラテン語の海の(marinus)しずく(Ros)を意味し、波しぶきのかかる海辺に多く咲いていたことにちなんでいるとも、青い海を思わせる滴の様に愛らしい花の様子からともいわれています。

キリスト教が広まりつつあったヨーロッパでは、 “迫害から逃れエジプトへ向かうマリアは、白い花の咲くローズマリーの茂みにイエスを隠し、上に自らの青いマントを覆って難を逃れた。すると白かったローズマリーの花は一夜にしてブルーに変わった” というエピソードから、ローズマリーは「聖母マリアのバラ」(ローズ・オブ・マリア)とする説が広まりました。これは布教を目論んで無理やりつくられた説なのでしょう。そしてローズマリーはイエス・キリストの背丈よりも成長をすることはない、ローズマリーの木はイエス・キリストが没した年齢と同じ33年経つと枯れてしまうなどという伝説も然り…。現在花の色は、白、水色、青、紫、種によって様々あります。

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キッチンハーブとしての歴史は古く、およそ紀元前1600年頃に粘土板に楔形文字で書かれた古代メソポタミア最古のレシピ(世界最古の料理本)によるとクミン、コリアンダー、フェンネル、ミント、タイムなどと共に使われています。動物と人間の一番大きな違いは火うこと。人類は古代より鳥獣の肉と野菜の煮込み料理を食してていたようです。この粘土板は「バビロニア文書集」の一部で、古代メソポタミアの台所設備、食材、手順、祭りで捧げられた料理、王の食事の準備などが事細かく解説しています。ここに書かれている古代メソポタミア料理(イラク料理)が現在食されている中近東・地中海料理にあまり形を変えることなく伝承されている事実に驚きました。楔形文字はフランス人学者ジャン ボテロによって解読されてLa plus vieille cuisine du monde(Jean Bottéro 2002)が出版されていますが、英語版The Oldest Cuisine in the world (2004)はもとより日本語訳(『最古の料理』りぶらりあ選書 松島英子訳(2003)法政大学出版)も出ていますので是非。食と宗教との概念が日本人の我々に通じるところもあり、また文明の高さとは食文化の豊かさである、と納得してしまった一冊です。ローズマリーは野菜や魚、肉、チーズやパン、何と調理してもワンランク上の味に仕上げてくれるハーブです。ただのポテトもオリーブオイルとローズマリーの葉をパラパラ振って焼くだけでレストランのような香りが漂います。

また古代からローズマリーは風味を高めるスパイスとしてだけでなく、肉や魚の保存料として効果があることも知られていたようです。ローズマリーは高い抗酸化力で脂肪の変質を抑えて脂臭さを消す効果、食物の腐敗や細菌の発育を阻害、殺菌作用すらあるのです。同時に弱った胃腸を助けて食欲不振を改善したり、消化液の分泌や栄養の吸収を活発にする働きがありますので、食材として食すのはとても理に適っています。オイルやワインに漬けて使うのも伝統的な使い方です。

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薬としては古代ギリシャの時代から頭や心、心臓を活性させる薬、気付け薬として知られるハーブです。森林の香りのような鮮烈な香りは脳を刺激し記憶力を向上させると評判で、紀元前4世紀、プラトンがアテナイに創設した学校(アカデメイヤと呼ばれる)では、学生たちが記憶力や集中力を高める為にローズマリーの枝を枕の下に入れて寝たり、輪に編んで頭に被ったり、髪に編みこんで試験に臨んだというエピソードもあります。勉強の効率アップだけでなく頭痛や鬱にも利用されてきました、さらに最新の研究では脳の老化に効果的といわれています。ローズマリーの香成分の多くに抗酸化作用(活性酸素から細胞を守る働き)があり、特に揮発成分の1つカルノシン酸には認知症やアルツハイマー、パーキンソン病など、脳神経の細胞死に関連する病気の予防や治療に期待されています。

このようにローズマリーといえば “頭のハーブ” なのですが、それは中身に働くだけではないのです。ローズマリーのオイルは塗布剤や湿布薬として脱毛症や頭痛、神経痛や筋肉痛、通風の痛みの緩和に使われてきました。現在も市販のシャンプーやリンス、頭皮ケアの製品の多くに使われています。

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花言葉は効能やその清浄感のある香りに由来するのでしょう、記憶、思い出、いつまでも忘れない、永遠の愛、追憶、純潔、誠実、貞操など、多くの習慣にも繋がっています。

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古代よりその香りには病や不幸をもたらす悪魔祓いをする力があると考えられ、教会や家の垣根に使われたり門や扉に飾られました。宗教儀式では神々に捧げる薫香としてローズマリーの小枝が焚かれていました。その流れを踏襲するヨーロッパでは結婚式とお葬式といった人生の節目に欠かせない聖なる枝になっています。

例えば結婚式。ローズマリーは魔除けとしての意味合いだけでなく純潔や貞操、永遠の愛の象徴とされてきました。結婚式の朝に花嫁側からローズマリーの花束を花婿に届けたり、花嫁のブーケや髪に挿したり、花嫁花婿にローズマリーを編んだティアラ を頭に載せる風習も残っていて、その枝を新居の庭に挿して立派に根付くと幸せになれる、という言い伝えもあります。またヨーロッパでは結婚式の招待客にも幸せのお裾わけとしてローズマリーの小枝を持ち帰ってもらう習慣があります。かつて招待された結婚式では、各テーブルのナフキンにローズマリーの小枝が添えてありました。これは持って帰って挿し木にするべき引き出物だったのですね。

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そしてお葬式。紀元前十数世紀のエジプトのファラオの墓から副葬品としてローズマリーの小枝が発掘されています。死体を永く保存する、また死者が生者を連れていくのを守るといった神秘的な力を持つと信じられていたようです。今でもローズマリーの小枝をブローチのように胸に挿して葬儀のミサに参列するお年寄りの姿をよく目にします。これは会葬者が故人の想い出をいつまでも心に留めて置く、いつまでも忘れませんという意味合いがあるそうで、こちらも花言葉にもなっている追憶、記憶、思い出の象徴。古代ローマ時代、戦死した兵士の恋人が“あなたとの思い出を忘れない”と、ローズマリーを植えたそうです。1950年11月2日に没したイギリス近代演劇の立役者バーナード・ショーは「ローズマリーを自分の棺に入れるように」と遺言状に書いたことで有名です。演劇といえばもちろんあのハーブ好きなシェイクスピアの演劇作品にもローズマリーは度々登場します。またの機会にご紹介いたしましょう。

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話は脱線しますが、欧米では死者を埋葬する際に瞼の上にコインを載せるというギリシャ時代から続く風習があります。(瞼ではなく口の中に入れる地域もあるようです)小説『怒りのブドウ』(原題The Grapes of Wrath, J.スタインベック1939)でもトムのお爺さんが旅の途中で死んだ時、お母さんが50セント銀貨を瞼に載せてあげる場面が描かれています。映画『トロイ』(2004アメリカ)や『フロム・ヘル』(2001アメリカ)でも同様のシーンがありますが、『処刑人』(1999アメリカ) のマクマナス兄弟、瞼にねじ込むのはやりすぎです。

この風習はギリシャ神話に由来するものでした。まず死者の魂は冥界の入り口にある憎悪の河ステュクス(または嘆きの河アケロン)を渡るため、渡し守のカロンに払う渡し賃がなければ魂は川岸をさまようことになる、というのです。ダンテの『神曲』にはカロンが死者を船に乗せ地獄へ連れていく様子が描かれていますが、西洋にも「三途の川」と「六文銭」があったとは驚きです。小泉八雲は日本の古代の信仰は古代ギリシャの信仰と似ていると言っていますが、死後の世界についても似たような発想をするものなのですね。

ではなぜ瞼に載せるのか、イングランド出身のお婆ちゃまに聞いてみました。これは生者を羨ましがってとり憑ついたり、道連れを探したりしないよう、二度と目を開かず安らかにあちらへ行ってほしい、という死者への畏怖の念から置くのだそうです。

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いささか忌諱に触れるお話になってしまいましたので、お口直しにローズマリー繋がりのノスタルジックなスローバラード、ローズマリー クルーニーが歌う“I’ll never forget you(1951)”でも聞きながら、ゆっくりとお茶にいたしましょう。

 

 

 

懐かしい黄色

たんぽぽ

いよいよ春が近づきました。春は大掃除の季節、体の中も大掃除をしたい季節です。今日はRegularを淹れましょう。これから数週間かけていくつかのデトックス系のお茶を続けてみませんか。今日はレギュラーにもはいっている西洋タンポポ、ダンデライオンにまつわるお話です。

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キク科タンポポ属 はユーラシア大陸全体が原産で様々な種類があります。属名の総称Taraxacum の語源は、ギリシャ語の taraxos(病気)と akos(治療)を組み合わせとも、アラビア語のハーブの一種を意味する「tarah sagun」とか、ペルシャ語の「苦い草」(tharakchakon)に由来、とも言われており、食用、薬用の植物として長い歴史があります。

薬としては11世紀前半からアラビア医療において浮腫みの解消や肝臓の保護、血液浄化といった薬効を認められていました。また茎や葉や根を傷付けると白い汁がでることから母乳の出を良くするといわれてきました。16世紀にはヨーロッパ各地で 肝臓と消化器官の薬として公式に薬として処方されるようになりました。またドイツで血液浄化剤とうっ血肝の薬に使われていた記録が残っています。一方、利尿効果の高さも有名で、フランスでは今でも「pissenlitピッセリン(おねしょ草)」という異名で呼ばれることもあります。カリウムが豊富なので他の利尿剤のようにカリウム不足の心配がない点で優れています。今や各国で葉は消化不良、胆嚢炎や胆汁不足、便秘、浮腫、リウマチ、乏尿に、さらに根はこれらに加えて肝胆道疾患や黄疸も挙げられています。

食用としては若葉と甘い花弁は生でサラダに、大きな葉はホウレンソウのようにしょくされてきた代表的な春の苦味野菜です。実際に鉄分やカルシウム、カリウムといったミネラル類、ビタミン類ほか苦味質(タラキサシン)、ルテイン、多種多様な多糖体、レシチン(コリンの供給源)などを豊富に含む野菜です。花弁は強壮作用があるといわれるタンポポワインが各家庭で作られていたり、黄色い染料に使われたりしてきました。焙煎した根は肝臓を元気にして消化・浄化に働くカフェインレスのコーヒーとされていますが、これはなかなか侮れない働きをする優れた飲み物です。

日本原産の蒲公英(タンポポ)や漢方で使われている蒲公英(ぼこうえい)も薬として似たような使われ方をしてきました。こちらにまつわるお話はまたいつかいたしましょう。

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タンポポの英語名ダンデライオンは、葉がギザギザしている様子をフランス語の歯(dents)..の(de)ライオン(lion)に由来。ちなみにラテン語のdentはイタリア語のスパゲッティの湯で具合アルデンテ(al dente歯応え) や英語の歯科医デンティスト(dent=歯)と同じ語源です。

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北米には15世紀のコロンブスの大陸発見以降、ヨーロッパ各地からくる移民と共に上陸しました。持ち前の繁殖力であっという間に広まり、原住民チポワ族にこんな民話を生みました。

南風のシュワンダシーは他の兄弟、北風、東風、西風より引っ込み思案で自然を愛する優しい少年でした。ある春の日、彼は緑のドレスに身を包み、太陽のように輝く髪の美しい少女を見つけて恋をしてしまいます。しかしはずかしがり屋な彼は声をかけられず、明日こそは、明日こそは、と幾夜も彼女を想い溜息をつくのでした。そして遂に今日こそ結婚を申し込もうと草原に行ってみると、なんとそこには老婆のように白髪に変わってしまった彼女の姿が…嘆き悲しむシュワンダシーの前を冷たい風がスーッと吹き抜けると綿帽子のような彼女の姿は消えてしまい、それから二度と会うことはありませんでした。季節が変わり、あの同じ草原に来てみたシュワンダシー、なんと金色に輝く髪の少女がたくさんいるではありませんか!その中に懐かしい彼女はいません。ただ彼女を思い出しては溜息をつくのでした。

 

 

これは原住民の少年が白人の少女に恋をしますが打ち明けることもできず、結婚する事も叶わず…しかし彼女はその地にたくさんの子孫を残していました、ということなのですが、これは白人による侵略に苦しめられた原住民の嘆きを民話として残したのではないでしょうか。このタンポポの繁殖力にはある秘密があります。これもまたいつかお話しましょう。

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タンポポにはいくつかの花言葉かあります。一枚一枚ドキドキしながら花びらをちぎる恋占い、綿毛を一息で全部飛ばせたら想が届き恋が成就するという占いなどから「愛の神託」。種は愛の象徴であり、たどり着いたところでその愛を根付かせますが、そのまま遠くへ飛んでいってしまうことから「別離」という花言葉もあります。

タンポポを扱った小説を2つご紹介しましょう。1つ目は1957年に発表されたレイ・ブラッドペリの「たんぽぽのお酒(原題:Dandelion Wine)」は、ある年代以上の方々にはとてつもなく懐かしい一冊だと思います。1928年のアメリカを舞台に、12歳の少年ダグラスがひと夏に体験した出来事を描いたファンタジーです。おじいさんが夏のはじめに仕込んだタンポポのお酒一壜一壜にはその年の夏の香りが思い出と共に永遠に閉じ込められ…思春期に向き合う、生きることと、死ぬこと、かつてダグラスの目線で読んだこの本も、人生の峠を超えた今読むならおじいさんや台所の魔女に感情移入できる気がします。2011年、ブラッドペリ91歳のブラッドペリ本人のプロデュースで映画化が発表されたのですが、残念ながら10か月後の彼の死と共にこの話も立ち消えになってしまったようです。しかし、この本を読んだ誰もが実写以上の映像を心に描ける、それくらい美しい抒情的な一冊だと思います。

ちなみにタンポポのお酒は初夏の早朝、朝露のついた花から花(弁)だけを摘み、砂糖、水、オレンジ、レモン、スパイスやレーズンを加えて発酵させます。イーストを加える方法もありますが植物についた天然の酵母だけでも発酵するようです。発酵が止まったら瓶に詰め、熟成期間の秋を過ぎれば冬には味わえるようになります。

もう一冊はメルヴィン・バージェスの小説「JUNK」(1996年イギリス)。家出をした14歳の少年と少女が都会で生活していくうちにドラッグへと溺れて荒んだ生活へと落ちていくという、暗い気持ちになる現実的な小説です。主人公がかつて描いていた鮮やかな黄色いタンポポの絵に、失った純粋さや明るさが象徴されているようで切なくなります。邦題を「ダンデライオン」としたのは絶妙です。こちらは映画化されていますが、救いのない現代の少年問題を扱ったドキュメンタリーのようで見た後の感想は苦いものでした。

この時代も場所も状況も異なる小説の中で、タンポポは一番純粋だった子供時代に結びつく花として描かれます。もう一つの花言葉「飾らない心」とは、きっと穢れを知らない純粋な心を意味しているのでしょう。

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タンポポは夜明けと共に花開き、日没と共に閉じるので「羊飼いの時計」とも呼ばれますが、むかし散歩の帰りに摘んで帰ったタンポポが黄昏時に花を閉じてしまったのを見て息子が泣いたのを思い出しました。翌朝ちゃんとまた花が開いていて夕刻には閉じ、朝また開き…そうして約1週間、家の中でも規則正しく開閉する姿に親子して驚いたものでした。

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今やタンポポの綿毛をふぅ~っと飛ばすなんてとんでもない!黄色い花を見つける度に「芝の大敵!」と始末してしまう今日この頃。心の中で何かを失ってしまった気がしてきました。これからはまた昔のように小瓶に挿し「羊飼いの時計」を楽しんでみようと思います。道端のアスファルトの割れ目、線路沿いの草むら…ゴルフ場のラフの中、あまりにどこででも花を咲かせるタンポポですが、目を留めてみてください。何か懐かしい思い出が蘇るかもしれません。

 

苦い汁とシェイクスピア


ワームウッド

ひな祭りも近づき、そろそろ草餅や草団子が和菓子屋さんのケースに登場するころかと思います。しかしまだまだ寒いこんな日はWarmをお淹れましますので、ゆっくりと体を温めながら春に備えて心身の充電はいかがでしょう。今日はホーチュラスでは扱っていませんが長い歴史を持つハーブ、ワームウッドのお話をいたしましょう。

 

 

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ワームウッド(Armitesia absintium)はヨーロッパ原産で北米、アジア北部、北アフリカなど広く分布する多年草で、雑草として山間部にはどっさり生えています。夏から秋に同じキク科のブタクサと良く似た黄色い小さな花を穂状に咲かせます。どちらも蜂や蝶を惹きつける必要がない風媒花(自分で花粉を飛ばして受粉する花)なのでとても地味な花ですが、花粉症(夏から秋の)のアレルギー源として大注目です。ちなみにブタクサと良く混同されてしまうセイタカアワダチソウは同じキク科でもアキノキリンソウ属の虫媒花(蜂や蝶などに受粉を託す)。あまり花粉は飛ばしませんので犯人扱いしないでください。

 

キク科ヨモギ属には250種以上あるといわれ、草餅やお灸、女性に人気のヨモギ蒸しなどに利用されるアジア原産のオオヨモギやニシヨモギなども含まれます。いずれも学名には女神「アルテミスの」Artemisiaが属名として頭につきます。ギリシャ神話によると、アルテミスは自身が生まれた直後から母親のお産を助けたり、潮の満ち引きを銀の鎖で操つったり“女性の月経や分娩を司る女神”とされています。弓矢の名手でもあり、その矢を使って難産や産後の肥立ちが悪く苦しむ女性に「安楽死」を与えて救済するのだとか。いくらお産は命がけとはいえ、女神だったら他に助ける方法を思いつかなかったのでしょうか…。

 

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旧約聖書による“ワームウッドはエデンの園から追放された蛇(ワーム)が這った跡から生えた草”という説から、邪悪、忌み嫌われるものの例えとなったり、数多あるハーブの中でも極め付きのその苦さから「苦い」例えに使われます。日本名もそのものずばり「ニガヨモギ」。

ハーブに造詣の深かったシェイクスピア作品には、やはり多々登場しています。なかでも有名なのは『ハムレット』。父を殺して王の座を奪った叔父と、その叔父とすぐに再婚した母に復讐を計画したハムレットは、旅役者一行に父の殺害に似た場面を叔父の前で演じさせます。劇中の「再婚なんて夫を殺すような悪妻でもなければするはずがない」という台詞に顔色を変えた叔父を見て、ハムレットが「wormwood, wormwood」と呟きます。これは「おまえ達にはニガヨモギくらい苦く聞こえる台詞だろうさ、」といった感じの比喩で使われているといわれていますが…もっと怒りを込めた罵詈雑言だったのではないでしょうか。

 

 

また『ロミオとジュリエット』では、ジュリエットの乳母が「あたしが乳首にワームウッドの汁を塗りつけて昼寝をしていると、ジュリエットお嬢様はそれを嘗めなさって大騒ぎでおむずかり、その日からやっと乳離れされましたですよ」と、語ります。日本では今でも辛子やワサビを使う方法もあるようですが…当時のイギリスではワームウッドが使われていたのですね。

余談ですがこのジュリエットの乳母はシェイクスピア作品のなかでも一番の下ネタ好き。シェイクスピアの戯曲にはご存知の通りユーモア、皮肉、残忍、卑猥な台詞が、比喩や隠語俗語を使って大量にちりばめられています。16世紀、芝居というものが教会で宗教や道徳を説く素人の劇から、役者が演じる演劇へと変化した時代です。テーマは意外に三面記事的な人間臭い悲喜劇で、社会風刺やブラックユーモア、娯楽性を交えた脚本と演出があったからこそシェイクスピアは大人気だったのでしょう。シェイクスピアなんて哲学ぶった小難しい台詞や乙女チックな筋書きが…というイメージで敬遠している方、今更、と云わず松岡和子さんの軽妙な訳で(ちくま文庫のシェイクスピア全集)ぜひもう一度読んでみてください。さらに彩流社の『本当はエロいシェイクスピア 』小野俊太郎著は大人ならではの読み方を教えてくれます。

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薬としてのワームウッドは「ワーム=にょろにょろした足のない虫」の名に因み、3500年もの昔から古代ローマで虫下しに使われてきました。その後、腹痛やけいれんを抑える薬、リウマチの痛み止めや分娩促進の湿布薬にも使われました。また葉や枝を燃やした灰の軟膏が毛生え薬、ひげを濃くする薬になったという怪しげな使い方もありました。紀元一世紀に古代ギリシャの医師ディオスコリデスが編纂した薬物誌「マテリア・メディカ 」には強壮・食欲増進・解熱といった薬効が記されており重要な薬草の1つとして扱われてきました。現在英国薬草薬局方では虫下し、健胃薬、胆汁促進薬としての効能が認められていますが、妊娠中、授乳中は禁忌、また長期の服用が禁じられています。

 

中世ヨーロッパでは生活用品として、ノミや蚊、ダニ除けに、干した葉を床に撒いたりベッドに敷いたり、袋に詰めて衣類の防虫剤として利用されていました。これも「ワーム」の名だたる所以でしょう。

 

ガーデニングでは茎葉や花から漂う甘い芳香、産毛で銀色に光り深い切れ込みが美しい葉が人気の植物です。またキャベツのモンシロチョウ対策、果樹類のガ対策に効果があるコンパニオンプランツとしても利用できます。ただ地下茎から他の植物の発芽を抑制する物質を分泌するので、同じ土で根を張らせずに鉢植えにして近くに置くとよいでしょう。

 

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ワームウッド、といえば切っても切れないのがお酒との縁。ホップが普及する以前はビールの苦味付けに使われていたり、消化促進、食欲増進の食前酒(フレーバードワイン)で有名なベルモット(ニガヨモギのドイツ名wermut、古英語名wermodに由来)が作られています。そしてなんといってもワームウッドの名を広めたのは「アブサンAbsinthe」。19世紀のベルエポックの時代にパリで大流行し、「緑の詩神、禁断の酒、悪魔の酒」などの異名で名だたる芸術家達を虜にしました。このアブサンにまつわる甘く危険なエピソードは、またいつか…

 

 

 

 

ウエディングケーキと焼酎?

アニス

新しい年が始まり、これから本格的な寒波がやって来るのでしょうか…寒い日はノンカフェインのチャイティーを一杯いかがでしょう。抗酸化成分たっぷり、また体を温めるためたり、ついつい食べ過ぎが続いて弱った消化力も助けます。ではじっくり煮出してお淹れしますので、少々お待ちいただく間にコージーに含まれる小粒のアニシードのお話をしましょう。

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アニシードはセリ科の一年草アニス(学名Pimpinella anisum和名は西洋茴香(ウイキョウ))の種です。小さな白い花が愛らしく、灰緑色をした三日月形の一対の果実を付けます。シード(種)といっていますが、植物学上は種ではなく果実なのだそうです。ラテン語の属名は葉の形から1対の羽を意味します。

アニスの甘い芳香は様々なハーブやワイン、香水の香りを語る時に「アニスの様な香り」と表現されるほど特徴的です。香は主成分はアネトールの香りなので、同じ成分を持つフェンネルシード(ウイキョウ)、リコリス(カンゾウ)スターアニス(八角)などは似た香りがします。特に似ているスターアニス(八角)中国原産、シキミ科で、植物学上の類縁関係は全くありません。

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アニスはエジプト原産で、シナモンが輸入される紀元前4000年ころまでクミン、マジョラムと共にミイラの防腐保存剤として最も重要な役割をもっていました。古代のエジプト人は死者は必ず復活する、魂は肉体がないと復活できないと信じていたので死体を保存する必要があったのです。

紀元前3000年ころからエジプトやギリシャのクレタ島で作物としての栽培が始まっていました。消化を助ける作用が広く知られおりパンに入れて焼かれていました。紀元前5世紀のギリシャの数学者ピタゴラスもアニシードのパンが大好きだったと書き残しています。古代インドでも同様の使われ方をしていて、特にベンガル料理(東インド)のパンには必ずフェネルと共にアニスを入れる風習が根付いている様です。

同時期、ヒポクラテスはアニスの薬効について、消化作用のほかにも去痰と殺菌作用に優れているので気管支炎、喘息や咳止めの薬に処方していました。その流れからか中東やヨーロッパには今でもアニス味のマウスウォッシュや歯磨き粉、咳止めのトローチなどが多くあります。

古代ローマ時代、アニスはトスカーナ地方で盛んに栽培され、薬やスパイスとして使われていました。特に消化とブレスケアの目的で食後に数粒噛むのが流行りました。今でも食後にピルケースからアニシシードを数粒取り出したりすると、ガムやフリスクや仁丹よりお洒落かもしれませんね。

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このアニシードのエピソードに欠かせないのが紀元前2世紀のローマ共和国の監察官だったカトー(加藤さんじゃなくCato)です。農民出身でありながら質実剛健な軍人から清廉潔白な政治家と昇りつめた人で「農業論」を著わしました。この中で農園経営のための助言から,農作業の実務,農村生活のコツなどが記されているのですが、実はローマ初の「レシピ本」とも言われるほど多くの料理レシピがかかれているのです。料理研究家でもない男がなぜ料理のレシピを書いたのか?

当時ローマ帝国は領土をどんどん広げていきます。他国との闘いはもちろん内戦も多く国防費で財政は厳しくなり共和制も揺らぎ始めていました。そんな中にあっても、貴族や軍の高官たちは東洋から高価なスパイス(シナモン、クローブ、カルダモンなど)や砂糖を盛んに輸入し贅沢を貪り、東洋風の華美な衣装や宴会に酔いしれます。そこで彼は贅沢禁止令を出して浪費を規制します。同時に、輸入品ばかりが高値で取引されることへの反発を抑えるために国産スパイスの使用を奨励したのです。そのためのレシピの1つが Mustaceum、Must Cakeと呼ばれるスパイスを用いた1種のワインケーキがあります。このMustとは「~せねばならない」の助動詞ではなく、 ぶどうの果肉を潰した果汁や皮や種で発酵前のワインの素といえるものです。

ちなみにマスタードのマストもこれ。本物のマスタードと呼ばれるものはカラシナの種と絞りたてのマストを混ぜて作られたものを指します。

そのマストケーキのレシピは、

小麦粉をマストで煉り伸ばし、アニシード、クミンシード、ラード(豚の脂)、チーズ(おそらく若い動物の胃の内膜を使って固めた原始的なチーズ)に月桂樹の樹皮を混ぜケーキ型に入れ、月桂樹の葉を敷いた上で焼く

というものです。カトーさんは、贅沢な東洋産のスパイスを使わなくても身近に手に入るアニスやクミンで充分おいしいケーキが焼ける、そして闘いの遠征先で酵母菌が枯渇してもマストの発酵で十分ケーキは膨らませられるし、砂糖を使わなくてもマストだけで十分な甘味が出ることを示したのです。

その後、この消化も助けるマストケーキは重い食事、宴会の最後に供され大流行し、ローマの風習となりました。これが現在のウェディングケーキの起源であるといわれています。

アニシードはローマ軍が薬として、またスパイスとして携帯して遠征した事と、ローマ帝国解体後に興隆したフランク王国のカール大帝(742~814)が遠征を再び始め、征服した各地に 教会や修道院を建てて、その中で薬草の栽培を奨励た事、この二つがヨーロッパ全域にアニスの知名度を高めました。

パンやクッキー、キャンディ、スープ,ソース,菓子,チーズの香味、石鹸や化粧品などに使われるスパイスとして、また子供の嗜好にも合うため薬を飲みやすくする香味料にも使われていましたし、スカンジナビア地方では今でも生葉がサラダの付け合わせや色どりに食されます。

 

現在の日本でも輸入食品店の棚にフランス製のアニスキャンディFlavigny(フラヴィニー)を見つけることが出来ます。楕円形のお洒落れな缶を見かけたら、是非中世の味を味わってみてください。

このカール大帝は修道院薬草治療を語るうえでのキーパーソン、現在手に入るハーブ伝承の立役者、つまりここHortulusにとっては忘れてはならない大事な人です。この人のお話はまたいつか。

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時は下り1305年、イギリス国王エドワードⅠ世はテムズ川に架かるロンドン橋の改修費用を捻出するために、ロンドン橋を通って運ばれるアニスに特別税をかけました。というのも、カール大帝のおかげで栽培が始まったとはいえ、修道院の薬草園の中だけで栽培されていたアニスは門外不出の薬草、ヨーロッパから輸入される贅沢な嗜好品だったため、庶民の反発を招かない絶好の課税対象となったのです。その税のおかげでロンドン橋は無事改修されました。贅沢品から税を徴収してインフラ整備、なかなか上手いやり方です。

15~16世紀になってやっとイギリス国内の一般家庭でもアニスが栽培できるようになり、身近な薬草、身近なスパイスとして定着していきました。

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現在アニスはガーデニング界において、アブラムシやアオムシを寄せ付けないだけでなく、ハチを誘って繁殖を助る優秀なコンパニオン・プランツとして知られています。

この甘い香りは動物にも好まれるため、ペットフードや家畜の飼料、ねずみ捕りの餌にも使われます。特に犬はアニスの香りを好むので(猫はキャットニップ)猟犬の訓練に利用すると効果が高いそうです。

釣り人にも朗報。魚もアニスの香りを好むそうで、撒き餌や餌、ルアーに付けるだけでなく アニシードの香りの釣り人用のウエットテッシュも市販されている様で、これを使うと手や道具の魚臭が取るだけでなく、成分が道具に付着して釣果が上がるとか。釣り好きはお試しあれ。

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さてさて切っても切れないのがアニスとお酒です。まずは紀元前6000年頃から作られていたとされるワインですが、古代ローマ人はワインにアニスをいれると呪いから身を守るおまじないになるとか、若返り効果(催淫、強精作用)があると信じて飲んだり、悪い夢を追い払うことができると、枕に振りかけていたそうです。

そして紀元前800年ころから、エジプトで作られはじめていたという世界最古の蒸留酒が「アラック」です 。起源は香水を作る為に作られた蒸留装置(アランビック)を使ってデーツ(ナツメヤシ)の汁から作られたお酒です。これが世界中のの蒸留酒、リキュールの始祖です。このアラックの特徴的な風味に欠かせなかったのがアニシードです。

先ほど登場したカール大帝の時代や、その後のオスマン帝国の隆盛で領土の拡大は様々な文化の伝播と融合をもたらしました。蒸留酒文化もアラックによっては中近東からヨーロッパ、アジアへと広まりながら、原料はデーツからブドウ、ヤシ、小麦やサトウキビ、雑穀、米・・・と様々に変遷しながら各地で独自のお酒を作りだしていきました。、イタリアのザンブカ アネソネ、スペインのオジェンギリシャのツィプロやウゾー、バルカン半島諸国のラキア、トルコのラク、フランスのアニセットやパスティスといったアラックの血を引くリキュールが出来ました。フランスのあの禁断の酒「アブサン」もアニスで甘い誘惑の香りを出しています。

そしてシルクロードを辿ってインドやネパールでロキシー、タイ(シャム王国)でラオロン、ベトナムでルアモイといったお酒が生まれ、インドネシアではオリジナルとはちょっと異なる風味をもつものの、「アラック」の名前そのままのリキュールが有名です。

徐々にアニシードの香り付けはなくなり、ウイスキーやブランデー、ウオッカやラム、テキーラなどと同様に単に蒸留酒の伝播となってしまうのではたして「アラック」の子孫といえるかどうか…なのですが、ただ、日本にはその痕跡が残されていたのです。

日本の蒸留酒、「焼酎」には2つの渡来ルートがあります。一つは、タイから中国に伝わって白酒、朝鮮の焼酎が対馬に入ったルート。そしてもう一つはタイ(当時はシャム王国)と交易のあった沖縄(黒麹で泡盛ができる)、経由で薩摩に伝わったというルートです。こちらは「アラック」に由来した「阿剌吉酒(あらきさけ)」という呼名が付き、蒸留器具も「アランビック」から「蘭引(ランビキ)」と伝わったていることに遥かエジプトの名残が存分に感じられます。

「焼酎」という文字の最古の記載は、鹿児島県伊佐市の郡山八幡神社の改修工事に携わった宮大工二人が残した落書きで、柱貫の一部から見つかっています。「この神社のケチな施工主は一度も焼酎をふるまってくれなかったのが誠に残念 by 作次郎・助太郎 永禄2年(1559年)8月11日」。これは神社正面の目立つ部分の一部で、この時修理したパーツの内側に落書きし、綺麗に嵌め込んであった為、400年後の改修時まで見つからなかったわけです。酒をふるまわなかったケチな座主の悪口を封印して後世に残すとは、しかも堂々の署名入りとはなんとも粋な溜飲の下げ方です。因みに、初期の焼酎はお米や雑穀で作られていたようです(薩摩地方でサツマイモの栽培が始まるのは18世紀以降です。)

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焼酎党の方、お湯割りを作る時アニシードを数粒入れて香りを出してみてはいかがでしょう。「アラキ酒」のご先祖アラックが蘇って、気分は遠く昔のエジプトへ、シルクロードを辿る旅ができるかもしれません

Assorted Collection No.8 目鼻喉

AC008

くしゃみ、鼻水、鼻づまりといった上気道のイライラや目のかゆみや涙目といった症状は、一度始まってしまうと雪だるま式にひどくなっていきます。これらの症状を鎮めたい時にお勧めの組み合わせです。

花粉症の予防は早めに始めることが肝心です。苦手な季節が来る前から免疫機能を正常に整えておくことがお勧めです。

内容 6種

リアクション ガード レギュラー クリスピー シトラシー  ティングル

Assorted Collection No.7 抵抗力

AC007

ちょっと抵抗力が落ちてるかなという時や感染症が流行する冬の対策の為に秋口から楽しみたいコレクションです。正しい免疫機能の維持に欠かせない栄養補給, 免疫を作る臓器である腸、抵抗力のバックアップ、血行促進で体を温め、心身のストレス対処、良質な睡眠、をカバーします。

花粉症などの症状のある方は、冬の間に免疫機能を健康に保っておくと、その後「コレクションNo.8」が良い仕事をしやすくなります。

内容 6種

クラッシー レギュラー ガード ウォーム テンダ― ピロー

 

Assorted Collection No.6 抗酸化

AC006

抗酸化とは活性酸素*を取り除き、生活習慣病の予防や老化を抑えることです。 年齢とともに活性酸素の発生量は増え、多量飲酒、ストレス、添加物、タバコ、激しい運動、紫外線なども活性酸素を増やす原因となります。脳から爪先まで全身の細胞に少しでも抗酸化物質を届けたい、そんな方のティータイムに最適な組み合わせです。

活性酸素*はフリーラジカルとも呼ばれスーパーオキサイド、一重項酸素、過酸化水素、ヒドロキシラジカルなどの種類があります。

普通の酸素と異なり奇数でペアになれない分子構造をもつ不安定なタイプの酸素です。活性酸素は自分が安定したいが為に周囲の分子から電子を奪い取ってしまいます。これが「酸化させる」(サビさせる)ということで肌のシミやシワの原因、またガンや動脈硬化・糖尿病・などなど病気の元凶となるタチの悪い酸素です。

 

内容

テンション エイジレス ライブンアップ プロセス クラッシー コージー

 

Assorted Collection No.5

AC005

順調な肌のターンオーバーにかかせない機能をサポートする7種類のお茶です。

体を温めて血行促進で代謝をUp、肌に直結する腸のケア、細胞の抗酸と糖化を予防、デトックスと睡眠 といった美肌に必要なケアは全身の細胞のアンチエイジングにつながるのです。すべての年代の女性、そして男性にもおすすめできるコレクションです。

内容 (7種)

クラッシー ピロー プロセス テンション エイジレス レギュラー ウォーム

 

Assorted collection No.3 更年期R

AC003

このコレクションNo.3は 更年期前期の閉経までの期間、あなたのベスト・コンパニオンになります。

女性ホルモンの低下に心と体を自然に順応させ、ソフトランディングを目指す為に最適な組み合わせです。イライラしたり落ち込みやすくなったり、お肌の変化に気付いたり太りやすくなったり…気分がダウンしがちです。こんな時は忙しい中にも意識的にリラックスする時間を作りよい睡眠を得るようにしましょう。

女性ホルモン感受性疾患の心配がある方はホルモンの活動に影響を与えないN0.4更年期O がお勧めします。

内容(6種)

クラッシー コンフィー プロセス エンハンス プレメノ ピロー

 

Assorted Collection No.4 更年期O

AC004

閉経後、いままで女性ホルモンの働きで対処していた身体の機能が低下してくるのは自然なことです。寝つきが悪くなったり、イライラしたり落ち込んだり、体臭が気になってきたりといった日常のあれこれから、太りやすくなったり血圧が上がってきたりして循環器系疾患のリスクも高まります。そんなあれこれをサポートする組み合わせを作りました。

お茶の時間にハーブティー、リラックスする時間を意識的に持つことで心と体を気持ちよくするお手伝いができるかもしれません。

内容(7種)

クラッシー コンフィー プロセス テンション エンハンス ポストメノ ピロー

 

Assorted Collection No.2 代謝

AC002

日々の代謝で発生する老廃物や取り込んだ毒素は溜まってくると心身共にダル重くなってきます。余分な物を溜め込まない為に、代謝を活発にして排出を促しましょう。細胞レベルからのスッキリ!!に最適な組み合わせです。

内容 (6種)

モーニング、ピュリファイ、レギュラー、プロセス、ウォーム、コージー

Assorted Collection No.1 C-majour

AC001

ティーブレイクに最適なCメジャーシリーズ、5gの小袋5種類の組み合わせです。リラックス系、アップリフティング系、リフレッシイング系…いつも明るいC-メジャー♬な気分で過ごしていただけますように。

内容(6種)

クラッシー、コージー、クリスピー、シトラシー、コンフィー、チアリー

 

 

 

タイムとミツバチのご縁

タイム

10月も末となりましたが、まだまだスカッとした秋晴れが続かない季節の変わり目。花粉症?鼻風邪?そんなあなたには、またReactionはいかがでしょうか。殺菌作用のある成分を含みますので、風邪やインフルエンザによる咳やのどの痛みにも利用できます。お茶は飲んでも良し、うがい薬として利用することもできます。紀元1世紀に活躍したローマの医学者ディオスコリデスが「タイムとはちみつをあわせたものは胸から痰を排せつする助けをし喘息を治す」と勧めるように、今日は蜂蜜を入れて差し上げましょう。お茶を待つ間、今日のお話はリアクションにも配合されているタイムと素敵な結びつきのあるミツバチのお話をしましょう。

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まず一つ目は「タイムとミツバチの刺繍」のお話です。

時は中世11世紀、ヨーロッパではカトリックの聖地でもあるエルサレムをイスラム勢力から奪還することを目的に十字軍の遠征が始まります。東ローマ皇帝は当時のローマ教皇に援護を依頼、教皇は集まったフランスの騎士たちに向かって「乳と蜜の流れる土地カナンを奪還しよう!」という旧約聖書由来の言葉で彼らの心を掻きたてました。しかしこの遠征、ローマ教会の「神の正義のもと」はただの建前で、西側各国の国王諸侯、商人、農奴らが東方の豊かな土地と経済力に対してそれぞれの欲と野望で攻め込んで行った、無秩序でグダグダな進軍だったのですが…。そんな夫や恋人を戦地に送り出す女性たちはタイムの葉や小枝を贈ったり、彼らのシャツの襟やスカーフに「タイムとミツバチ」を刺繍したというのです。なぜ「タイムとミツバチ」だったのでしょう。

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タイムは…ギリシャ神話より。大神ゼウスの企てた「増え過ぎた人口は大戦で半減すべし‼」という恐ろしい計画に端を発し、トロイアの王子パリスが毎度お騒がせなアフロディテにそそのかされ、スパルタ国王の王妃であるヘレネーを略奪したことでトロイア戦争が勃発します。長い闘いの末にパリスが命を落とした時、ヘレネーはパリスとすべての勇敢な戦士達を偲んで涙を流します。その涙の一つからタイムが、もう1つからはエレキャンペーンが生えたというのです。(トロイア戦争はいろいろな神や女たちが勝手に頭を突っ込み、目的も見失って下らない闘いを延々とつづけたのですが、十字軍の遠征はこの神話の再現の様に酷似しているのが面白い!)

こうしてタイムは「勇者の印」「勇気の証」と伝承され、古代ローマの兵士たちは勇気を鼓舞するためにタイムの香油を入れた風呂に入ったといいます。当時「あら素敵♥、タイムの香りがするわ💕」というのは男性に対する最高の褒め言葉だったようです。

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一方のミツバチ。古代エジプトでは黄金色に輝く甘く栄養価の高い蜂蜜は奇跡の食べ物とされ、「太陽神ラーの涙」とまで崇められていました。そして女王蜂を中心に大きな家(巣)で大家族を作る蜂は繁栄の象徴、幸運の象徴、貯蓄の象徴とされ、女王蜂の姿は歴代エジプト王座のシンボルとして使われました。その流れから「ミツバチ」はヨーロッパではラッキーアイテムとして様々な装飾品やお守りのモチーフに使われてきました。

そして十字軍遠征でキリスト教徒の心を掴んだ「乳と蜜の流れる土地カナン」というキーワードにミツバチの重要性が隠されています。この言葉は旧約聖書「出エジプト記」の中で、モーゼに率いられてエジプトを脱出したイスラエルの民が、神が約束した「乳と蜜の流れる地」であるカナン目指したのです。旧約聖書の時代、滋養のある食品、乳や蜜は肥沃な土地、恵みと豊かさのシンボルでした。そして蜜を取るミツバチもまた神に下された大切な生物だったのです。

 

 

 

 

 

ちなみに西洋でミツバチの他にラッキーチャーム、いわゆる縁起物とされるアイテムは、卵(宇宙の始まり、キリスト教では復活の象徴)、蛇(神の使い、特に2匹が互いの尾をくわえたウロボロスの意匠は∞永遠の象徴)フクロウ(神の使者、知恵の象徴)、蜘蛛の巣(運を捕らえる)、カエル(命の再生、健康と繁栄)などがあります。

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こうしてラッキーアイテムのミツバチと勇者の印であるタイムは、戦場へ旅立つ者への祈りをこめて一針一針刺されていたのです。

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2つ目は「タイムとミツバチのGive&Take」、上手に持ちつ持たれつ生きている、自然界のシステムについてお話しましょう。

タイムは地中海沿岸原産のシソ科のハーブで温暖なヨーロッパとアジアに自生します。約300以上もの種からなるグループがあり、上に伸び上がるタイプとカーペット状に広がるタイプがあります。基本種のコモンタイム(Thymus vulgaris)は立ちあがるタイプで、古くから料理や薬用とされ日本名はタチジャコウソウ。

初夏から秋にかけて咲くタイムの花は、雄花の時期と雌花の時期がある雌雄異熟というタイプです。まず雄花として開花しますが、雄しべが花粉をつけている間の雌しべは閉じていて自家受粉を避けています。そして雄しべは花粉がなくなると枯れ落ち、そのタイミングで雌しべの柱頭の先が開いて雌花となり、これで受粉可能状態。これは近親交配による遺伝的組合せのバリエーションの低下で種の存続の危機を避ける為です。ミツバチや蝶が花に潜ってモゾモゾと無我夢中で蜜を吸っていると頭や背中にはたっぷり花粉が付き、そのまま移動すると本人が知らない間に運び屋をやることになります。この作戦、虫に花粉の運搬を任せることで自分の遺伝子を出来るだけ拡散したり、優秀な子孫を残す為に植物が仕組んだ秘策なのです。

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ミツバチや蝶にとって、タイムは運び屋代行の代償と美味しい蜜をいただけるだけではなく、プラスαのメリットがあるのです。

タイムはフェノールの一種で強い抗菌・防腐作用を持つチモール(thymol)という有機化合物を多く含みます。この作用から古代エジプトでミイラを作る時に使われたり、冷蔵庫のなかった時代には大切な天然の保存料として食品を守りました。紀元前1世紀のヒポクラテスもその殺菌効果を書き残しており、中世ヨーロッパで疫病が大流行した時にもタイムは大活躍したのですが、そのエピソードはいつかまたの機会にお話しましょう。

さてさて、その殺菌作用がミツバチにも恩恵をもたらすのです。例えばミツバチの天敵「ミツバチヘギイタダニ」が猛威をふるった時、被害の少ない地域にはタイムが自生していたそうです。ローマの詩人ホーレス (65 BC – 8 BC)は、紀元前一世紀のローマで、既に養蜂の為にタイムを栽培していることを書き残していますので、その頃から養蜂家の間ではタイムが大切な植物とされてきたことがわかります。

現在もタイムから取れるチモールは、ダニに対して効果的であると同時にミツバチに高い安全性があることも 確認されていて、ハチにとっても養蜂家にとっても有りがたい天然の薬として使われているのです。

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この時期、まだ花を付けているタイムを見つけたら観察してみてください。花に潜って背中に花粉を背負っているかわいいミツバチをみつけたら、トロイア戦争と十字軍、遠い昔のから騒ぎに思いを馳せてみてください。

 

 

女神と,たくさんの父達と,血走った目

アイブライト

涼風と共に空の青も透明感のある濃い瑠璃色へ変わってきたこの頃、自然の中でお茶を飲むのも気分が良いものです。それなのに…春と同様、秋もティッシュ片手に窓を閉め切って過ごさなければならなくなるあなたには、今日からReactionを毎日差し上げてみましょう。炎症が起こる前から、が鍵です。今日はそのリアクションに入っているアイブライトにクローズアップです。

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アイブライトは北ヨーロッパ原産のゴマノハグサ科、半寄生の一年生植物です。牧草地や荒れた土地に生えているイネ科やカヤツリグサ科の植物の根から養分を吸い取って成長し、夏から秋にかけて淡い紫を帯びた白い唇形の花(1~2cm)を咲かせます。小さな米粒のような花から和名は薬用小米草(やくようこごめぐさ)。日本で多くのコゴメグサの変種が東北から九州までの山間部の草地に生息していています。

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アイブライトの学名(Euphrasia officinalis)は、ギリシャ神話の「三美神(カリテス)」の一人、エウプロシュネに由来。ちなみにカリテスはカリス(女神)の複数形、ギリシャ語で神の恵みとか恩恵を意味する語、巷で耳にする「カリスマ」の語源です。

アイルランド地方には「盲目の少女が毒草に触れそうになった時、エウプロシュネがとっさに魔法を使って目が見えるようになる薬草に変えた」という言い伝えがあります。

三美神はゼウスの娘達ですが母親は諸説ありますがエウリュノメもしくはヘラとも…神様の世界、そのあたりあまりこだわりがないのでしょう。エウプロシュネ(祝祭、喜び)、タレイア(花盛り)、アグライア(光輝)の3姉妹は愛と美と生殖の女神アフロディテの侍女として仕え、神々の宴で優美な輪舞を披露するのがお仕事。ボッティチェッリやラファエロ、カノーヴァなどなど多くの絵画や彫刻のモチーフになっています。

三美神に関しては相反する「愛欲」と「貞節」に「美」が調和もたらしている女性の内面を表現している、とかなんとか異説だらけです。並び順にも統一がなくギリシャ神話にも無関係、これはどうも単に作品に後付けされた解説なのでしょう。         多くの作品は3人揃って大胆な全裸 (神の世界はおおらかです)で踊る姿が描かれていますが、レオナール藤田(嗣治)の三美神はそれぞれの様子が全く異なり、一人ずつの個性をわかりやすく見せています。三美神の作品を見かけたら、どれが誰で、何の象徴なのか想像を巡らせつつ裸体鑑賞、美術鑑賞をするのも芸術の秋にはまた一興かもしれません。

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太古よりアイブライトは心を研ぎ澄まし霊力を高めるハーブと考えられ、目を閉じて抽出液を浸した布を瞼に載せると相手の嘘を見抜けると信じられていました。

薬として紀元前一世紀、眼の感染症に初めて、古代ギリシャの植物学の父テオプラストスが目薬として処方した記録が既に残されています。同時期、医学の父ヒポクラテスや、ちょっと若い薬物学の父ディオスコリデスも「目にはアイブライト!」と記しています。

ちなみにテオプラストス、本名はティルタマス。学者仲間だったアリストテレスとプラトンが彼の理路整然とした弁論術を称えて神(テオ)のごとく語る(プラストス)という意味でつけたニックネームだったのです。実は当時の著名な学者達は皆、「あだ名」や「ペンネーム」で活動していたようで、あだ名を付けたアリストテレス本人も、そもそもが本名ではなかったようです。

時代は下り16世紀後半のイギリス、エリザベス1世の時代にはアイブライト・エール(ビールの一種)が飲み物として流行していたり、喉風邪の薬としてアイブライトのタバコが喫されていました。17世紀、博物者で医師で修道女、ドイツ薬草学の母ヒルデガルドの提唱で、疲れ目から白内障まで「目でお困りの時はアイブライト」と周知されていきました。

当時の詩や小説にはアイブライト入りの白ワイン、紅茶、シチューを飲むシーンやアイブライトの洗眼・点眼薬が出てきます。不朽の傑作と謳われたイギリスの一大叙事詩『失楽園』の中では、禁断の実を食べて楽園を追われ失明したアダムに対し、『大天使ミカエルはアダムの眼をアイブライトとルーで洗い流し、光をとり戻させた』とあります。しかし作者ジョン・ミルトン自身は作品書く前に視力を失っていたそうですから、アイブライトに失明を治す効果はないのでしょう。       イギリス植物療法のカルペパーは、「もしアイブライトがもっと利用されれば、眼鏡屋の半分は倒産していただろう」と書き残していて、フランスではCasse Lunette「めがねの壊し屋」という別名も持っているほどでした。

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さて、古代医療から中世まで延々と多くの医科学の父と呼ばれる人たちが、ハーブを使う根拠としていたのは、「植物の色、形、生育場所などが、似た臓器や作用に関係がある」という説。アイブライトも白い花びらの中に黄色の斑と紫色の脈が浮かんでいる様子が、疲れて血走った目に似ていることから目を癒す効果を与えられていると考えられていたのです。

この「見た目の特徴と効能」の考え方は、16世紀初頭、医師で錬金術師であるパルケルススがDoctrine of Signature(象形薬能論)として確立した理論は、「神はあらゆるハーブの姿形にその作用や効能を表すヒントを標し与えているのだ」と、一般民衆にわかりやすい言葉で植物と化学が結び付けました。              奇しくも漢方にも植物と人体を結びつける「相似の理論」という似た考え方があります。現代人としては化学的にどうなのかな?と疑問を感じますが、あながち的外れでもないのです。 確かにアイブライトには消炎効果、収斂効果、毛細血管を強化し、血流を改善する効果、強力な抗酸化作用がある成分が確認されていて、目だけでなく鼻や喉のカタール症にも使われています。ほかにも、胆汁と同じ黄色い花のタンポポや黄色いウコン、丸い葉の形が子宮頚部に似たレディースマントル、葉が病気に侵された肺に似た形をしているラングウォートや二葉に別れたイチョウ葉、擦ると赤い血のような液が出るので外傷に良いとされるセントジョーンズウォート、脳に似た形のクルミやイチョウ葉など形と効能が一致するものも少なくないのです。

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偶然なのか神が与えた必然なのか… 臓器や体の部位に似た形を持つハーブ、意外に多くあるものです。散歩や山歩きのついでに見つけてみませんか。

 

美容マニアのローゼルフラワー

ローゼル2

猛暑日続きの夏でしたが急に気温が下がり、夏の疲れが出ていませんか。きょうはクエン酸とビタミンCたっぷりのルビー色のお茶、ハイビスカスとローズの花弁、蕾、実などを合わせた「クラッシー」を入れましょう。まだまだ暑さが残る午後はアイスで飲むのが最適ですが、今夜のように安らぎを感じる夕べには、ぜひホットで。

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今日の主役は「クラッシー」の赤の主役ハイビスカス。といっても、フラダンスやアロハシャツをイメージする南国に咲く園芸、鑑賞用の大輪の花Hibiscus rosa-sinensi)ブッソウゲ (仏桑華)とは異なる種、ローゼルフラワー(Hibiscus sabdariffa)。小ぶりな白または薄い黄色の花は中心部にむかって濃いワインレッド色、茎は紫色の物が多いです。

ちなみに「ハイビスカス」はエジプトの女神「ヒビス」に由来、という情報は誤りです。(ヒビスという女神はいません) ハイビスカスという単語はもともと、紀元後1世紀の植物学者ディオスコリデスがタチアオイにつけた名前でしたが、多種多様なアオイ科の園芸種群全体を指す総称となってしまいました。

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ローゼルフラワーの原産地はエジプト南部のアスワンで9-11月頃に開花します。赤く熟して肥厚した萼を(苞も一緒に使う場合があります)を乾燥させてお砂糖と一緒に煮た「カルカデ茶」が3000年~4000年も昔から飲まれており、種子や葉は食用、茎は繊維に利用されていました。

ローゼル1

シルクロードを経てアジア諸国にも伝来し、生薬名「洛神花(ロウシエンファ)」として中国や台湾でも薬として、お茶やお菓子にも使われています。

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現在でもカルカデ茶はアフリカ大陸の北西部で日常的に飲まれていて、カイロなど大きな市街地のカフェでもお茶といったらカルカデ茶、特にアルコールを飲まないイスラム系の方たちは朝も昼も夜もカルカデ、結婚式の乾杯もグラスに注がれているのは真紅のカルカデ茶なのです。

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カルカデの赤色はアントシアニン系色素(ポリフェノールの一種)で、強力な抗酸化作用とACE阻害作用があり高血圧症や心臓病に効果があるとされています。梅干しや赤紫蘇と似た味がするのもそのはず、同じ植物酸(クエン酸や、リンゴ酸など)を含んでいます。ミネラルも多く含むので代謝を促し疲労回復や細胞の再生を促す天然のエナジードリンク、美容ドリンクといえます。特にカルカデのクエン酸がローズヒップの豊富なビタミンCの吸収を高めるので、この2つのハーブはゴールデンコンビといわれています。

 

また糖分と一緒に摂ると筋肉に貯蓄型の糖(グリコーゲン)素早く補充できるので、お砂糖と煮るというのは疲労回復の為に理に適った飲み物だといえます。古代エジプト時代にピラミッドを積み上げた労働者たちも、疲労回復と水分補給のためにカルカデ茶が振舞われたといわれていますし、伝説のマラソンランナー、エチオピア出身の裸足の英雄、アベベ選手はマラソン中の水分補給にカルカデ茶を飲んでいたことで有名です。

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古代エジプトの富裕層は男女を問わず美容に関する関心が非常に高く、男性も肌艶を良く見せるオレンジ系のファンデーションを塗り、アイメイクとマニキュアも施すのが普通だったようです。アイシャドウやアイラインは目力を際立たせる効果も狙っていたとは思われますが、緑色のマラカイトは毒性があるので虫除けや魔除けに、碧いラピスは日よけ効果があると信じられ、これらの石を砕いて膠と混ぜて塗っていました。また既にウィッグの技術も進んでおり、男女どちらも様々なヘアスタイルを楽しみ、宝石の髪飾りにも凝っていました。クレオパトラのあの特徴的なボブスタイルもカツラだったという説が有力です。驚くことにエジプト王家の墓から金の糸がたくさん発見され、当時すでに肌の張りを蘇らせる美容整形、金の糸を埋め込むフェイスリフトが行われていたことがわかったそうです。

紀元前69年、この古代エジプト最後のプトレマイオス朝の王女として生まれたクレオパトラⅣ世が比類なきビューティーマニアになるのも当然です。バラの香油やミルク、死海の塩を入れたお風呂を楽しみ、蜂蜜と蜜蝋と砂糖を練り合わせたワックスや青銅の剃刀でムダ毛の処理し、肌や髪、爪はオリーブ油やごま油、バラの香油やアロエの搾り汁で保湿。また美容に良い食品にもこだわり、蜂蜜やローヤルゼリー、デーツ、ルッコラ、ゴマ、豆、モロヘイヤなども各地から取り寄せて積極的に食していましたが、究極は真珠です。クレオパトラはアントニウスと富と権力を競い合う晩餐会で自分のイヤリング、大粒のパールを一粒砕いてワインに入れて飲みほして見せたというエピソード。真珠には美容に効果的なミネラル類や、アミノ酸などが豊富に含まれていますので、この場のパフォーマンスとしてだけでなく日ごろから飲んでいたのかもしれません。

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クレオパトラが美容にもよいカルカデ茶を飲んでいなかったはずはないと思いますが、庶民や奴隷と同じカルカデ茶をそのまま飲んでいたとは考え難いとは思いませんか。もしかすると彼女が何よりも愛した高価なバラやローヤルゼリー、豪奢の極みである真珠の粉を加えたスペシャルドリンクを飲んでいたのかも…と想像が膨らみます。

夏は怪談

 

アコナイト夏休み真っ盛り、今年の酷暑は特別です。こんな暑い午後にはミントのお茶をオンザロックで。 口の中からスーッと涼やかになり、暑さ負けでムカムカ、食欲がない時も助けてくれます。でも今日はミントのお話ではなく、ホーチュラスでは扱っていない毒草のお話です。

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雑司ヶ谷四谷町の御先手組同心、民谷家のひとり娘、岩の婿として養子に入った伊右衛門は、やがて新しい仕官の口に目がくらみ、上司である与力の伊東喜兵衛が孕ませた妾と一緒になることを画策。邪魔になった岩はおりしも産後の肥立ちがよくない。伊右衛門は血の道の薬と称して毒を飲ませ、けなげにも飲みつづける岩、やがて目は腫れあがり髪の毛がばさっと抜け落ち、見るも無惨な苦悶の表情で絶命…裏切られたことを知ったお岩さん、怨めしや不実な夫を祟り殺したのでした。

歌舞伎や落語で語られるこの「東海道四谷怪談」は勿論フィクションで、史実としてのお岩さんは美人で働き者。夫の伊右衛門さんと仲睦まじく、格式は高いものの経済的には困窮していた田宮家をなんとか支えるべく屋敷神を信仰しながら奉公に励み、お家は立派に再興した。この噂を聞き付けた人々が田宮家の屋敷神を参拝に訪れるようになった。ということです。これが現在、新宿区四谷左門町の元田宮家の住居跡にある「お岩稲荷」に刻まれた由来です。

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いつ世も、人の成功は世間の妬みを買うもの、田宮家の美談を嫉んだものか、武家社会に対する町民の皮肉なのか…怨霊話にすり替えられまことしやかな俗説として流布された噂。鶴屋南北はこの噂話と当時実際に起こった殺人事件からヒントを得て『東海道四谷怪談』を書き上げたとされています。脚本では田宮家に配慮し、お話の舞台は雑司ケ谷四谷の民谷家とし、さらに田宮又左衛門を元赤穂藩士、妾を押し付ける与力を吉良家家臣と設定し、この怪談話を「仮名手本忠臣蔵」のスピンオフとして交互に場面転換する形で上演されました。1825年 (文政8年) 江戸は中村座での初公演を記念して7月26日は「幽霊の日」だそうです。

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余談が長くなりましたが、怪談話でお岩さまが飲まされた毒薬が今日の主役、「附子(ぶす)」でした。附子の毒は舌がしびれ呼吸困難や麻痺などを起こさせ、お岩さんさながらの形相で死に至らしめる…ここから「ブス」という言葉が現代も独り歩きしています。

「附子」は、花の形が舞楽の装束で被る鳥兜に似ていることに由来した毒草トリカブトの根から取れます。トリカブトの毒成分はジテルペン系アルカロイドの一種アコニチン、青酸カリの10倍の威力を持ち解毒剤がないので一度致死量を口にすると確実に死に至らしめるつといわれる猛毒中の猛毒、植物界最強の毒と言われています。トリカブトの毒は根に最も多く茎、葉、花、蜜を舐めるは危険です。*****「附子」といえば教科書にも載っている狂言の「ぶす」。一休さんのとんち話「水飴の話」と同じく鎌倉時代に編まれた『沙石集』という仏教説話を基に作られていますが「舐めると死ぬ毒」という意味で「附子」というラベルを貼ったというくらい有名な毒の代名詞だったことがうかがえます。

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遡ること「古事記」や「日本書紀」によるとヤマトタケルノミコトの息子はじめ多くの皇族や豪族がこの毒を盛られたり毒矢で殺されています。その後綿々と続く忍びの世界でも重要な武器として伝えられていますが、アイヌ民族も古くからトリカブトの根を煮詰めた毒を塗り込んだ毒矢を狩猟に使っていたという記録が残っています。ちなみに、現在の静岡県東部はかつて「駿河」と呼ばれていましたが、この地域にもトリカブトが群生していたためアイヌ語でトリカブトを表す「スルク」が語源とも言われています。またその駿河の国の富士山、今も落岩の音が絶えない立ち入り禁止の危険地帯「大沢崩れ」にはトリカブトが多く自生しているとか。「附子」からブシ→フジ→富士山という一説もあります。

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ぶすとぶし。これは毒で使う時は「ぶす」、薬で使う時は「ぶし」と読み分けているのです。漢方では今でも鎮痛・強壮・昂奮・新陳代謝向上の生薬として用いていますが、これは弱毒処理(修治)されています。さらにトリカブトの子根を用いたものが附子(ぶし)、母根を用いたものを烏頭(うず)と区別しています。

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7月から9月の暑い時期に花を咲かせるこの毒草、英語名はアコナイトまたはアコニット(Aconitum napellus)。ギリシャ神話の中からすでに毒薬の代名詞にもなっていて、ヨーロッパからインドにかけて黒い伝説、不吉なエピソードが多く語り継がれてています。こちらはまたいつかお話しすることにいたましょう。

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げに恐ろしきは人の怨み、妬み、嫉みに逆恨み…

最近、体調が悪かったり髪が抜けたり…もしかすると最近ビールの苦さがきわだってきていたり…

…人の恨みに心あたりがありませんか?

 

 

パッションフラワーはメカニカル

passion-flower-   梅雨明け前から気圧の乱高下、いよいよ猛暑の夏本番です。寝つきが悪い、あちこちに痛い、気分がアップダウン…していませんか。今日はパッションフラワーの入ったPillowを淹れましょう。お休み前の心と体を穏やかに整え、良い睡眠に入るお手伝いをします。すっきりした干し草の香りはどんなハーブにもよく馴染み、冷やしても美味しく召し上がれます。もし痛みを感じていらっしゃるなら是非ホットで召し上がって下さい。

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 ここ数年グリーンカーテンを多く見かけるようになりました。ゴーヤと並んで良く使われるパッションフルーツ、この花がパッションフラワーです。原産は南米北部でマヤやアステカ、インカ先住民達は根や茎、葉、花を催淫、鎮静催眠剤としてお茶や煙草にしていました。16世紀以降、キリスト教徒であるスペイン人は次々と中南米を征服していきましたが、磔になったキリストの受難 (英語でパッション) の姿を花の形になぞらえ、布教に利用しました。      一方、純粋で親切な先住民達はこの植物の薬としての利用法を彼らにも伝えます。こうして鎮静のハーブティーとしてスペインからヨーロッパに中に広まり、現在臨床的に不眠、神経症、てんかん、不安緊張症などの薬効が認められていて、ストレス緩和にも利用されています。

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 パッションフラワーは和名トケイソウの仲間で、原種だけでも500種以上、交配種も合わせると千種以上あるようです。どの種類にも実はなりますが、毒性や味の点から食べられる種類はクダモノトケイソウの仲間の数品種、葉や茎が薬用ハーブとして使われるのはチャボトケイソウ(Passhiflora incarnata)だけです

 花の色や形も多種多様ですが、精緻な部品を組み込んだ機械式時計を思わせる造り、残念なことにたった一日で咲ききってしまう一日花であることは共通です。

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 まず目立つのが3本の雌しべ、その下が5本の雄しべ、文字盤には糸状の派手な副冠(花弁の装飾)がひらひらと華やかに広がり、ハチやハチドリを呼びよせるのに十分魅力的です。その下には5枚の花弁と五枚のガクが同じ色、形、質感で交互に並んでいます。まるで見分けがつかず花弁が10枚あるように見えます。

 蜜腺は花の中ではなく葉の根元とつぼみの顎にあり、目聡いアリが集まります。アリは甘い蜜をいただく代わりに、害になるガやクモ、毛虫の卵や幼虫を捕まえて恩返しをして帰るというGive & Take、なかなか巧みな仕組みです。

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 興味深いのは、械仕掛けを思わせるような動きを見せる雄しべです。雄しべは開花という一大イベントの間、盛り上げ役のように先端の膨らみ部分をクルックルッと回転させています。これは、お調子者だからなのではなく、ハチを待つ間に花粉を落としたり飛ばしたりしてしまわぬように気温や湿度、風の強さや日当たり具合を見ているかのようですが…短い命、受粉の仲介者を待って子孫を残していくのはなかなか容易ではありません。

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 ほとんどのパッションフラワーは異なる種類の花粉でしか結実できません。これはより強くて丈夫な子孫を残す為、近親交配によを避けるプログラムが組み込まれているからなのです。

しかし日本で最も栽培されているエドリュス種は、自分と同じ種類の花粉で実を付けることが出来るので一株だけで実が楽めます。驚くべきは、その中に時折人の手もハチの力も借りず、自力で実を付けることができる花が現われるということです。雄しべが上向きの時に合わせて、雌しべがまるでクレーンのアームを下げるかのようにグーッとお辞儀をして見事に受粉完了!これもまた機械仕掛けのようです。   存続の危機を察すると動くのか、気分で動くのか、どんなプログラムが隠されているのかまだ全ては解明されていません。

パッションフルーツ農家の方のお話では、同種で受粉できるエドゥリス種にも異種をかけ合わせたほうが大きくて美味しい実になるということです。実が全然ならないという株も、ほったらかしでもたくさん実を付けるよという株も、今年は異なる株を用意してピンセット片手に受粉作業を手伝ってあげれば、飛び切り美味しい実が楽しめそうです。大きめの株を買えば7月半ばからでも間に合います。

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 意外に街中でも多く見つけられるパッションフラワー、運が良ければ開花の瞬間にカチッという小気味よい音が聞けます。ぜひ身近に咲く花がどんなタイプなのか、メカな造りや動きは観察する価値がありそうです。パッションフラワーで暑い夏をエコにクールに、楽しく過ごせますように。

 

ラベンダー いつからこんなに

ラベンダー空も気分も鬱々としてしまう梅雨の季節は、ラベンダーの入ったお茶を差し上げましょう。他のハーブ達と混ぜることでちょっと癖のあるラベンダー特有の香りも味も一人目立ちすることなく優しく調和しています。ちょっと蒸し暑い日には濃いめに淹れ、氷の上に注ぎます。

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南フランス、プロヴァンス地方のラベンダー畑は「死ぬまでに見たい世界の絶景」の1つにも挙げらますが、北半球の各地で美しいラベンダーの花が見頃を迎えていることでしょう。

2015年の現在、ラベンダーの香りは身の回りのあらゆる製品に使われていますが20年以上もトイレの芳香No1の座に君臨し続けているそうです。初代の女王キンモクセイのその後を思うとラベンダーの将来がとても不安です。

江戸後期に蘭学者たちによって、気鬱と消化の薬として処方られていたラベンダーが、いつから日本の生活にこれほどまでにおなじみの香料になったのか遡ってみましょう。

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1930年代後半、日本の香料会社2社がほぼ同時期に伊豆と札幌で栽培と精油の蒸留を始めます。精油が国内に出回ることはほとんどなく、両社ともに輸出で大成功していました。しかし1970年代、合成香料の技術進歩と安価な他国製品に押されて日本のラベンダー栽培は衰退します。

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1975年、一面紫色に煙る富良野のラベンダー畑の写真がJR (当時国鉄) のカレンダーに使われると日本離れした風景が一躍話題となり、当時の「北の国から」富良野ブームと相まって、ラベンダー畑は重要な観光資源となります。

その頃、ラベンダーの香りがストーリーの鍵を握る小説『時をかける少女』(筒井康隆著、初出は1965年「中三コース」)が人気になります。この映画化やドラマ化がラベンダーというハーブの名前を若い人たち、男の人たちにも一気に浸透させたのは確かです。

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さて時はさかのぼり、それよりずっと前の時代に「アンの青春」でこの植物の名前に出会った少女達も多かったことと思います。魅力的な初老のミス・ラベンダーが暖炉の棚で薫らせるポプリポット(バラの壺と訳されています)、バラと共に多くのハーブが植えられた庭、ハーブを使ったお料理、全てが想像の世界だった当時、少女たちはどのような香りや風景を思い描いていたのでしょう。もう一度ハーブを数えながら読み直してみませんか。

もう一つ心に残るラベンダーの登場作品を。映画「ラベンダーの咲く庭で」(2004イギリス)もまた中年女性の切ない想いが描かれています。原作はウィリアム・J・ロックの短編集「Faraway Stories」の一編だそうですが、映像に重なる美しい音楽がひときわ印象的でした。

ラベンダーにはいろいろな花言葉が伝えられています。ラベンダーが登場する数多くの小説や映画、それぞれの作者がどの花言葉に着想を得たのか探すのも楽しみの1つです。

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ラベンダーの香りの氾濫とは裏腹に、この香りは苦手、石鹸を口にしているみたいで嫌い、とおっしゃる方も少なくありません。実際、香りの製品には合成香料や、香りの強い種類の精油が使用されています。また残念ながらハーブティーにも香料が足されていることが少なくありません。是非、最も品質が高いといわれる天然のアングスティフォリア種(学名Lavandula angustifola, 真正ラベンダー、イングリッシュラベンダー、コモンラベンダー)が材料として記されているのを確かめ、お試しください。柔らかみのある味と香りは、新しい発見になるかも知れません。

 

お茶帽子をのせて

Welcome  今日からここに

  体がゆったり休める庭椅子と

  掌にぴったとおさまるカップを用意しておきます。

  さあ、今日の気分にぴったりなお茶を淹れましょう。

  ポットの中にお湯を注いだら、薬草たちの力がたっぷり引き出されるまで

  お茶帽子をのせて待つ間、薬草たちにまつわる話でもしましょう

Tender テンダー 滋養強壮ティー

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Tender

Tender テンダーは心身の機能を支える*栄養素を幅広く含むハーブ達を配合した滋養強壮ティーです。病後の回復期や緩和ケア中、虚弱体質や加齢にともなう食欲不振、消化不良、栄養の吸収力不足、貧血、顔色が悪い、冷え、倦怠感、ストレス、活力減退、抵抗力の低下が気になっている方、何となく調子が悪いという不定愁訴でお悩みの方などにお試しいただきたいお茶です。特に血液を元気にするミネラル成分が豊富ですので生理直後の貧血女子にも最適です。

*ビタミンA, B群, C,E, K、ミネラル類(ケイ酸、カルシウム、マグネシウム、カリウム、リン、ナトリウム、鉄、亜鉛、セレン、マンガン、)アミノ酸、食物繊維(ベータグルカン)、植物性ステロール、多糖類、といった豊富な栄養素のほか、スーパーオキシド消去酵素、ケルセチン、アルカロイド、サポニン、フラボノイド、カテキン、タンニン、テルペノイド、セスキテルペン、ステロイドラクトン、ガラノラクトン、クマリンなどいった成分を含みます。

note:

❥ グルテンアレルギーのある方はご注意下さい。(オーツストロー)

❥ シナモンアレルギーのある方はご注意ください。

❥ 妊娠中の方はご使用を避けてください(シナモン、カルダモン)

❥ 胆石、胃潰瘍や逆流性食道炎のある方や抗凝固剤をご使用の方(シナモン、ジンジャー)、

   病気加療中、服薬中の方は医師とご相談のご使用下さい。

 

 

leaf使用量 1杯分(180ml)に対してスプーン1

clock抽出時間は 10分以上を目安にお好みで

cup1日1〜3杯 

∞  蜂蜜を加えても美味しく召し上がれます。

 

内容 

ウィザニア withania somnifera (認定オーガニック インド)

オーツストロー  Avena sativa (認定オーガニック オーストラリア)

ルイボス Aspalathus linearis  (認定オーガニック 南アフリカ)

ジンジャー  Zingiber officinale(認定オーガニック ネパール)

カルダモンシード Elettaria cardamomum (認定オーガニック インド)

シナモンチップ  Cinnamomum cassia (認定オーガニック ベトナム)

ネトル Urtica dioica folia  (認定オーガニック エジプト)

ペオニー  Paeonia lactiflora (ワイルドクラフト 中国)

 

Bonding ボンディング  母乳促進と産後鬱の予防

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Bonding

♠ボンディングはお母様のご使用を目的としています。

母乳を促し、心の安定、産後鬱の予防に役立つ栄養価の高いハーブのブレンドです。産後の数か月はホルモンのバランスが急激に変化する時期ですし、育児や赤ちゃんを迎えた新生活に対する不安や悩みでお母さんの心と体はとてもデリケートです。

穏やかな気持ちで授乳ができると様々なホルモンが刺激され、母体の回復を早め、母性の確立や心の安定、至福感が得られ、赤ちゃんの健全な心と体の発育が促され、母子の結びつきは強まる、するとさらに催乳作用が働くという好循環をもたらします。

直接の授乳が適わなず搾乳されている方の心身ストレスの軽減、母乳の量が減ってきてしまったかな?という方にも最適です。

また、ボンディングに含まれているハーブには血糖値をコントロールする働きがあります。プロセスの使用に適合しない方はお試し下さい。

note

❥ 糖尿病治療薬をご使用中の方は血糖値をさらに下げる可能性があります。医師とご相談の上ご使用下さい(フェネグリーク、ゴーツルー、ネトル)

❥ 妊娠中の方のご使用はお勧めいたしません (フェヌグリーク)

 

leaf使用量 1杯分(180ml)に対して茶匙1杯

     (毎回よく混ぜてから掬って下さい)

clock抽出時間は 3分〜8分、お好みですが長いほど成分がより多く抽出されます

cup1日1〜3杯を目安にお召し上がりください。

   ∞ 蜂蜜を加えても美味しく召し上がれます

 

原材料

フェネル Foeniculum vulgare (認定オーガニック エジプト)

フェヌグリーク Trigonella foenum-graecum (認定オーガニック エジプト)

ルイボス Aspalathus linearis (認定オーガニック 南アフリカ)

ダンデライオンルート Taraxacum officinalis (認定オーガニック ドイツ)

オーツストロー Avena sativa  (認定オーガニック オーストラリア)

ゴーツルー Galega officinalis  (認定オーガニック ハンガリー)

リンデン Tilia Spp (認定オーガニック ポーランド)

ネトル Urtica dioica (認定オーガニック エジプト)

アニシード Pimpinella anisum (認定オーガニック エジプト)

 

 

Gift package ギフトパッケージ

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お誕生日などのプレゼントやちょっとした手土産やお礼にお使いただけるよう、HORTULUSオリジナルのギフトボックスをご用意いたしました。ステッカーとリボンで封をしてお届けいたします。 50gの大きいサイズの袋なら1つ、5gの小さいサイズの袋なら5つから7つ、お入れすることが出来ます。

 

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Process プロセス 糖の代謝と糖化対策

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Process

プロセスは血糖値急上昇の抑制を目指し、膵臓の細胞を元気にしてインシュリン機能を整える、小腸で吸収される糖の量を抑える、筋肉に取り込まれる糖の量を増やす、肝臓で糖が再成されるのを防ぐ、といった目的のハーブを配合してします。

食後の血糖値の急上昇が続くと太りやすくて痩せにくい体質を助長したり、糖化によるAGE*を誘発して肌や髪、骨や爪が老化・劣化したり、脳や血管など全身の細胞の損傷を招いて生活習慣病(糖尿病、脳血管疾患、ガン、心臓病、肥満症、動脈硬化症や高血圧症など)の原因となります。

生活習慣病の予防やアンチエイジング対策を始めたい、ダイエットや運動をしているのにちっとも減量しない、おなかがすくとイライラしてしまう、常時または生理前に甘いものへの強い欲求が抑えられない、という方々にお勧めです。

Processの飲用に適わない方は、似た穏やかな働きが期待できるBonding  ボンディング (マム&ベビーシリーズ)をお試しください。

AGE*(終末糖化産物)とは、糖がタンパク質と結びついて変性を起こす糖化反応によって作られる物質です。タンパク質の劣化や老化(硬化、繊維化、色素沈着)、活性酸素の発生という?強い毒性物質です。血糖値が急上昇すると長時間処理しきれない多くの糖分が血中に浮遊して細胞(タンパク質)との接触チャンスが増加し、糖化が進んでAGEの生成が加速されます。

 

Note 

❥ ステビアアレルギーのある方はご注意ください

❥ 妊娠中、授乳中の方のご使用はお勧めできません

❥ 糖尿病治療薬との併用は相乗効果がありますのでご注意下さい。

❥ミネラルサプリメントをご使用の方は吸収阻害のリスクがありますのでご注意下さい (ギムネマ)。

❥ 出血性疾患、胆石、胃潰瘍、逆流性食道炎のある方、心臓病薬、抗凝血剤などをお使いの方は医師と

ご相談の上ご使用下さい。

 

 

leaf使用量 1杯分(180ml)に対して茶匙1杯

     (毎回よく混ぜてから掬って下さい)

clock抽出時間は 10分〜15分、お好みで.

cup 1日1〜3杯 を目安に 食前、空腹時、または甘いものを我慢したい時などに召し上がると効果的です。 

 §  ホットがお勧めです。胃に温かい満足感が得られ、食欲や甘いものへの欲求を抑えてくれます。

 

原材料

ギムネマ Gymnema silvestre (認定オーガニック インド)

ゴーツルー Galega officinalis (認定オーガニック ハンガリー)

ステビアリーフ Stevia rebaudiana ? (認定オーガニック パラグアイ)

フェヌグリーク Trigonella foenum-graecum (認定オーガニック エジプト)

ルイボス Aspalathus linearis  (認定オーガニック 南アフリカ)

コドノプシス  Codonopsis pilosula(ワイルドフラフト 中国)

ダンデライオンリーフ taraxcum off.Folia (認定オーガニック ハンガリー)

スペアミント Mentha spicata (認定オーガニック エジプト)

コーンシルク Zea mays  (ワイルドクラフト ハンガリー)

モナルダ Monarda fistulosa (認定オーガニック USA)

オリーブリーフ Olea europaea (認定オーガニック クロアチア)

ホーソン Crataegus monogyna (認定オーガニック ドイツ)

ジンジャー  Zingiber officinale(認定オーガニック ネパール)

ローズヒップ  Rosa canina (認定オーガニック 南アフリカ)

 

Tension テンション キレイな血管

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Tension

テンションはつるつるっとした血管の中をスムーズに血液が流れている、そんな理想的な状態を目指し、脂代謝のコントロールを助けるハーブ、抗酸化作用で血中脂質の酸化を防ぐハーブ、血管を丈夫にするハーブ、心身リラックスで血管を広げるハーブ、血圧を安定させるハーブ、血行を促進するハーブを配合しました。

血管壁に脂汚れが付くと血管は詰まりやすくなったり血圧が高まったり、同時に細胞が変性して弾力を失い硬く脆くなります。またストレスなどで血管が収縮したりするとさらにリスクは高まります。血の巡りが悪いと脳から爪先まで様々な症状が現れるだけでなく、命に係わる脳・心臓血管系の病気につながることはいうまでもありません。未病のうちの予防対策を。

Note

❥ 妊娠中の方(ドンカイ、ヤロウ)、出血性疾患(レッドセージ)のある方は使用を避けて下さい

❥ 胆石、胃潰瘍や逆流性食道炎のある方(ジンジャー)、心臓病薬(ホーソン)、降圧剤(レッドセージ、オリーブリーフ)、抗凝固剤(ギンコ、ドンカイ、ジンジャー)との併用は効果を高めるリスク、免疫抑制剤やステロイド剤(アストラガルス)は効果が減価するリスクがありますので医師とご相談のうえご使用ください。

 

leaf使用量 1杯分(180ml)に対してスプーン1杯(毎回よく混ぜてから掬って下さい)

clock抽出時間は 10分〜15分、お好みで

cup 1日1〜3杯 を目安にお召し上がりください。 

   ∞ 蜂蜜を加えたり冷やしても美味しく召し上がれます。

 

原材料

リンデン Tillia sp. (オーガニック ポーランド)

レッドセージ(ダンシェン)Salvia miltiorrhiza (コンベンショナル 中国)

アストラガルス Astragalus membranceus (認定 オーガニック 中国)

ヤロウ Achillea millefolium (認定オーガニック オーストラリア)

ドンカイ Angelica sinensis (認定オーガニック 中国)

オリーブリーフ Olea europaea (認定オーガニック クロアチア)

ホーソン Crataegus monogyna (認定オーガニック ドイツ)

ルイボス Aspalathus linearis (認定オーガニック 南アフリカ)

ギンコ Ginkgo biloba (認定オーガニック 中国)

ジンジャー Zingiber officinale(認定オーガニック ネパール)

 

memo:

血管の壁に脂汚れがこびりつくと血管が硬くなって(動脈硬化)血液の通りがスムーズでなくなり、血圧の上昇を招いたり(高血圧症)、汚れの塊(血栓)が血管を詰まらせたり(脳梗塞、肺栓塞、心筋梗塞などの虚血性心疾患や心不全)、傷ついて弱った箇所が薄くなると裂けたり破けたり(脳出血)、一部だけ膨らんで瘤(動脈瘤、静脈瘤)を作ったりします。心疾患は日本における死因の第2位であり、脳血管疾患は第3位です。脳梗塞や脳出血で障害を受けた部位によっては認知機能が低下したり言語的なコミュニケーションが困難になることもありますし、脳の血行障害は認知症の発症リスクを高めてしまったりと生活の質(QOL)にも大きく影響します。

こういった生活習慣病は月経がある間の女性、つまりエストロゲンの働きに守られている間は男性よりもずっと罹病率が少ないのですが、閉経を迎えた途端に男性に一気に追いついて追い越してしまいますので更年期前後からの注意が必要です。

 

 

Tingle ティングル キリキリッ胃痛

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Tingle

空腹時やストレスに晒されている時に急に胃がキリキリッと痛くなる方、飲みすぎ食べ過ぎが続いて胃が荒れている、神経性の食欲不振、という時の為のお茶です。過剰な胃酸分泌を抑制、胃粘膜の保護するとともに胃の血流を改善、ストレス緩和といった働きを持つハーブを配合しています。これは胃酸の分泌に密接に関連している自律神経にアプローチすることで、辛い症状が徐々に緩和されより早い改善をサポートします。スリッパリーエルム、メドウスィート、マーシュマロウの粘質成分が空腹時の胃粘膜に優しく広がり保護しますので、空腹時の痛む前に召し上がるとこをお勧めします。特にスリッパリーエルムの樹皮に含まれる粘液質成分には毒素の分解、細胞膜の保護といった作用とともに炎症や痛みを抑制しますので潰瘍の予防にも働きます。過敏症の胃腸にも安全です。

喉がイガイガする時にもお勧めです。特に蜂蜜と一緒に摂るとより効果的です。

 

♣ 胃がキリキリ痛む症状は重篤な疾病が隠れている場合がります。

  急性の場合はもちろん、慢性的に続く場合は先ず受診してください。その際、ピロリ菌の検査を是非申し出ることをお勧めします。

♥ 食後の症状、消化不良の不快症状の予防や緩和にはCosy, Crispyがおすすめです。                                                                                          

 

Note*  

❥ キク科の植物にアレルギーのある方はご注意ください(カモマイル)

❥ 処方薬やサプリメントを服用中の方は少なくとも2時間以上開けて召し上がって下さい(スリパリーエルム)

❥ 降圧剤、心臓病薬、ステロイド剤、免疫抑制剤をお使いの方はご注意下さい。(リコリス)

❥ 妊娠中の方、高血圧症の方、心臓病のある方は多量多飲を避けて下さい。(リコリス)

 

 

leaf使用量 1杯分(180ml)に対して茶匙1杯

     (毎回よく混ぜてから掬って下さい)

clock抽出時間は 5分〜10分、お好みですが長いほど成分がより多く抽出されます

      *カップに注ぐ際、粗めの茶漉しを使ってスリッパリーエルム(ベージュ色の粉)の粘質成分を漉し取らずに一緒に摂取ようにして下さい

cup1日1〜3杯 空腹時、痛む時にお召し上がりください。  

 ∞ 蜂蜜を加えても美味しく召し上がれます。

 ただし糖(蜂蜜)はピロリ菌の大好物です。ピロリ菌を保菌している方は糖分の摂取を避けて下さい。

 

原材料

スリパリーエルムパウダー Ulmus rubra (認定オーガニック USA)

メドウスィート Filipendula ulmaria (認定オーガニック ハンガリー)

マーシュマロウ  Althea officinalis (認定オーガニック クロアチア)

リコリス根 Glycyrrhiza glabra (認定オーガニック イタリー)

オレンジピール Citrus riticulata (認定オーガニック ガーナ)

ペパーミントMentha piperita (認定オーガニック エジプト)

カモマイル Matricaria recutita (認定オーガニック エジプト)

カレンデュラ Calendula officinalis (認定オーガニック エジプト)

タイム Thymus vulgaris 認定オーガニック エジプト) 

 

memo:

胃酸過多なのか胃酸欠乏なのか…まず受診をお勧めします

胸やけを伴うと胃酸過多、胃もたれを伴うと胃酸欠乏いわれますが、人にって両方の症状が出たり逆の症状が出る場合もありますので自己判断で胃薬を飲むのは逆効果になる場合もあります。胃や十二指腸の潰瘍、逆流性食道炎、胃ガンなどでも同じような症状があります。まず胃痛の症状がある方は受診して胃酸過多なのか、胃酸欠乏による消化不良なのか、ピロリ菌はいないか、重篤な病気ではないか、これら確認することをおすすめします。

 

Regular レギュラー 腸の環境を整える

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Regular

腸は最大のデトックス器官⋯体の老廃物を最も多く排出してくれる器官です。腸のリズムと環境を整えて規則正しく排泄を促すことは、心身の健康維持と肌美容の基本となるセルフケアです。

レギュラーには強い緩下作用のあるハーブは含まれておりませんので、腸の痙攣や痛みを起こす心配もなく腸の正常な機能を導くお茶です。肝機能を整え汁の分泌を促して腸の働きを向上させるハーブ、食物の消化、栄養素の吸収、老廃物の排泄を促進するハーブ、善玉菌の繁殖や腸の運動促進に有効なビタミンC豊富なハーブを配合しています。水分を含むと粘液質となるスリッパリーエルムが隅々にまで行き渡り、腸管を保護しながら宿便を一掃する役目も果たします。強い緩下剤を使う場合一緒に摂ると薬による痛みや渋りを予防できますし、便秘と下痢を繰り返してしまう方にもおすすめです

また腸は最大の免疫器官でもあります。腸内環境が最適な状態に整っていれば、免疫力の低下や異常な免疫反応を防ぐことにつながります。*プロバイオティックスも一緒に摂るとさらに効果的です。

 

*プロバイオティックスとは 腸で有益な作用を発揮する微生物(乳酸菌、ビフィズス菌、糖化菌、納豆菌、酪酸菌、酵母菌など)を含む食品や製品を指します。

 

Note  

❥ 妊娠中の方にはお勧めできません。(バードック、チコリールート)

❥ 他の薬やサプリメントとは少なくとも2時間以上開けて召し上がって下さい(スリパリーエルム、マーシュマロウ)

❥ 胆道閉鎖、胆嚢炎、腸閉塞、胆石のある方は医師とご相談の上ご使用下さい(ダンデライオンルート)

 

leaf使用量 : 1杯分(180ml)に対して茶匙1杯   (毎回よく混ぜてから掬って下さい。)

 clock抽出時間は 5分〜10分を目安にお好みで

  *カップに注ぐ際、粗めの茶漉しを使うと粘質成分も一緒に摂取できますのでより効果的です

cup1日1〜3杯 食間、空腹時にお召し上がりください。

 ∞ ホットでもアイスでも、蜂蜜を加えても美味しく召し上がれます。

 

原材料

ダンデライオンルート(焙煎)Taraxcum off.radix (認定オーガニック ドイツ)

チコリールート(焙煎)Cichorium intybus (認定オーガニック ドイツ)

ダンデライオンリーフ Taraxacum officinalis (認定オーガニック ドイツ)

バードック Arctium lappa (認定オーガニック イタリー)

スリパリーエルムパウダー Ulmus rubra (認定オーガニック USA)

フェネル Foeniculum vulgare (認定オーガニック オーストラリア)

メドウスィートFilipendula ulmaria (認定オーガニック ハンガリー)

ペパーミント Mentha piperita (認定オーガニック. エジプト)

ローズヒップ Rosa canine (認定オーガニック 南アフリカ)

ハイビスカス Hibiscus sabdariffa (認定オーガニック、エジプト)

マーシュマロウ根 Althea officinalis 認定オーガニック クロアチア)

 

Reaction リアクション  過敏な粘膜症状に

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Reaction

季節の変わり目や気温変化、花粉やほこりに反応して起こるくしゃみ、鼻みず、鼻づまり、喉のかゆみ、咳、目のかゆみや涙、といった不快なアレルギー性の症状の予防と改善を目指すお茶です。免疫力を調整するハーブ、アレルギー性反応を抑えるハーブ、粘膜の炎症やカタール症状を鎮めるハーブ、抗菌作用のあるハーブを配合。予防対策はマスク、うがい、洗顔と、症状が出る前からリアクションを飲み始めるのがコツです。抗ヒスタミン剤と併用しても安全です。鼻風邪の症状にもご利用ください。

 

Note* 

❥ キク科の植物にアレルギーがある方はご注意下さい (エキナシア、カモマイル

❥ 妊娠中の方は多量多飲をお控えください (バイカルスカルキャップ)

❥ インターフェロン治療中の方は医師とご相談の上ご使用ください(バイカルスカルキャップ)

❥ 抗凝固剤、アスピリン等をお使いの方は薬効を高める可能性がありますのでご注意下さい

(エキナシア、バイカルスカルキャップ)

❥ 他の薬剤やサプリメントとは2時間以上開けてご使用下さい (マーシュマロウ)

 

 

leaf使用量:1杯分(約180ml)に対してハーブ茶匙1杯

clock抽出時間:約10~15分を目安にお好みで

cup一日3杯を目安に召し上がってください

 ∞ ホットでもアイスでも, 蜂蜜を加えても美味しく召し上がれます。

  まれに、花粉症のある方の中で蜂蜜アレルギーがある方がいらっしゃいますので蜂蜜のご使用にご注意下  さい。

 

原材料: 

エキナシア根  Echinacea puraprea ( 認定オーガニック ドイツ)

アルビジア Albizia lebbek (ワイルトクラフト インド)

ネトル葉 Urtica dioica  (認定オーガニック エジプト) 

オレンジピール Citrus sinensis (認定オーガニック ガーナ)

アイブライト Euphrasia oggicinalis (ワイルドクラフト ポーランド)

バイカル・スカルキャップ Scutellaria baicalensis (ワイルドクラフト 中国)

ゴールデンロッドSolidago virgaurea (認定オーガニック オーストラリア)

エルダーフラワー Sambucus nigra (認定オーガニック ハンガリー)

カモマイル Matricaria recutita (認定オーガニック エジプト)

マーシュマロウ根 Althea officinalis (認定オーガニック クロアチア)

ペパーミント Mentha piperita (認定オーガニック エジプト)

タイム Thymus vulgaris (認定オーガニック エジプト)

Pillow ピロー 1日の終わりに

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Pillow

1日を穏やかな気持ちで閉じるひと時、ゆったりと1杯のPillow で過ごしてみてはいかがでしょう。穏やかに眠気を誘う作用のあるハーブとリラックス効果のあるハーブを中心に、自律神経を整えるハーブ、不安を鎮めるハーブ、睡眠の妨げとなる消化機能の不全を改善するハーブを配合しています。神経の緊張がほぐれ、体中の筋肉が緩み、呼吸や心拍を整い、気持ちを落ち着かせ、ゆったりと心地よい眠りに… 

疲れているのに様々な思いが頭に散乱したり昼間のイライラを引きずっていたり、理由もないのに不安な気持ちがおさまらない・・・そんな時は明かりを落し、すべての電子機器と頭のスイッチをOFFにし、ピローで良い睡眠を取れる習慣をつけましょう。質の良い眠りは美容と健康の基本です。

♥ 昼間のイライラにはComfyをどうぞ。

 

Note* 

❥ 妊娠中、授乳中の方は使用できません。(ジャマイカンドッグウッド、パッションフラワー)

❥ 眠気を催す作用のあるハーブを配合していますので、車や機械等の運転前のご使用は避けてください。

❥ 睡眠導入薬や睡眠薬、アルコール飲料との併用は効果が増大する可能性があるのでご注意下さい。

❥ キク科の植物にアレルギーのある方はご注意ください (カモマイル)  

❥  抗凝固剤をお使いの方はご注意下さい (カモマイル)

 

leaf使用量:1杯分(約180cc)に対してハーブ茶匙1杯

clock抽出時間:約2~4分を目安にお好みで

cup1日に1杯~3杯を目安にお飲み下さい。

  § ホットで飲むことをお勧めします。

原材料

ジャマイカンドッグウッド 根の皮  Piscidia piscipula (慣行栽培 ジャマイカ

オーツストロー  Avena sativa (認定オーガニック オーストラリア)

パッションフラワー  Passiflora incarnata (認定オーガニック オーストラリア)

リンデンフラワー Tillia sp. (認定オーガニック ポーランド)

カモマイル Matricaria recutita (認定オーガニック エジプト)

ラベンダー Lavandula angustifolia (認定オーガニック オーストラリア)

 

 

Purify ピュリファイ 発汗と利尿作用で代謝アップ

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Purify

入浴前やマッサージ前の1杯として楽しまれると効果的なお茶です。身も心もリラックスさせるハーブ、水分の代謝を促進するハーブ、発汗作用のあるハーブ、利尿作用を持つハーブ、リンパの流れを良くするハーブ、腎機能を促進するハーブなどなどをブレンドし、体液や血液の循環・代謝・浄化、排泄しやすい体を作ります。発汗は交感神を刺激するのでリラックスや多幸感が得られる効果もあり、肌のターンオーバーを促し美肌作りに欠かせません。飲みすぎた翌朝、むくみの解消、膀胱炎の予防にもお役立ていただけます。

 

Note

❥ 利尿作用がありますので他の利尿剤をお使いの方は併用をお控えください。

❥ 妊娠中の方のご使用はおすすめいたしません。(バードック、ヒソップ)

❥ 抗凝固剤ワーファリン、アスピリンなど)服用の方は効果を高める作用がありますのでご注意下さい。(ジンジャー、エキナシア)。

 

leaf使用量 1杯分(約180ml)に対してハーブ茶匙1杯

clock抽出時間 3分~8分 お好みで

cup1日1~3杯を目安にお召し上がりください。

  § ホットでどうぞ。

   ∞ 蜂蜜を加えても美味しく召し上がれます。

 

原材料

ダンデライオン・リーフ Taraxacum officinalis  (認定オーガニック ハンガリー)

コーンシルク Zea mays (ワイルドクラフト ハンガリー)

レディースマントル Alchemilla vulgaris ワイルドクラフト トルコ)

リンデンフラワー Tillia sp. (認定オーガニック ポーランド) 

エキナシア根 Echinacea purpurea (認定オーガニック ドイツ)

カモマイル Matricaria chamomilla (認定オーガニック エジプト)

ゴールデンロッド Solidago virgaurea (認定オーガニック オーストラリア)

ペパーミント Mentha piperita (認定オーガニック エジプト)

ヒソップ Hyssopus officinalis (認定オーガニック オーストラリア)

キャットミント Nepeta cataria (認定オーガニック クロアチア)

エルダーフラワー Sambucus nigra (認定オーガニック ハンガリー)

バードック Arctium lappa (認定オーガニック イタリア)

 

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Guard ガード 抵抗力をサポート

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Guard

疲れやストレス、体力の低下を感じる時は抵抗力も低下しています。ガードは病原菌の侵入を防いだり初期攻撃の段階で戦うあなたの抵抗力をバックアップします。免疫力向上のハーブと心身の耐久力アップのハーブ、免疫力に欠かせないビタミンCを豊富に含むハーブをブレンドしています。風邪やインフルエンザ、ノロウィルスなどの感染症が流行る冬の対策に、また様々な疾患の予防と改善にお役立てください。1日3杯のガードと十分な休養・睡眠で体を守りましょう。

 

Note

❥ シナモンにアレルギーのある方はご注意ください

❥ 妊娠中の使用はお勧めできません (シナモン、バイカルスカルキャップ)

❥ 抗凝固剤(アスピリン、ワーファリンなど)をご使用の方は効果を高める作用があるのでご注意ください。

 (エキナシア、ジンジャー、バイカルスカルキャプ)

❥ 胃/十二指腸潰瘍のある方(シナモン)、胆石、逆流性食道炎のある方(ジンジャー)は医師とご相談の上ご使用下さい。

❥ インターフェロン治療中の方(バイカルスカルキャップ)は医師とご相談ください。

❥ 免疫疾患のある方、ステロイド剤、免疫抑制剤をご使用の方は免疫強化作用があるので避けて下さい。                                             

 (アストラガルス、エキナシア) 

 

 

leaf 一杯分(約180cc)に対してハーブ茶匙1杯 

clock 10分〜15分 これは根のお茶ですのでじっくり蒸らしてください。

cup 1日3杯を目安にしばらく続けて召し上がってください

 ∞ 冷たくしたり蜂蜜を加えても美味しく召し上がれます。

 

原材料 

エキナシア根  Echinacea puraprea  (認定 オーガニック ドイツ)

コドノプシス Codonopsis pilosula  (コンベンショナル 中国)

レモンバーム Melissa officinalis (認定オーガニック ドイツ)

アストラガルス  Astragalus membranaceous (認定オーガニック 中国)

ジンジャー Zingiber officinale (認定オーガニック ネパール)

シナモン Cinnamomum cassia (認定オーガニック ベトナム)

ペオニー Paeonia lactiflora (コンベンショナル 中国)

ローズヒップ Rosa canina (認定オーガニック 南アフリカ) 

ハイビスカス Hibiscus sabdariffa (オーガニック エジプト)

バイカルスカルキャプ  Scutellaria baicalensis (コンベンショナル 中国)

フェネル Foeniculum vulgare (認定オーガニック オーストラリア)

 

 

Comfy  コンフィー 心を鎮めるフラワーティー

C026

Comfy

強いストレスにさらされてイライラ!トゲトゲ!気持ちが波立っている時,ゆっくりと心の整理をしたい時に最適なフラワーティーです。リラックス効果で神経や筋肉の緊張をほぐす作用、情緒を穏やかに鎮めて安定させる作用、ストレスに対処・耐久する力を底上げしてくれるハーブを集めたらこんな素敵なお茶になりました。カップを手にして、どこか懐かしいような清楚な花の香と味をじっくり五感で味わって下さい。まわりに誰かカリカリ、イライラしている人をみつけたら、そっと一杯入れて差し上げてみましょ。

♥ 逆に落ちこみ気分をひき上げたい時はEnhance, お休み前にはPillowをどうぞ。

 

Note 

❥ キク科の植物にアレルギーのある方はご注意ください (カモマイル)

❥ 妊娠中の方のご使用はお勧めしません。(ローズマリー)

 

leaf使用量 1杯分(約180cc)に対してハーブ茶匙1杯

clock抽出時間 2分〜5分を目安にお好みで

cup1日1〜3杯を目安でお召し上がり下さい

  ∞ 蜂蜜を加えたり冷やしても美味しく召し上がれます。

 

原材料

ラベンダー Lavandula angustifolia (認定オーガニック オーストラリア)

ローズマリー Rosmarinus officinalis (認定オーガニック エジプト)

カレンヂュラ Calendula officinalis (認定オーガニック エジプト)

エルダーフラワー Sanbucus nigra (認定オーガニック)

カモマイル Matricaria recutita (認定オーガニック エジプト)

コーンフラワー Centaurea cyanus (ワイルドクラフト アルバニア)

リンデン Tillia sp. (認定オーガニック ポーランド)

Period ピリオド ブルーな日も軽やかに

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Period

生理中のお腹や腰の重苦しさや、ひきつれるような痛み、下痢や便秘、沈みがちな気分・・・こんな時には温かいピリオドを。血行を促進ハーブ、経血をスムーズに排出させるハーブ、冷えを解消するハーブ、子宮や神経の痙攣を抑えるハーブ、整腸作用のあるハーブ、沈みがちな気持ちを支えるハーブがブレンドされています。毎月明るくスルーできますように・・・

♣ 出血量の異常や下腹部の痛みといった症状はなんらかの疾患や妊娠の可能性も疑われますので受診をお勧めします。

  また、少量の着床出血を早めの生理と混同してしまう場合があります。ご注意ください。

 

♥ 貧血気味の時にはTenderテンダー、発育過程(ティーンエイジャー)の生理のお悩みにはGirlsガールズをお勧めします。

 

Note

❥ シナモン、カモマイルなどにアレルギーのある方はご注意ください。

❥ 妊娠の可能性のある方は必ず生理を確認してからご使用下さい。 (チェストベリー、ドンカイ、パッションフラワー

❥ 抗凝固剤(アスピリン、ワーファリンなど)をご使用の方は効果を高めるハーブが含まれていますのでご注意ください。(ギンコ、ドンカイ、ジンジャー)

❥ 炭酸リチウム剤(躁鬱病などの治療薬)をご使用の方は医師とご相談のうえご使用ください。(シャタヴァリ)

 

使用量 1杯分(約180ml)に対してハーブ茶匙1杯

clock抽出時間 5分~10分 お好みで

cup生理中、1日3杯を目安に

 🍵ホットでお召し上がりください。    

 ∞蜂蜜を加えても美味しく召し上がれます

 

原材料

チェストツリーベリー Vitex agnes-castus (認定オーガニック クロアチア)

シャタヴァリ Asparagus racemosa (認定オーガニック インド)

カモマイル Matricaria recutita (認定オーガニック エジプト)

カレンデュラ Calendula officinalis (認定オーガニック エジプト)

レディースマントル Alchemilla vulgaris (ワイルドクラフト トルコ)

ドンカイ Angelica sinensis (認定オーガニック 中国) 

ギンコ Ginkgo biloba (認定オーガニック 中国)

ペオニー Paeonia lactiflora (ワイルドクラフト 中国)

クランプバーク Viburnum opulus (ワイルドクラフト インド)

ジンジャー Zingiber officinale (認定オーガニック ネパール)

リコリス Glycyrrhiza glabra  (認定オーガニック イタリア)

シナモン Cinnamomum cassia (認定オーガニック ベトナム)

パッションフラワー Passiflora incarnata (認定オーガニック オーストラリア)

ペパーミント Mentha piperita (認定オーガニック エジプト)   

 

Pre meno プレメノ 40代になったら

F023

Premeno

40歳が見えてきたら始めたいハーブティーです。

個人差はありますが閉経までの数年は更年期前半戦、プレメノポーズ(ぺリメノポーズ)と呼ばれる時期になります。少しずつ女性ホルモンの低下に体がうまく折り合いを付けてくれるように自律神経を整えていきましょう。動悸や過呼吸、イライラしたり疲れやすかったり、異常な発汗、吐き気や食欲不振、下痢や便秘といった症状に対応するハーブ、心身のストレス対処を支えてくれるハーブをブレンドしています。

「その時」は急にやってくるわけではありません。毎月の生理が順調であってもホルモンのバランスは緩やかに変化し始めます。第二の変調期を快適に過ごすために、PreMeno で心と体のソフトランディングを目指しましょうClassy やMorning もご一緒にどうぞ。 

♠エストロゲン依存性疾患(子宮筋腫、乳腺症、子宮内膜症、乳ガン、子宮ガンなど)の心配がある方はガールズまたはポストメノをお勧めします

 

Note 

❥ 妊娠中の方のご使用は避けて下さい。(ドンカイ チェストベリー ヤロウ シサンドラ)

❥ 抗凝固剤(アスピリン、ワーファリンなど)をご使用の方は効果を高める作用のあるハーブが含まれていますので、ご注意ください。(ギンコ、コドノプシス、ドンカイ)

❥ ステロイド剤、免疫抑制剤をお使いの方は医師とご相談ください (アストラガスル)

❥ 炭酸リチウム剤(躁鬱病等の治療薬)をご使用の方は医師とご相談ください(シャタヴァリ)

 

 

leaf使用量 1杯分(約180cc)に対してハーブ茶匙1杯

clock抽出時間 5分〜10分 お好みで

cup1日3杯を目安にお召し上がり下さい。 

・チェストツリーは毎朝同じ時間帯の空腹時に飲むとより効果的です。1杯目は毎朝食前の同じ時間帯に召し上がることをお勧めします。

・妊娠を希望されている方、妊娠する可能性がある方は毎周期の低温期にのみ継続して召し上がることをお勧めします

  

原材料

ドンカイ Angelica sinensis (認定オーガニック 中国)

チェストツリー Vitex agnes-castus (認定オーガニック クロアチア)

レディースマントル Alchemilla vulgaris (ワイルドクラフト トルコ)

ギンコ Ginkgo biloba (認定オーガニック 中国)

シャタヴァリ Asparagus racemosa (認定オーガニック インド)

ローズペタル Rosa rugosa (認定オーガニック エジプト)

ラベンダー Lavandula officinalis (認定オーガニック オーストラリア)

アストラガルス Astragalus membranaceous (認定オーガニック 中国)

コドノプシス  Codonopsis pilosula (ワイルドクラフト 中国)

シサンドラ Schisandra chinensis (認定オーガニック 中国)

 

Ladies レディース  20代30代の女性に

F022

Ladies

20代30代女性の美と心身の健康を支えるハーブティーです。社会的な活動と共に女性器官の機能が最も重要な年代です。ストレスにも影響を受けがちな心身のバランスとホルモン分泌を安定に導き、排卵や子宮の機能を整えて妊娠に向けた体調管理や、生理不順や生理周期に伴う生理前緊張症や月経困難症といったトラブル改善のお手伝いをします。 焙煎したタンポポとチコリーのコクのあるお茶は毎日のお茶として楽しんでいただけます。

♠ 強い鬱を伴うPMSのある方はご相談ください 

♠ エストロゲン依存性疾患(子宮筋腫、乳腺症、子宮内膜症、乳ガン、子宮ガンなど)がご心配な方はガールズかポストメノをお勧めします

 

Note 

♦ 妊娠中の方のご使用は避けて下さい。(ドンカイ、チェツトツリー、ヤロウ、チコリー)

♦ 炭酸リチウム剤(躁鬱病などの治療薬)をお使いの方は医師とご相談のうえご使用ください。

♦ グルテンアレルギーのある方はご注意下さい(オーツストロー)

 

leaf使用量 1杯分(約180cc)に対してハーブ茶匙1杯

clock抽出時間 5分~10分 お好みで

cup1日3杯を目安にお召し上がり下さい。

 • 毎朝、朝食前の同じ時間帯に1杯目を飲むとチェストツリーの効果が発揮されやすくなります。

  • 妊娠を希望中の方、妊娠の可能性のある方は、安全の為に低温期のみ継続して召し上がることをお勧めします。

 ∞ 蜂蜜を加えても美味しく召し上がれます。

 

原材料

チェストツリーベリー Vitex agnes-castus (認定オーガニック クロアチア)

シャタヴァリ Asparagus racemosa (認定オーガニック インド)

レディースマントル Alchemilla vulgaris (ワイルドクラフト トルコ)

ドンカイ Angelica sinensis (認定オーガニック 中国)

ペオニー Paeonia lactiflora (ワイルドクラフト 中国)

カレンデュラ Calendula officinalis (認定オーガニック エジプト)

コドノプシス Codonopsis pilosula (ワイルドクラフト 中国)

フェネルシード Foeniculum vulgare (認定オーガニック オーストラリア)

オーツ Avena sativa (認定オーガニック オーストラリア)

ウィザニア Withania Somnifera (認定オーガニック インド)

ヤロウ Achillea millefolium (認定オーガニック オーストラリア)

焙煎タンポポ根 Taraxacum officinalis (認定オーガニック ドイツ)

焙煎チコリー根 Chicorium intybus (認定オーガニック ドイツ)

 

 

 

Girls ガールズ 思春期の女の子専用

F021

Girls

初潮前後から成人するまでの発育途中、女の子の心と体は繊細でバランスを崩しがちです。Girls ガールズは生理不順や生理痛、生理周期に伴って起こるニキビや肌あれ、下痢や便秘、吐き気や食欲不振、そして不安定になりがちな心のケアを目指すお茶です。心身の健やかな成長を妨げることなくホルモンバランスをととのえていきます。安心してお召し上がりください。

 

Note

❥カモマイルアレルギーのある方はご注意ください

❥妊娠中のご使用は避けて下さい(ローズマリー、パッションフラワー

❥血圧症の方、心臓病のある方は多量摂取を控えてください。(リコリス)

 

 

leaf使用量 1杯分(約180cc)に対してハーブ茶匙1杯

clock抽出時間 5分~10分 お好みで

cup 1日1~3杯を目安にお召し上がり下さい。

 ∞蜂蜜を加えても美味しく召し上がれます。

 

原材料

ペオニー  Paeonia lactiflora (ワイルドクラフト 中国)

リコリス  Glycyrrhiza glabra (認定オーガニック イタリア)

ハイビスカス Hibiscus sabdariffa (認定オーガニック エジプト)

レモンバーム Melissa officinalis (認定オーガニック ドイツ)

パパヤリーフ Carica papaya (認定オーガニック )

ローズマリー Rosmarinus officinalis (認定オーガニック エジプト)

レモンバーベナ ?Alousia triphylla (認定オーガニック エジプト)

カモマイル Matricaria recutita 認定オーガニック エジプト)

ローズバッズ Rosa rugosa 認定オーガニック エジプト)

カレンデュラ Calendula officinalis 認定オーガニック エジプト)

パッションフラワー Passiflora incarnata 認定オーガニック オーストラリア)

バニラパウダー ?Vanilla planifolia   認定オーガニック インド)
 

 

 

Kid’s Tummy キッズタミー キッズの消化を助ける

K019

Kids Tummy

2歳から12歳までのお子様用のお茶です。お子様は消化機能も未熟な上、ついはしゃいだり気分のノリがよいと食べ過ぎては消化不良を起こしがちです。Kid’s Tummyキッズタミーは、順調な消化を促して栄養の吸収を高め、消化不良によるおなかの張り、胸焼け、吐き気、下痢といった胃腸の不快症状を予防・緩和、胃腸の粘膜を保護するお子様用の食後のお茶です。お子様に適した穏やかな作用のハーブだけをブレンドし、バニラパウダーのほんのり甘い自然な風味で飲み易いお茶に仕上がっています。小さい時から食後は落ちついて食休みの時間を過ごす習慣をつけてあげましょう。もちろん、ご家族何方が飲んでも安心です。

♣お子様が激しく泣く時は重篤な疾患による場合があります。熱や顔色、体の変化や症状などを確かめて受診してください。

 

Note 

❥ カモマイルにアレルギーのある方はご注意ください。

❥ 他の医薬品の吸収遅延を避けるため薬やサプリメントとは2時間以上開けてご使用下さい.(マーシュマロウ)

 

leaf使用量 一杯分(約180cc)に対してハーブ茶匙1/2杯〜すりきり1杯

clock抽出時間 1分~5分 お好みで

cup1日1杯〜3杯を目安に食後にお召し上がり下さい

  ∞ 蜂蜜を加えても美味しく召し上がれます。

 

原材料

カモマイル Matricaria recutita (認定オーガニック エジプト)

レモンバーム Melissa officinalis (認定オーガニック ドイツ)

ペパーミント Mentha piperita  (認定オーガニック エジプト)

フェネル Foeniculum vulgare (認定オーガニック オーストラリア)

バニラ Vanilla planifolia (認定オーガニック インド)

ジンジャー Zingiber officinale (認定オーガニック ネパール)

マーシュマロウ Althea officinalis (認定オーガニック クロアチア)

 

Kid’s Pillow キッズピロー 眠れないキッズの為に

K020

Kids pillow

2歳から12歳のお子様用ベッドタイムティーです。お子様は来客や旅行、お出かけ、またテレビやゲーム、といったちょっとした事でも気持ちが昂ぶって眠れなくなってしまいます。 特に入園、入学、新学期、お引越しといった時期、新しい家族として下に赤ちゃんを迎えたりといった環境の変化がある時期は、健康な眠りに入りにくくなりがちです。 Kid’s Pillow キッズピローは幼い心と小さな体の緊張をやさしく解きほぐし、入眠の障害となる消化を助けて穏やかに眠りへと誘います。毎日続けても安全なお茶ですので規則正しい睡眠習慣をつけるためにお役立て下さい。

♣お子様が激しく泣く時は重篤な疾患による場合があります。熱や顔色、体の変化や症状などを確かめて受診してください。 ?

Note

❥ カモマイルにアレルギーのある方はご注意ください。

❥ 妊娠中のお母様のご使用はお勧めいたしません。(ヒソップ, パッションフラワー)

 

leaf使用量 1杯(約180cc)に対してハーブ茶匙1/2杯~すりきり1杯

clock抽出時間 1分~3分 お好みに合わせて

cup就寝前、1日1杯~3杯を目安にお召し上がり下さい。   

    ∞ミルクや蜂蜜を加えたり冷やしても、美味しく召し上がっていただけます。

 

原材料

リンデン Tillia sp. (認定オーガニック ポーランド)

キャットミント  Nepeta cataria  (認定オーガニック クロアチア)

カモマイル   Matricaria recutita (認定オーガニック エジプト)

レモンバーム Melissa officinalis (認定オーガニック ドイツ)

ヒソップ Hyssopus officinalis (認定オーガニック オーストラリア)

パッションフラワー Passiflora incarnata  (認定オーガニック オーストラリア

バニラパウダー Vanilla planifolia  (認定オーガニック インド)

Lullaby  ララバイ 赤ちゃんの穏やかな眠りに

M018

Lullaby 

授乳中のお母さんが召し上がることで母乳を通して赤ちゃんと二人で効果を共有でき、6か月以降の赤ちゃんには哺乳瓶で直接飲ませることができる安全なお茶です。

赤ちゃんにとっては毎日がはじめての体験や外界から受ける刺激にあふれています。これらは情操を養い知的発育や自我の形成に大切なものですが、神経の緊張や興奮が夜まで残るとなかなか寝付かれなかったり、突然夜泣きを始めたり…母さんも眠くて泣きたくなってしまいます。こんな時は「今日はたくさんのことを学んだんだね、これも知的な発育の過程」と考え、温かいララバイを2人で楽しんでみましょう。静かな環境でお母さんの優しい抱っこと Lullabyが穏やかな眠りに誘います。産後すぐから毎晩の習慣にして続けても安全なハーブのブレンドです。

♣ 赤ちゃんが激しくなく時は重篤な疾患がある場合があります。熱や顔色、体の変化などを確かめて医師の診察を受けてください。

 

Note 

❥ カモマイルにアレルギーのある方はご注意ください。

❥ お母さんが飲む場合、眠気を催す作用のあるハーブを配合していますので車や機械など運転前のご使用は避けてください。

 

 

leaf使用量

 ・お母さんが飲む場合: 1杯分(約180cc)に対してハーブ茶匙すりきり1杯

 ・6か月以降の赤ちゃんが哺乳瓶で直接飲む場合:

            1杯分(約180cc)に対してハーブ茶匙1/3杯〜2/3杯

clock抽出時間 1分〜3分 お好みで

cup1日1〜3杯を目安にお召し上がり下さい

  ♠1歳未満の赤ちゃんが直接飲む場合、蜂蜜を直接摂取することはできません。ご注意ください。

 

原材料

キャットミント Nepeta cataria  (認定オーガニック クロアチア)

カモマイル Matricaria recutita (認定オーガニック エジプト)

レモンバーム Melissa officinalis (認定オーガニック ドイツ)

リンデン Tillia sp. (認定オーガニック ポーランド)

バニラパウダー Vanilla planifolia  (認定オーガニック インド)

Citrusy シトラシー レモン&ジンジャーティーで脳活性

C013

Citrusy

勉強中、お仕事中の気分転換に最適なお茶です。レモン以上にレモンの芳香成分を含むレモンマートルを中心にレモン風味のハーブを集め、一つまみのジンジャーがアクセントになった究極のリフレッシュティーです。肩の力が抜けて気分もすっきり!レモンの香りには脳の働きを活性化し、とくに創造力、発想力や記憶力も向上する働きがあります。また呼吸器の粘膜を緩和する働きがあるハーブを配合しているので、鼻水、鼻づまり、喉のイガイガでイラッとしている時にもどうぞ。

 

Note

❥  抗凝固剤(アスピリン、ワーファリンなど)をご使用の方は効果を高める作用があるご注意下さい。(ジンジャー) 

❥  胆石のある方、胃潰瘍、逆流性食道炎のある方は医師とご相談の上ご使用下さい。(ジンジャー)

 

leaf使用量: 1杯(約180ml)に対してハーブ茶匙1杯

clock抽出時間」1分~3分 お好みで

cup1日1~3杯を目安にお楽しみください。

 ∞ 蜂蜜やレモンスライスを加えたり、冷やしても美味しく召し上がっていただけます。

 

 

原材料

レモンマートル Backhousia citriodora (認定オーガニック オーストラリア)

レモングラス Cymbopogon citratus (認定オーガニック エジプト)

レモンバーベナ Alousia triphylla (認定オーガニック エジプト)

レモンバーム Melissa officinalis (認定オーガニック ドイツ)

モナルダ Monarda fistulosa (認定オーガニック USA)

レモンピール Citrus limon (認定オーガニック ガーナ)

ジンジャー Zingiber officinalis (認定オーガニック ネパール)

 

Post meno ポストメノ  生理終了を迎えたら

F016

Postmeno

ポストメノは、生理が終了を迎えた更年期後半戦、そしてそれ以降の女性の健康サポートを目的にブレンドされています。女性ホルモンの低下の影響を受けて起こる様々なトラブルの予防やスタミナアップ、ストレス対処に対応するハーブを集めました。生理から解放されたらこれからはもっと自由な時間、より美しくより元気に過ごしましょう!!

♥ 女性の美容に欠かせないビタミンCたっぷりのクラッシー,更年期以降増える生活習慣病を予防するテンション、も合わせてお楽しみください。

♣ 更年期障害に似た症状は別な疾患も疑われますので異常を感じる場合は受診をお勧めします。

 

Note 

❥ 心臓病薬(ジゴキシンなど)をお使いの方は医師とご相談の上ご使用下さい。(ホーソン)

❥ 抗凝固剤(アスピリン、ワーファリンなど)をご使用の方は効果を高めるハーブが含まれていますのでご注意ください。(ギンコ)

❥ 免疫疾患のある方、免疫抑制剤をお使いの方は免疫力を向上させるハーブが含まれているのでご注意下さい。(アストラガルス)

❥ グルテンアレルギーのある方はご注意下さい。(オーツストロー)

 

leaf使用量 1杯分(約180ml)に対して茶匙1杯

clock抽出時間 5分~10分 お好みで

cup1日3杯を目安にお楽しみ下さい

   ∞ 蜂蜜を加えても美味しく召し上がれます。

 

内容

レディースマントル  Alchemilla vulgaris (ワイルドクラフト トルコ)

シャタバリ Asparagus racemosa (認定オーガニック インド)

アストラガルス Astragalus membranaceous (認定オーガニック 中国)

ラベンダー  Lavandula angustifolia  (認定オーガニック オーストラリア)

オーツストロー  Avena sativa (認定オーガニック オーストラリア)

パッションフラワー  Passiflora incarnata (認定オーガニック オーストラリア)

カレンデュラ Calendula officinalisv (認定オーガニック エジプト)

ギンコ Ginkgo biloba  (認定オーガニック 中国)

コドノプシス Codonopsis pilosula (ワイルドクラフト 中国)

シサンドラ Schisandra chinensis (認定オーガニック 中国)

セージ  Salvia officinalis  (認定オーガニック トルコ)

ペオニー  Paeonia lactiflora  (ワイルドクラフト 中国) 

ホーソン Crataegus monogyna (認定オーガニック ドイツ)

 

 memo:

閉経以降は自律神経のバランスの崩れから不眠、ほてり、鬱、動悸、胃腸の不調、頭痛、肩こり、血圧の上昇、軽い尿漏れ、心身の疲れといった多彩な身体症状に加えて、イライラ、なんとなく不安、自信の喪失、落ち込みを感じやすくなります。ちょうどこの時期は子供たちの独立、親の看取りなど家庭環境の変化から”空の巣症候群”と重なって更年期症状が強くなるケースも多くあります。

また女性ホルモンが一端を担っていた脳神経細胞の増殖や脳の血流、血中脂質のコントロールなどの働きが一気に低下する為、脳神経機能が鈍化して記憶力の低下や高脂血症、動脈硬化、心臓病、高血圧などのリスクが高まります。45歳までの心筋梗塞の発症率は圧倒的に男性が高いのですが、それ以降、女性が逆転してしまうのも女性ホルモン低下が要因となっているからです。

Crispy クリスピー キリッとミント系でリフレッシュ

C012

Crispy

ミントの香りあふれるクリスピーは清々しい味とキリッと切れのある舌触りで、煩雑な現実から空気の澄んだ別世界へあなたを一気にワープ!

3種類のミントとレモングラス、オレンジピール、カレンヂュラ、ブラックペッパーコーンのブレンドは気分転換はもちろん、上気道のイライラや軽い咳を鎮めたり、頭痛に対する穏やかな鎮痛作用もあります。

また、胃のムカつきを抑える作用や整腸作用、口臭予防にも効果があるので食後のお茶としても最適です。ハーブティーなど無縁という男性にも人気のお茶です。

もう少しミントがマイルドな方が好き、という方にはキッズタミーがお勧めです。

 

Note

❥ 授乳中の方は減乳の可能性がありますので多量多飲をお控えください。(ミント属のハーブ)

 

leaf使用量 1杯分(約180㎖)に対してハーブ茶匙1杯

clock抽出時間 1分~3分 お好みで

cup1日1~3杯を目安にお楽しみ下さい。

  ∞ 蜂蜜を加えたり冷やしても美味しく召し上がっていただけます。

 

原材料

ペパーミント  ?Mentha piperita (認定オーガニック エジプト)

スペアミント  Mentha spicata (認定オーガニック エジプト) 

キャットミント  Nepeta cataria (認定オーガニック クロアチア)

レモングラス  Cymbopogon citratus (認定オーガニック エジプト)

カレンデュラ  Calendula officinalis (認定オーガニック エジプト)

オレンジ・ピール  Citrus sinensis (認定オーガニック ガーナ)

ブラックペッパーコーン  Piper nigrum (認定オーガニック インド)

 

 

 

Liven Up ライブンアップ シニアに活力

S011

Liven up

シニアの脳と体の元気をサポートする為にブレンドされたお茶です。アルツハイマーの予防にも効果を発揮するギンコと認知機能を向上させるバコパを配合し、細胞を守る抗酸化作用、脳の毛細血管から全身の末梢血管の血行促進、心臓や消化器官の働きを補助、脳や神経細胞を活発化、心身のスタミナアップで全身の代謝を高めるハーブのブレンドです。食欲がない、元気がない、なんとなくぼんやりで記憶力の低下が気になる、何も楽しむ気分になれず笑顔がない、軽い尿漏れ、気分が沈みがち…そんなシニア世代の方、高齢者をバックアップ。ミネラルやビタミン豊富で利尿作用がないお茶ですので熱中症対策の水分補給にもご利用ください。心にも体にもイキイキ、明るい気分で1日1度は外へ出てみると何か楽しい発見があるかもしれませんよ!

 

Note

❥ 妊娠中の方が一緒に楽しむことはお勧めできません。(シサンドラ、ローズマリー)

 

leaf使用量 1杯分(約180ml)に対してハーブ茶さじ1杯

clock 抽出時間 5分~10分 お好みで

cup 1日3回を目安にお楽しみ下さい。

 

 

原材料

ギンコ Ginkgo biloba (認定オーガニック 中国)

バコパ Bacopa monniera (認定オーガニック インド)

ホーソン Crataegus monogyna (認定オーガニック ドイツ)

シサンドラ  Schisandra chinensis (認定オーガニック 中国)

ローズマリー Rosmarinus officinalis  (認定オーガニック エジプト)

コドノプシス  Codonopsis pilosula (ワイルドクラフト 中国)

ラベンダー  Lavendula angustifolia (認定オーガニック オーストラリア)

レモングラス Cymbopogon citratus (認定オーガニック エジプト) 

カレンデュラ Calendula officinalis  (認定オーガニック エジプト) 

レモンバーベナ Alousia triphylla (認定オーガニック エジプト) 

レモンバーム Melissa officinalis (認定オーガニック ドイツ) 

パパヤリーフ Carica papaya  (認定オーガニック ) 

ローズヒップ Rosa canina (認定オーガニック 南アフリカ )

タイム Thymus vulgaris (認定オーガニック エジプト)

Kid’s Calm キッズカーム キッズをなだめたい時

K008

Kids calm

2歳から12歳のお子様を対象にしたお茶です。子供は嬉しい事、楽しい事、悲しい事、不快な事、どれに遭遇しても興奮し過ぎてしまいがちです。泣きやまなくなったり、はしゃぎ過ぎたり、おちつきなく走り回ったり、逆に拗ねたりお落ち込んでしまったり・・・なだめすかしてもなかなか治まらない・・・そんな時はまずキッズカームを1杯。お子様の神経の昂ぶりを鎮めて心も体も穏やかに落ち着かせるのを助けます。イベントや旅行中などにもポットに入れて携帯しておくと便利です。小さいうちに公衆マナーを学ぶのも大事なことです。

♣ お子様が激しく泣く時は重篤な疾患による場合があります。熱や顔色、体の変化や症状などを確かめて受診してください。

 

Note 

❥ カモマイルにアレルギーのある方はご注意ください。

 グルテンアレルギーのある方はご注意下さい。

 

 

leaf使用量 1杯(約180cc)に対してハーブ茶匙1/2からすりきり1杯

clock抽出時間 1分〜3分 お好みで

cup 1日1杯〜3杯を目安にお召し上がり下さい

 ∞ミルクや蜂蜜を加えたり、冷やしても美味しく召し上がれます。

 

原材料

キャットミント  Nepeta cataria (認定オーガニック クロアチア)

カモマイル Matricaria recutita (認定オーガニック エジプト)

レモンバーム Melissa officinalis (認定オーガニック ドイツ)

スペアミント Mentha spicata  (認定オーガニック エジプト)

オーツストロー Avena sativa  (認定オーガニック オーストラリア)

バニラパウダー Vanilla planifolia  (認定オーガニック インド)

 

Cosy コージー ノンカフェイン・チャイ

C007

Cosy

紅茶葉の代わりにビタミンやミネラル豊富で抗酸化作用が高いルイボス、肝臓保護や体内浄化にも働くタンポポ根とチコリの根を焙煎したものを贅沢に配合したチャイは,飲み応えのあるコクがありながらノンカフェインですのでお休み前でも安心して召し上がっていただけます。

甘い香りのエキゾチックなスパイスいっぱいのチャイは、リラックス効果とともに基礎代謝を向上させて暑い日も寒い日もエネルギーを保つ耐久力up、血行促進、体内温度up、体脂肪の燃焼効率アップ、美肌作りにも一役かうお茶です。風邪を引きそうな時、寒気・肩こり、体が重だるい、といった時に是非お勧めです。

またスパイスたちには胃腸を整える働きや血糖値の上昇を抑える働きもあるので食後のお茶にも最適です。ストレートでもミルクと煮ても美味しく召し上がれます。

♥ スパイスが苦手な冷え症の方にはWarmをどうぞ。

 

Note

❥ シナモンにアレルギーのある方はご注意ください。

❥ 妊娠中の方は多量多飲を避けてください(カルダモン、シナモン、チコリー、アニシード

❥ 胆石のある方は医師とご相談の上ご使用下さい(ダンデライオンルート)

❥ 胃潰瘍や逆流性食道炎のある方、胆道閉鎖、胆嚢炎、腸閉塞のある方は医師とご相談ください(ジンジャー)

❥ 抗凝固剤(アスピリン、ワーファリンなど)をご使用の方は効果を高める働きがありますのでご注意下さい(ジンジャー)

 

leaf使用量   1杯分(約180ml)に対して茶匙すりきり1杯

        素材の自然な姿がかわいらしいお茶ですが、ゴロゴロしていてまんべんなく掬うのがむずかしい場合は

  すり鉢、ミルやプロセッサーなどで細かく砕くと使いやすくなります。

cup1日1〜3杯

 ∞ ホット/アイスでも、蜂蜜を入れても美味しく召し上がれます

 

*ミルク・チャイの作り方:

1.水を約200cc入れた小鍋にコージーをスプーン1杯加え、水分が 2/3程度になるまで煮詰めます。

2.お好みの分量の牛乳や豆乳、スキムミルクを加えフツフツしてきたら濾してカップに注ぎます。

 

*ストレート・チャイで飲む場合

◊ 水を入れた小鍋で煮詰める

または

clock抽出時間は約15分を目安にお好みで (もしくは、お好みの濃さになるまで煮立ててください)

                                                       

  

原材料

フェネル Foeniculum vulgare (認定オーガニック オーストラリア)

ジンジャー Zingiber officinale (認定オーガニック ネパール)

カルダモンシード Elettaria cardamomum (認定オーガニック インド)

シナモンチップ  Cinnamomum cassia (認定オーガニック ベトナム)

クローブ Syzygium aromaticum (認定オーガニック インド)

スターアニス Illicium verum (認定オーガニック ベトナム)

アニシード Pimpinella anisum (認定オーガニック エジプト)

バニラパウダー Vanilla planifolia (認定オーガニック インド)

ピンクペッパー Schinus molle  (コンベンショナル マダガスカル)

焙煎ダンデライオンルート Taraxacum officinalis  (認定オーガニック ドイツ)

焙煎チコリールート Chicorium intybus (認定オーガニック ドイツ)

ルイボス Aspalathus linearis (認定オーガニック 南アフリカ)

 

 

memo:

冷えは万病の元

冷えは自律神経の失調を招き、頭痛、肩こり、耳鳴り、めまい、倦怠感、吐き気、イライラ、不眠、過呼吸、うつ、といった精神的症状を起こしたり、肌荒れ、血色不良、クマ、腹痛、便秘、下痢、生理不順、PMS、足のむくみ、そしてエネルギー燃焼が低下が太りやす体を作ります。

また人間の理想的な平熱は36.5〜37度といわれていますが、36度を下回ると白血球のバランスが悪くなり免疫力が30%も低下し、さまざまな病気の原因となります。体内温度をしっかり保つということは、暑い日には表皮から熱を発散させ、寒い日には体の芯、内臓の温度を維持しておくことが出来るのです。

 

 

冷えの原因は

冬の寒さや冷房ばかりではありません。夏の冷房や冷たいもののを摂り過ぎで冷えた内臓は、秋から冬までその冷えを抱え込んでしまいます。

またストレスによる血管が収縮や運動不足も低体温の原因となっています。

 

夏も冬もコージーで新陳代謝を活発に

夏の熱いコージーは発汗作用による体内の熱の放出で疲労回復やむくみの解消に働きます。また冷たい飲み物を摂りがちになったり冷房で体が冷えてしまった時に胃腸を温めて整え食欲不振などを解消してくれます。

冬の温かいコージーは、血行促進作用で手足の指先まで温めてくれますので冷え性や肩こりの方にも最適です。内臓の冷えで弱まってしまうの消化機能を助け、また肌の新陳代謝も活発にして血行不良による皮脂不足、異常乾燥の対策になります。

 

Classy クラッシー ルビー色のフラワーティー

C005

Classy

バラの花びら、蕾、実、ハイビスカスとブルーマロウの花を贅沢にブレンドしたフラワーティーは、クレオパトラも愛した高貴な香りであなたを包み込み、呼吸や心拍を穏やかに整えリラックスへ導きます。さらに、コラーゲンの生成や免疫や抗酸化、血行促進、保湿、整腸に欠かせない成分、ビタミンやミネラル、ポリフェノールやクエン酸が豊富で、血行、保湿、整腸、デトックス、リラックス、疲労回復そして、アンチエイジング、美肌作りに役立つフラワーティーです。お口に広がる酸味は熱でも壊れないビタミンCの証。ローズヒップにはビタミンCを熱から守る酵素や栄養素を一緒に含みますので、熱に弱いビタミンも壊さず細胞へ送り届けます。

Note

・特になし。

 

 

leaf使用量 1杯(約180ml)に対してハーブ茶匙1杯

clock抽出時間 1分〜4分 お好みで

cup1日1~3杯を目安にお楽しみください

  ∞冷やしたり蜂蜜やレモンスライスを加えても美味しく召し上がれます。

 

原材料

ローズペタル  Rosa rugosa (認定オーガニック エジプト)

ローズヒップ Rosa canina (認定オーガニック 南アフリカ)

ハイビスカス Hibiscus sabdariffa (認定オーガニック エジプト)

ローズバッズ  Rosa centifolia (認定オーガニック イラン)

コーンフラワー Centaurea cyanus (ワイルドクラフト アルバニア) 

バニラパウダー Vanilla planifolia (認定オーガニック インド)

Colicky コリッキー たそがれ泣きや疳の虫に

M004

colicky

授乳中のお母さんが召し上がることで母乳を通して赤ちゃんと二人で効果を共有でき、6か月以降の赤ちゃんには哺乳瓶で直接飲ませることができる安全なお茶です。

夕暮れになると泣いたりぐずったりしてお母さんを困らせる「たそがれ泣き」、あやしても泣きやまない疳の虫、おしめも綺麗、おなかもいっぱいなのになぜ?夕方の一番忙しい時間にぐずられるとお母さんも泣きたくなってしまいます。これらは神経の刺激に対する処理がうまくできなかったり、消化が遅く胃が重い、お腹に溜まったガスが放出できない、といった不快感が赤ちゃんをぐずらせている原因の1つではないかと言われています。

こんな時は「これも赤ちゃんの神経や消化器官の発達段階の一つ」と考え、赤ちゃんと過ごすお茶の時間にしてみましょう。お茶を飲んだ後はしばらくはお腹を優しくなでたり、抱っこやおんぶでスキンシップを。産後すぐに始めていただけます。

♣赤ちゃんが激しくなく時は重篤な疾患がある場合があります。熱や顔色、体の変化などを確かめて医師の診察を受けてください。

 

Note

❥ カモマイルにアレルギーのある方はご注意ください。

❥ 他の医薬品の吸収遅延を避けるため薬やサプリメントとは2時間以上開けてご使用下さい。(マーシュマロウ)

 

leaf使用量

・お母さんが飲む場合: 1杯分(約180cc)に対してハーブ茶匙1杯

・6か月以降の赤ちゃんが哺乳瓶で直接飲む場合:

            1杯分(約180cc)に対してハーブ茶匙1/3杯〜2/3杯

clock抽出時間 1分〜5分 お好みで

cup1日1杯〜3杯を目安にお召し上がり下さい

 ♠ 1歳未満の赤ちゃんは蜂蜜を直接摂取することができませんのでご注意ください。

 

原材料
カモマイル  Matricaria recutita (認定オーガニック エジプト)

ジンジャー  Zingiber officinale (認定オーガニック ネパール)

フェネル  Foeniculum vulgare (認定オーガニック オーストラリア)

マーシュマロウ  Althea officinalis (認定オーガニック クロアチア)

リンデンフラワー  Tillia sp. (認定オーガニック ポーランド)

ルイボス Aspalathus linearis (認定オーガニック 南アフリカ)

ペパーミント Mentha piperita (認定オーガニック エジプト)

バニラパウダー Vanilla planifolia (認定オーガニック インド)

Morning モーニング 朝の細胞リフレッシュ

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Morning

寝起きの脳と体を一気に覚醒させるモーニング、目が覚めたら朝一番に飲みたい1杯です。

クエン酸豊富なハーブと新陳代謝を高めるハーブが、脳から爪先まで体中の細胞エネルギー工場のスイッチオン!ベルトコンベアーが勢いよく回り始めれば、昨日の代謝で出てきた老廃物や毒素は呼気、腸、腎臓からの排泄ラインへ送り出され、新たに摂取する酸素や栄養素はダブつくことなくエネルギーの燃料として消費されやすくなります。このサイクルが整うと毎朝全身の細胞がリフレッシュされ、臓器や器官が最適な状態を保つようになり、つまりは自律神経の安定に繋がる基礎となります。

排泄除去⋯腸からの排泄は単に消化機能の一部出はないのです。腸は免疫機能を司ると同時に「第二の脳」といわれように神経機能の一部として働いています。

またデトックスの最大器官である大腸の臓器時間は午前5時から9時。この時間内に自然な排泄を導びく事が心身の健康と美容にとって理想なのです。

シャキッとすっきり、爽やかな一日をスタート!朝が弱い方、不定愁訴が続く方はお試しください。二日酔いの朝にも最適です。

 

Note 

❥  妊娠中の方のご使用はお勧めいたしません。(シサンドラ)

❥  グルテンアレルギーのある方はご注意下さい(オーツストロー)

❥   高血圧症、心臓病のある方、心臓病薬、降圧剤、利尿剤、ステロイド剤をお使いの方(リコリス)、

❥   胆石、胃潰瘍、逆流性食道炎のある方、抗凝固剤をお使いの方(ジンジャー)は医師とご相談の上ご使用下さい

 

 

leaf使用量 1杯(約180㎖)に対してハーブ茶匙1杯

clock抽出時間 3分~分 お好みで

cup1日1〜3杯を目安にお楽しみ下さい

  ∞ 蜂蜜を加えても美味しく召し上がれます。

 

原材料

スペアミント Mentha spicata (認定オーガニック エジプト)

ハイビスカス Hibiscus sabdariffa (認定オーガニック エジプト)

ローズヒップ Rosa canina (認定オーガニック 南アフリカ)

レモングラス Cymbopogon citratus (認定オーガニック エジプト)

リコリス Glycyrrhiza glabra (認定オーガニック イタリア)

ローズマリー Rosmarinus officinalis 認定オーガニック エジプト)

タイム Thymus vulgaris (認定オーガニック エジプト)

シサンドラ Schisandra chinensis (認定オーガニック 中国)

ジンジャー Zingiber officinale (認定オーガニック ネパール)

オーツストロー Avena sativa (認定オーガニック オーストラリア)

カルダモン Elettaria cardamomum (認定オーガニック インド)

カレンデュラ Calendula officinalis  認定オーガニック エジプト)

バードック Arctium lappa (認定オーガニック イタリア)

 

Enhance エンハンス  落ち込んだ時には

B002

Enhance

やる気が出ない、心も体もエネルギーが足りない、落ち込みから立ち直れない、がっかりな出来事や対人関係のトラブルで気持ちが弱くなってしまったり、これといった出来事があったわけでもないのに気分が晴れない、五月病、なんとなく憂鬱な季節の変わり目、雨の月曜日……そんな時はエンハンスがあなたを励まします

神経伝達機能を向上させてストレス対処力を高め、へこんだ気分を引き上げてくれるハーブのブレンドです。早くの元気と笑顔を取り戻すことができますように...

 

Note

❥ 妊娠中のご使用はお勧めできません。(ローズマリー シサンドラ)

❥グルテンアレルギーのある方はご注意下さい(オーツ)

❥ 抗鬱剤との併用は薬の効果を高める働きがありますのでご注意下さい (ラベンダー)

 

 

leaf使用量 1杯(約180ml)に対してハーブ茶匙1杯

clock抽出時間 3分〜5分 お好みで

cup1日1〜3杯を目安にお召し上がり下さい

  ∞ 蜂蜜を加えたり冷やしても美味しく召し上がっていただけます

 

原材料 

スペアミント Mentha spicata (認定オーガニック エジプト)

ペパーミント Mentha piperita (認定オーガニック エジプト)

ラベンダー  Laveadula angustifolia (認定オーガニック オーストラリア) 

レモンバーム  Melissa officinalis (認定オーガニック ドイツ)

ローズマリー  Rosmarinus officinalis (認定オーガニック エジプト)

オーツストロー  Avena sativa (認定オーガニック オーストラリア)

シサンドラ  Schisandra chinensis (認定オーガニック 中国)

ローズペタル  Rosa centifolia  (認定オーガニック パキスタン)

レモンバーベナ Alousia triphylla  (認定オーガニック エジプト)

コドノプシス  Codonopsis pilosula (ワイルドクラフト 中国)

Warm ウォーム 血行促進で体を温める

B001

Warm

冬の寒い日はもちろん、夏のエアコンの中でも手足が冷たくなったり肩が凝ったりしがちです。また背筋がゾクゾクっと風邪の予感を感じたら?Warmウォームを1杯。末梢血管まで血行を促進するハーブと体の芯から温めるハーブのブレンドがあなたの体を芯から優しく温めます。リラックス効果はもちろん、基礎代謝率を向上、血行促進で内臓温度を上げて体脂肪の燃焼効率を高めてくれます。胃腸を整える働きがあるので食後のお茶にも最適です。

♥ スパイスがお好きな方はコージーもお試しください。

 

Note

❥ カモマイルにアレルギーのある方はご注意ください。

❥ 妊娠中の方(ローズマリー、ヤロウ、エルダー)、授乳中の方(セージ)のご使用はお勧めできません。

❥ 抗凝固剤(アスピリン、ワーファリンなど)をご使用のかたは効果を高める作用にご注意ください(ギンコ、ジンジャー)                                                                                                    

❥ 胆石のある方、胃潰瘍、逆流性食道炎のある方は医師とご相談の上ご使用下さい。(ジンジャー)

 

 

leaf使用量 1杯分(約180ml)に対してハーブ茶匙1杯

clock抽出時間 3分~10分 お好みで

cup1日1~3杯を目安にお召し上がり下さい。

    ∞ 蜂蜜やミルクを加えても美味しく召し上がれます。ホットでどうぞ。

 

原材料
ギンコ  Ginkgo biloba (認定オーガニック 中国)

ジンジャー Zingiber officinale  (認定オーガニック ネパール)

カモマイル Matricaria recutita(認定オーガニック エジプト)

ヤロウ Achillea millefolium (認定オーガニック オーストラリア)

エルダー Sambuccus nigra(認定オーガニック ハンガリー)

ネトル Urtica dioica (認定オーガニック エジプト)  

ローズマリー Rosmarius officinalis  (認定オーガニック エジプト)

シナモン Cinanamomum zeylanicum (認定オーガニック スリランカ)

リコリス Glycyrrhiza glabra (認定オーガニック イタリア)

 

 

memo:

冷えの原因は?

冷えの原因は冬の寒さや冷房ばかりではありません。夏の冷たいもののを摂り過ぎで冷えた内臓は、その時ばかりか秋から冬までその冷えを抱え込んでしまいます。ダイエットによる代謝低下、薄着、ハイヒール・窮屈な下着などのほか、ストレスによる血管が収縮したままになってしまうことも原因となります。また体の熱エネルギーは筋肉で作られます。運動不足で筋肉量が減ってしまうと熱エネルギーを作りにくくなり体が冷え、低体温の原因となっています。                        

そして一番大事なことは、冷えると自律神経(交感神経 と副交感神経)のバランスが崩れる、自律神経のバランスが崩れると体が冷える…とこの繰り返し、循環劇関係なのです。つまり体を温めれば自律神経のバランスが整ってくるのです。

冷えは万病のもと?

冷えると血管が収縮することにより慢性的に細胞の栄養不足や酸素低下状態となり、頭痛、肩こり、疲れ易い、体力がない、肌荒れ、血色不良、クマ、腹痛、便秘、下痢、生理不順、PMS、足のむくみ、そしてエネルギー燃焼が低下しますので太りやすくなってしまいます。そして身体的なトラブルばかりか自律神経失調による吐き気、イライラ、不眠、過呼吸、うつ、といった精神的症状まで起こります。また人間の理想的な平熱は36.5〜37度といわれていますが、36度を下回ると白血球のバランスが悪くなり免疫力が30%も低下するといわれいます。つまり冷えは万病のもとといっても過言ではないのです。

 

Mum & Baby Support Series

マム&ベビーサポート・シリーズは, 出産直後の授乳中のお母さんと6ヶ月から24ヶ月までの赤ちゃんを対象にしています。もちろんお子様から高齢者まで、どなたにも楽しんでいただけます。授乳中のお母さんが召し上がれば、母乳を通じて新生児の赤ちゃんに伝えることができますので、お母さんと赤ちゃん2人で同じ効果を感じる事が出来ます。
また赤ちゃんの体に適した作用と、飲みやすい味・香りをもつハーブだけを使用していますので、生後6ヶ月からは赤ちゃんに哺乳瓶で直接飲ませることができる安全なハーブティーです。

おむつは?お腹が減っていない?これらを確かめても泣きやまない、熱、痛がる、腫れている、赤い、吐く、下痢といった症状は、重篤な病気のサインである可能性もあります。直ちに医師の診察を受けてください。

12ヶ月以内の赤ちゃんに直接ハチミツを与えることは避けてください。

Colicky
コリッキー
夕暮れになると泣いたりぐずってお母さんを困らせる「たそがれ泣き」… 神経や消化器官の発達段階の一つと考えられています。Colicky でお腹に溜まったガスの放出を促し、神経を穏やかに落ち着かせてみましょう。飲んだ後はお腹を優しくなでたり、しばらくは抱っこやおんぶでスキンシップをつづけることをお勧めします。 内容
フェネル、カモマイル、ジンジャー ペパーミント、メドウスィート、リンデン、ヤロウ
50g ($ )
Lullaby
ララバイ
赤ちゃんにとって、はじめての物や外界から受ける刺激は情操を養い、知的発育や自我の形成に大切です。しかし多くを学んだ日は神経の緊張や興奮が夜まで残り夜泣きをしてしまいます。そんな夜は静かな環境で優しく抱っこして Lullaby を含ませてあげましょう。 内容
キャットミント、カモマイル、レモンバーム、ヒソップ、バレリアン
50g ($ )

Kids(2-12y.o) Support Series

キッズサポート・シリーズは 2歳から12歳のお子様のためのハーブティーです。安全にお子様に合った働きをするハーブだけを使用しています。ひとつまみのオーガニックバニラパウダーでおいしい魔法がかかったお茶達です。もちろんお子様からお年寄りまで安全にお楽しみいただけます。

泣きやまない、熱、吐き気、痛がる、下痢 等の症状は重篤な病気のサインである可能性もあります。直ちに医師の診察を受けてください。

Kids’ Calm
キッズカーム
お子様は嬉しい事、楽しい事、悲しい事、不快な事、どれに遭遇しても興奮し過ぎてしまいがち。 Kids’ Calm は、神経の昂ぶりを鎮めて心も体も穏やかに落ち着かせてくれます。乗り物の中や旅行中にお勧めです。 内容
キャットミント、カモマイル、レモンバーム、バニラ、スペアミント、オート麦
50g ($ )
Kids’ Pillow
キッズピロー
はしゃぎすぎたり、気持ちが昂ぶっていてなかなか眠れない夜は Kids’ Pillow。お子様の心と体の緊張をやさしく解きほぐし、入眠の障害となる消化を助け、心穏やかに眠りへと誘います。 内容
リンデン キャットミント、カモマイル、スカルキャップ、レモンバーム、バニラ
50g ($ )
Kids’ Tummy
キッズタミー
お子様にも食後は Kids’ Tummy で気分もお腹もゆっくりリラックスできる食休みをとる習慣を。順調な消化を促して栄養の吸収を高め、消化不良で起きる胃腸の不快症状を予防・緩和します。食べ過ぎてしまった日は特にお勧めします。 内容
ローズマリー、ヒソップ、バニラ、リンデン、ラベンダー、オーツ
50g ($ )

Senior Support Series

シニアサポートシリーズは中年以降、高齢者の方々を対象に配合されたハーブティーです。いずれのハーブもビタミンミネラルが豊富、作用が穏やかですので安全に召し上がっていただけます。
疾患をお持ちの方やお薬を服用中の方は医師にご相談されるか、ご注文の前にこちらにご相談下さい。
また、処方薬やサプリメントはハーブティーに限らず紅茶や緑茶で飲み下すのは避け、必ずお水で飲みましょう。

Liven Up
ライブン・アップ
なんとなくぼんやりしたり、記憶力の低下が気になったり、何も楽しむ気分になれず、気分が沈みがち…そんなシニア世代の方を元気づけるのが Liven Up。体と脳の血行を良くし細胞を活性化すると、心にも体にもイキイキと元気が出てきます。明るい気分で1日1度は外へ出てみると何か楽しい発見があるかもしれません! 内容
ギンコ、ホーソン、シサンドラ、ローズマリー、コドノプシス、ラベンダー、カルダモン、レモングラス、カレンデュラ、レモンバーベナ、レモンバーム
50g ($ )

Female Support Series

フィーメール・サポートシリーズは女性のためのハーブティーです。生理サイクルに影響を受ける女性の心と体のコンディションを整えるハーブが処方されています。ご自分のステージにあわせてお選び下さい。

Girls’balance
ガールズ・バランス
(19歳以下の少女たちへ)
初潮前後から成長期の心と体は繊細で、バランスを崩しがちです。 Girls’balance は健やかな成長を妨げないように、ホルモン様作用のないハーブだけを配合し、生理や心を安定させるようにデザインされています。安心してお召し上がりください。 内容
ペオニア、リコリス、ハイビスカス、メリッサ、レディースマントル、レモングラス、アニス、バニラ、ローズマリー、ローズバッズ、カレンデュラ、パッションフラワー、レモンバーベナ、カモマイル
50g ($ )
Ladies’ Balance
レディース・バランス
(20代30代の女性に)

Ladies’ Balance は、20代30代女性の生理不順や生理前緊張症(鬱症状をのぞく)のお悩みに。ホルモンのバランスを調整していくハーブを配合しています。

毎朝食前の同じ時間帯、低温期のみ(生理1日目から排卵日まで)飲む事をお勧めします。

生理痛には Period Ease

鬱をともなうPMSには禁忌です。ご相談下さい。

内容
チェストツリー、シナモン、アニス、ペオニア、カレンデュラ、ドンカイ、ヤロウ、リンデン、レディースマントル、レモンバーム、ギンコ、マロウ、レモンバーベナ、フェネル、レモンバーム、ローズペタル
50g ($ )
Pre Meno Balance
プレメノ・バランス
(40歳から生理ストップまで)

閉経前の更年期前半戦、プレ・メノポーズと呼ばれる時期を対象にしています。その時は急にやってくるわけではありません。毎月の生理があってもホルモンのバランスは緩やかに変化し始めています。40代になったら、 Matures’ Balance で心と体のソフトランディングを目指し、第二の変調期を快適に過ごしましょう。

毎朝食前の同じ時間帯、低温期のみ(生理1日目から排卵日まで)飲む事をお勧めします。

生理が停止した後は、Post Meno Balance

内容
チェストツリー、セージ、カレンデュラ、レディースマントル、ホーソン、ギンコ、オーツ、レモンバーベナ、メリッサ、ネトル、ドンカイ、ローズペタル、ラベンダー、アストラガルス、ペパーミント、コドノプシス、シサンドラ
50g ($ )
Post Meno Balance
ポストメノバランシング
(生理停止後)

更年期の後半戦です。不眠、ほてり、イライラ、胃腸の不快感、頭痛、肩こり、血圧の上昇、なんとなく心身の疲れ、といった多彩な不快症状が現れて不安を感じる時期です。受診しても疾患が見つからない時には PostMeno Balance。これからのより自由な時間を、より美しく、より元気に楽しむために、心と体も進化系に。

鬱や強い症状などでお悩みの場合はご相談下さい。

内容
ドンカイ、アストラガルス、ラベンダー、ペオニー、セージ、コドノプシス、カモマイル、アニス、ホーソン、ヤロウ、ギンコ、パッションフラワー、レモンバーベナ、オーツ
50g ($ )
Period Ease
ピリオド イーズ

生理中、お腹や腰が重かったり、ひき攣れるように痛むと、気分まで重くなりがち。受診しても疾患がない場合はPeriod Ease。血行促進、子宮や神経の痙攣の緩和などの働きで、この数日の辛さを軽減しましょう。

生理予定の数日前から飲み始めると効果的です。

内容
ドンカイ、シサンドラ、レディースマントル、カレンヂュラ、ペオニー、シナモン、クランプバーク、ペッパーミント、ギンコ、カモマイル、ラベンダー
50g ($ )

Body, Mind and Energy Series

ボディー、マインド アンドエナジーシリーズは、あなたの心と体とエネルギーのバランスを調整するお手伝いをするハーブティーです。時間帯やあなたの気分、コンディションに合わせてお選び下さい。

Morning
モーニング
朝は頭の先から爪先まで Morning で全身の細胞にエンジンをかけましょう。心も体もすっきりと目覚め、新しい一日を爽やか気分でスタートしましょう。 内容
ペパーミント、レモングラス、リコリス、ローズマリー 、タイム、ジンジャー、カルダモン
50g ($ )
Enhance
エンハンス
憂鬱、気持ちが塞ぐ、やる気が出ない、心も体もエネルギーが足りない、落ち込みから立ち直れない…そんな時は1杯の Enhance が、あなたが笑顔を取り戻すきっかけを与えてくれるでしょう。 内容
スペアミント、レモンバーム、オーツ、ラベンダ-、シサンドラ、タイム、セージ、コドノプシス
50g ($ )
Calm-A (anxious)
カームA
何か心配、ドキドキそわそわ落ち着かない、神経がぴりぴり緊張する、そんな時 Calm-A の香りと優しい味と薬効が、あなたの不安な心を包み込んで落ち着かせてくれるでしょう。 内容
ローズマリー、ヒソップ、バニラ、リンデン、ラベンダー、オーツ
50g ($ )
Calm-I (irritation)
カームI
イライラしたりカーッとなったり、気分を害されたり、ショックな出来事に遭遇してしまった時は、まずは深呼吸して Calm-I を一杯。心の荒波を鎮め、冷静なあなたを取り戻しましょう。 内容
カモマイル、スカルキャップ、ヒソップ、レモンバーム、レモンバーベナ、リンデン
50g ($ )
Warm
ウォーム
冬の寒い日や夏のエアコンの中で手足が冷たくなったり肩が凝ったり、また背筋がゾクゾクっと風邪の予感を感じたら Warm。血行を良くして、あなたの体を芯から優しく温める一杯です。 内容
ギンコ、シナモン、ジンジャー、アニス、カレンデュラ、オレンジピール、フェネル
50g ($ )
Pillow
ピロー
一日の終わりにそっとあなたのスイッチをオフに する Pillow。心と体の緊張を解きほぐしてリラックス。心地よく“眠りに入る”お手伝いをするお茶ですので翌朝に響くこともありません。
(眠気を誘う作用がありますので、服用後に運転などはしないで下さい)
内容
カモマイル、リンデン、キャットニップ、パッションフラワー、バレリアン、カリフォルニアポピー、レモンバーム、ローズバッズピンク
50g ($ )
Smart
スマート
何となくボーっとする、集中できない、霞がかかったようで考えがまとまらない、特にお昼過ぎに感じませんか? Smart でティーブレイク。脳の血流を改善して冴えた頭を取り戻しましょう。 内容
ギンコ、シサンドラ、ローズマリー、ラベンダー、スペアミント、セージ
50g ($ )
Tummy
タミー
食後は Tummy で食休み。スッキリとした味わいで順調な消化を助け、食べ過ぎや脂っこい食事の後の胃もたれを防ぎます。(CシリーズのCosyもお勧めです) 内容
タイム、ペパーミント、カモマイル、ヤロウ、オレンジピール、ジンジャー、レモングラス、フェネル、レモンバーベナ
50g ($ )
React
リアクト
季候の変化が引き金になる鼻、目、喉のムズムズやズルズル、イライラ、肌のかゆみなどに React。免疫機能を調整し過剰反応や炎症を抑えるハーブの配合です。予感がしたら早めに飲み始めておく事がコツです。 内容
アルビジア、アイブライト、アストラガルス、ネトル、エキナシア、エルダー、カモマイル、ゴールデンロッド、スカルキャップ
50g ($ )
Gripe
グライプ

胃のあたりにキュー、キリキリっとくる痛み、まず受診する事が大切です。未病、予防には Gripe。心配事やストレスで収縮する神経と胃のリラックス、胃の粘膜保護と痛みの緩和に働くハーブの処方です。

空腹時(食間)に飲むのが効果的です。

内容
レモンバーム、レモンバーベナ、ペオニア、マーシュマロウ、シナモン、カモマイル、キャットミント、リコリス
50g ($ )
Bad Sign
バッドサイン
くしゃみ、鼻水、喉痛、悪寒 、頭痛・・・風邪かな?という症状に気づいたらすぐに Bad Sign。風邪と戦う力を整え、体を温め、敵の攻撃が小さい段階で食い止めるのを助けます。1日3杯飲んで、よく休みましょう。 Warm もおすすめです。 内容
エキナシア、アストラガルス、ジンジャー、カモマイル、ネトル、エルダー、リンデン、タイム、セージ、ハイビスカス、レモングラス、ローズヒップ
50g ($ )

FanC Series

ファンシー・シリーズは気分に合わせていつでも召し上がっていただけます。いずれもリラックス効果があっても眠気作用のないハーブを使用しておりますので、素敵な味わいと香りをお仕事中でも夜でもお楽しみいただけます。お気に召すまま、お選び下さい。

Cosy
コージー
甘みのある豊かなスパイスの香りは、あなたを暖かく包み込む、居心地のよい隠れ家へと運んでくれます。深い味わいをお楽しみ下さい。食後のお茶にも最適です。 内容
フェネル、シナモン、ベルガモット、アップルバイト、スターアニス、カルダモン、クローブ、バニラ
50g ($ )
Crispy
クリスピー
このミントの香りあふれるお茶は、煩雑な現実から、空気のキリッと澄んだ別世界へとワープさせてくれます。爽快な香りと清々しい味、切れのある舌触りで気分を切り替えましょう。 内容
ペパーミント、スペアミント、キャットミント、オレンジピール
50g ($ )
Classy
クラッシー
まずは、この魅力的な茶葉が目を楽しませてくれると同時に呼吸も心拍も穏やかに。またさっぱりとした酸味は熱でも壊れないビタミンCの証です。高貴な香りに満たされてプリンセス気分をどうぞ。 内容
ローズバッス、ローズペタル、ローズヒップ、ハイビスカス、ブルーマロウ、ラベンダー、ホーソンベリー
50g ($ )
Citrusy
シトラシー
レモンの香りと風味で究極のリフレッシュ。気だるい気分を一掃し、脳もシャキッとクリアに。集中力と発想力を高め、明るく知的なあなたに戻してくれるでしょう。 内容
レモングラス、レモンバーベナ、レモンバーム、ベルガモット
50g ($ )
Comfy
コンフィー
情緒を穏やかに安定させる効果の高いお花を集めたら、こんな素敵なお茶になりました。さあ、カップを手にして、野に咲く草花の清楚な香りと味をじっくり五感で味わって下さい。 内容
ラベンダー、ローズマリー、カレンヂュラ、エルダー、カモマイル、ブルーマロウ、リンデン
50g ($ )